ザジテン(一般名:ケトチフェンフマル酸塩)は、アレルギー性疾患治療剤として広く使用されている医薬品です。元々はスイスのサンドファーマ社(現ノバルティスファーマ社)で開発され、現在は様々な剤型で提供されています。ザジテンは第二世代抗ヒスタミン薬に分類されますが、眠気などの副作用については第一世代抗ヒスタミン薬と同程度発現するという特徴があります。この記事では、ザジテンの効果と副作用について詳しく解説し、服用に関する注意点をお伝えします。
ザジテンの有効成分であるケトチフェンフマル酸塩は、1カプセル中に1.38mg(ケトチフェンとして1mg)含まれています。この成分は主に二つの重要な作用機序を持っています。
ザジテンの特筆すべき点として、気管支喘息発作の予防効果があります。これは多くの抗ヒスタミン薬にはない特徴で、アレルギーによる気管支の過敏性を抑制することで達成されます。
研究によると、ザジテン投与後には好酸球浸潤の明らかな減少がみられることも報告されています。これは炎症反応の軽減につながる重要な作用と言えるでしょう。
ザジテンは幅広いアレルギー性疾患に対して効果を発揮します。具体的には以下の疾患の治療に用いられています。
特にアトピー性皮膚炎に対する効果については、複数の臨床研究で確認されています。ある研究では、アトピー性皮膚炎患者113例にケトチフェンを平均8.3週間投与した結果、「中等度改善」以上で76.1%、「軽度改善」以上で93.8%という高い改善率を示しました。また、投与2週後で「軽度改善」以上が87.6%という早期からの効果も報告されています。
また別の研究では、アトピー性皮膚炎患者92例を対象とした調査で、最終全般改善度において「中等度改善」以上が72.8%、「軽度改善」以上が92.4%という結果も報告されています。特に軽症例では100%の改善率を示しており、重症度が軽いほど高い効果が期待できることがわかっています。
ザジテンの効果は単なる症状改善だけでなく、血液検査においても確認されています。投与前に好酸球数が6%以上の患者群では、ザジテン投与により好酸球数が有意に減少するという結果が得られており、アレルギー反応の根本からの改善効果が示唆されています。
ザジテンカプセルを服用した21,170例のうち、1,144例(5.4%)に何らかの副作用が報告されています。主な副作用とその発現頻度は以下の通りです。
また、ザジテンカプセルには重大な副作用として以下の症状が報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談することが重要です。
その他の副作用として、以下のような症状が器官別に報告されています。
泌尿器系への影響(頻度不明)
過敏症
精神神経系への影響
消化器系への影響(0.1%未満)
肝臓への影響(0.1%未満)
その他の副作用
実際の臨床研究からも副作用の発現状況が確認されており、例えばアトピー性皮膚炎患者113例を対象とした研究では、19例(16.8%)に副作用が報告され、そのうち18例が眠気、1例が頭重感でした。また別の研究では、89例中眠気が5例、めまい・吐き気が1例、顔面浮腫が1例、月経不順が1例という報告もあります。
ザジテンを安全に使用するためには、以下の注意点を守ることが重要です。
服用してはいけない人
服用に注意が必要な人
併用に注意が必要な薬剤
ザジテンは中枢神経系に作用する薬剤であるため、他の中枢神経抑制薬との併用には特に注意が必要です。
これらとの併用により、眠気や精神運動機能低下等が強くなることがあります。特に以下の薬剤群との相互作用には注意が必要です。
これらの薬剤との併用を避けられない場合は、用量調整や慎重なモニタリングが重要です。
ザジテンには先発医薬品(ザジテンカプセル)とジェネリック医薬品が存在します。ジェネリック医薬品は先発品と同じ有効成分を含んでいますが、価格は先発品よりも20-30%程度安価です。
価格比較
副作用プロファイルについては、基本的に先発品とジェネリック医薬品の間に大きな違いはないとされています。有効成分であるケトチフェンフマル酸塩の作用機序と副作用は同じであり、同様の注意が必要です。
ただし、添加物の違いによって、まれに体質によって合う合わないがあるケースもあります。ジェネリック医薬品に変更後に新たな副作用を感じる場合は、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
なお、ザジテンと同じ有効成分を配合した市販薬も存在しますが、医療用医薬品であるザジテンカプセルとは効能・効果が異なる点に注意が必要です。市販薬の場合は主に「鼻の症状」に対してのみ使用できる点が大きな違いです。ザジテンカプセルはアレルギー性鼻炎の他に、じんましんや湿疹などの皮膚症状にも使用可能です。
長期間の服用が必要な場合は、医師の処方によるザジテンカプセルやそのジェネリック医薬品の方が、費用対効果や適応範囲の広さの面で有利な場合が多いでしょう。
ザジテンはアレルギー疾患治療において有効な薬剤ですが、副作用についての正しい理解と適切な使用が重要です。特に眠気などの中枢神経系への影響には注意が必要で、車の運転や機械操作を行う際には十分な配慮が必要となります。また、他の中枢神経抑制薬との併用にも注意が必要です。
効果の面では、アレルギー性鼻炎や皮膚疾患、気管支喘息に対して高い有効性が示されており、特にアトピー性皮膚炎に対しては多くの臨床研究でその効果が確認されています。症状の軽減だけでなく、好酸球数の減少など血液検査においても改善が見られることが特徴です。
ザジテンを含むアレルギー治療薬を選択する際は、症状の種類や重症度、副作用のリスク、費用面などを総合的に考慮し、医師や薬剤師と相談しながら最適な選択をすることが大切です。