輸血関連急性肺障害の原因と発症機序、リスク要因を解説

輸血関連急性肺障害(TRALI)の原因には抗体反応と非免疫学的機序があり、経産婦由来の抗体が重要な役割を果たします。発症機序やリスク因子、予防策について医療従事者が押さえるべきポイントを詳しく解説。あなたの施設でも見逃しているリスクはありませんか?

輸血関連急性肺障害 原因

抗体陰性でもTRALIは発症します。


この記事の要点
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発症機序は2つ

免疫学的機序(抗白血球抗体)と非免疫学的機序(生体反応性物質)があり、どちらも肺毛細血管透過性を亢進させる

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経産婦血液が高リスク

抗HLA抗体・抗HNA抗体は経産婦に検出率が高く、男性ドナー由来の血漿製剤を優先使用することで予防

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死亡率は約15%

輸血関連死の30~50%を占め第1位、発生率は輸血単位バッグあたり約1:1,271~1,323回に1回


輸血関連急性肺障害における免疫学的原因と抗体の役割



TRALIの主要な原因は、輸血製剤中に含まれる抗白血球抗体(抗HLA抗体および抗HNA抗体)です。これらの抗体は妊娠を経験した女性の血液中に高頻度で検出されることが知られています。ドナー血液中の白血球抗体が受血者の白血球抗原と反応すると、補体が活性化されます。


関連)https://knowledge.nurse-senka.jp/500441


活性化された好中球は肺の毛細血管内皮細胞を障害し、透過性の亢進を引き起こします。この結果、血管内の水分が肺胞腔内に移行して非心原性肺水腫が形成される仕組みです。


関連)https://www.kameda.com/pr/pulmonary_medicine/post_25.html


抗HLA抗体には2001年から抗HLAクラスII抗体の関与も報告されており、単純にクラスI抗体だけが原因ではありません。つまり免疫学的機序が基本です。


関連)https://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2015/03/050050720.pdf


輸血関連急性肺障害の非免疫学的原因と生体反応

抗体が検出されないケースでもTRALIは発症することがあります。これは非免疫学的機序と呼ばれるメカニズムです。


関連)https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-21K07361/21K07361seika.pdf


非免疫学的機序では、保存中の血液製剤に蓄積される生体反応性物質(サイトカインリン脂質など)が関与します。これらの物質が受血者の好中球を活性化し、活性酸素種(ROS)産生や補体成分C5aの活性化を引き起こします。


関連)https://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2017/01/062060630.pdf


発症リスクを高める要因として、高齢、喫煙、アルコール過剰摂取、受血者側の基礎疾患(敗血症、重症患者など)が挙げられます。これらの要因は「two-hit仮説」として説明され、患者側の素因と輸血製剤側の因子が重なることで発症するという考え方です。


関連)https://kokuren333.github.io/medisidian/10_Disease/%E8%BC%B8%E8%A1%80%E9%96%A2%E9%80%A3%E6%80%A5%E6%80%A7%E8%82%BA%E9%9A%9C%E5%AE%B3


日本輸血・細胞治療学会のTRALI発症機序に関する最新研究には、抗体以外のメカニズムについて詳しく記載されています。


輸血関連急性肺障害のリスク因子:製剤と患者の両面

製剤側のリスク因子では、新鮮凍結血漿(FFP)と血小板製剤が特に高リスクです。これは血漿成分に抗体が多く含まれるためです。


関連)https://www.kameda.com/pr/pulmonary_medicine/post_25.html


2004年半ば以降、日本では白血球抗体陽性のドナー血液を輸血用に使用しない方針が採られています。さらに400mL献血由来の血漿製剤は、ほぼ100%男性献血者から採血された血液で製造されています。妊娠回数に比例して抗体陽性率が高くなることから、経産婦ドナーの製剤使用を制限する対策が世界的に実施されています。


関連)https://www.jrc.or.jp/mr/reaction/non_hemolytic/trali_taco/


患者側のリスク因子は、89例のTRALI患者と164例のコントロールを比較した多施設前向き試験で同定されました。大量輸血、既往歴、重症患者、慢性肺疾患などがリスクとして報告されています。


関連)http://www.jsognh.jp/common/files/literature/file2018.8.pdf


これは制限が必須です。


輸血関連急性肺障害の発症頻度と死亡率の実態

日本赤十字社のTRALI評価・調査結果には、2007年から2016年までの症例数推移が詳しくまとめられています。


輸血関連急性肺障害の診断に必要な検査と鑑別点

TRALIは輸血開始後6時間以内(多くは2時間以内)に発症する急性呼吸不全です。診断には胸部X線撮影が必須で、両側性の肺水腫像が特徴的です。


関連)https://clinicalsup.jp/jpoc/handout/0209/0209.html


主な症状は、急性の呼吸困難、咳、低酸素血症、血圧低下、発熱、チアノーゼです。身体所見では両側性のラ音や湿性ラ音が聴取され、ショック症状を伴うこともあります。


関連)https://www.clinicalsup.jp/jpoc/handout/0209/0209.html


鑑別診断では、輸血関連循環過負荷(TACO)が最も重要です。TACOは循環負荷による静水圧上昇で起こる心原性肺水腫であり、TRALIとは病態が異なります。その他、ARDS、肺炎、誤嚥、敗血症なども同様の症状を示すため、十分な注意が必要です。


関連)https://www.jrc.or.jp/mr/relate/info/pdf/yuketsuj_1304-135c.pdf


抗体検査では、ドナーと受血者のクロスマッチ試験リンパ球傷害試験(LCT)が実施されますが、低感度検査のみで抗体陰性と判断された症例も多く報告されています。高感度な検査方法の導入が検索精度向上のカギです。


関連)https://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2015/03/050050720.pdf


鑑別が条件です。


輸血関連急性肺障害の予防策と医療現場での実践

最も効果的な予防策は、男性ドナーまたは妊娠歴のない女性ドナーからの献血を優先的に使用することです。血漿含有量の多いFFPや血小板製剤の血漿部分には、この方針が各国で採用されています。


関連)https://note.com/az_mt/n/n58323a95b4a9


輸血開始後に急激な呼吸障害が現れた場合は、直ちに輸血を中止し、酸素投与や呼吸管理などの適切な処置を行う必要があります。重篤な呼吸困難になることが多く、人工呼吸管理が必要となるケースもあります。


関連)https://www.jrc.or.jp/mr/relate/info/pdf/yuketsuj_0201-68.pdf


TRALIは急激な経過をとり、輸血関連死亡の18%を占めるため、早期発見と迅速な対応が患者の予後を左右します。臨床現場では、輸血後の患者観察を強化し、呼吸状態の変化に常に注意を払うことが求められます。


関連)https://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2015/03/051060589.pdf


認知度の低さゆえ、これまでアレルギー性の副作用や心不全による肺水腫と誤診されてきた可能性があります。しかし三次救急施設におけるTRALIの発生状況を見ると、決して頻度の低いものではないかもしれません。注意して見ていれば早期診断・治療開始に結びつく可能性があり、患者の安全性を考える上で臨床上重要な病態です。


関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282679421256064


日本赤十字社のTRALI/TACOに関する情報では、予防策と対策について医療従事者向けに詳しく解説されています。


観察が原則です。

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