冷蔵庫に入れたら使えなくなります。

血小板製剤は他の血液製剤と異なり、20~24℃という室温での保存が絶対条件とされています。この温度設定には血小板の生理学的特性に基づいた明確な理由があります。
関連)https://www.kango-roo.com/learning/2702/
血小板は代謝活動を行う生きた細胞であり、温度変化に極めて敏感です。冷蔵温度(2~6℃)で保存すると、血小板は不可逆的な形態変化を起こし、細胞膜構造が変化してしまいます。この変化は元に戻すことができません。
関連)https://note.com/in_between/n/nffbf12ff168f
さらに重要なのは、冷蔵保存された血小板を輸血しても、生体内における血小板寿命が極端に短縮してしまうという事実です。つまり、輸血しても体内ですぐに機能を失ってしまうため、止血効果が著しく低下します。冷蔵保存による止血能向上の可能性も指摘されていますが、体内寿命の短縮という決定的なデメリットには勝てません。
室温保存が基本です。
赤血球製剤が2~6℃で21日間保存できるのに対し、血小板製剤は温度管理の観点から全く異なる取り扱いが求められます。医療機関では専用の血小板振とう器を用いて、常に適切な温度範囲を維持する必要があります。温度逸脱があれば、その製剤は使用できなくなり廃棄処分となります。
血小板製剤を静置状態で保存すると、6時間程度でpHの低下に伴って凝集能の低下が見られます。このため、血小板振とう器を用いた水平振とうが保存の絶対条件となっています。
関連)https://www.jrc.or.jp/mr/transfusion/procedure/platelet/
振とう保存の目的は、血小板が沈降・凝集して塊(クラム)になることを防ぎ、活性と機能を保つことにあります。血小板は好気的解糖によりエネルギーを産生するため、酸素供給量が十分な状況を維持する必要があります。振とうにより製剤内の酸素が均一に供給され、代謝に必要な環境が保たれます。
静置6時間までは変化少ないです。
振とうを加えずに静置状態で保存した場合、血小板は次第に底に沈殿し、凝集が進行します。こうなると輸血時に適切に投与できなくなるだけでなく、血小板自体の機能も低下してしまいます。このため、医療機関では専用の血小板振とう器を使用し、緩やかに水平振とうしながら20~24℃で保存する体制を整える必要があります。
関連)https://www.kango-roo.com/learning/2702/
振とう器の設定温度や振とう速度は定期的に確認し、記録を残すことが推奨されます。温度計や振とう器の動作確認を日常業務に組み込むことで、保存条件の逸脱を未然に防ぐことができます。
血小板製剤の有効期限は長らく採血後4日間とされてきました。これは血小板が生体内で約10日間という短い寿命を持ち、保存による劣化が早いという特性によるものです。
関連)https://www.mhlw.go.jp/content/11127000/000892406.pdf
しかし2025年2月、日本赤十字社は細菌スクリーニングを導入した新規血小板製剤の製造販売承認を取得しました。この新製剤では、採血後40時間以上待機した血小板から検体を採取し、血液培養自動分析装置で24時間培養して陰性と判定された後に供給されます。
関連)https://www.kango-roo.com/learning/2702/
細菌スクリーニングに要する時間を考慮しつつ、既存製剤と同等の使用期間を維持するため、有効期間は採血後6日間に設定されました。採血後5日目以降の納品が基本となります。
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6日間が新基準です。
ただし洗浄血小板製剤については、既存製剤と同様に採血2日目または3日目に洗浄され、有効期間も製造後48時間以内(ただし採血後4日間を超えない)と従来通りです。洗浄処理により製剤の安定性が低下するため、より短い有効期限が設定されています。
関連)https://www.kango-roo.com/learning/2702/
血小板製剤が室温(20~24℃)で保存される理由は血小板機能の維持ですが、この温度帯は細菌が増殖しやすい環境でもあります。実際、輸血による細菌感染症のリスクは、血小板輸血で特に高いことが確認されています。
関連)https://yyuketu.net/activity_2/annex/58_pdf.pdf
検出された細菌はグラム陽性菌が20例、グラム陰性菌が14例と報告されており、室温保存という条件が細菌増殖を助長する要因となっています。赤血球製剤や血漿製剤は低温または凍結保存されるため細菌増殖のリスクは低いのですが、血小板製剤だけは例外です。
関連)https://yyuketu.net/activity_2/annex/58_pdf.pdf
血小板は細菌リスク高いです。
このリスクに対応するため、日本赤十字社は2025年から細菌スクリーニングを導入しました。採血後40時間以上待機してから検体を採取し、24時間培養して陰性を確認する工程が追加されています。これにより、細菌汚染製剤の供給リスクが大幅に低減されました。
関連)https://www.kango-roo.com/learning/2702/
医療機関側でも、使用前の目視確認は欠かせません。製剤の色調変化、混濁、凝集塊の有無などを確認し、異常があれば絶対に使用しないという原則を徹底する必要があります。輸血開始までに3回の照合・確認を行うことが推奨されています。
関連)https://knowledge.nurse-senka.jp/500364
血小板製剤を病棟の冷蔵庫で保管したため廃棄処分となった事例が報告されています。これは医療現場でよくある誤った保管方法の典型例です。
関連)https://www.yuketsu.hiroshima-u.ac.jp/site/wp-content/uploads/2020/07/news15-vol.2.pdf
病棟には通常、2~6℃の冷蔵庫しかありません。血小板製剤を誤ってこの冷蔵庫に入れてしまうと、低温保存により血小板の輸血後寿命が極端に低下し、治療効果が失われてしまいます。一度冷蔵してしまった血小板製剤は、たとえ再び室温に戻しても機能は回復しません。
関連)https://www.yuketsu.hiroshima-u.ac.jp/site/wp-content/uploads/2020/07/news15-vol.2.pdf
冷蔵したら戻りません。
血小板製剤は必ず輸血部で20~24℃の専用振とう器により保管し、使用直前に病棟へ払い出すという運用が鉄則です。病棟での長時間保管は温度管理の観点から推奨されません。もし一旦病棟に払い出した後に使用しなかった場合は、速やかに輸血部へ返却する必要があります。
関連)https://www.yuketsu.hiroshima-u.ac.jp/site/wp-content/uploads/2020/07/news15-vol.2.pdf
医療機関では、血液製剤の準備は一患者ごとに実施し、複数患者分をまとめて病棟に保管するといった運用は避けるべきです。温度逸脱による廃棄は医療資源の無駄であるだけでなく、献血者の善意を無駄にすることにもつながります。
関連)https://knowledge.nurse-senka.jp/500364
日本赤十字社 血小板製剤の取り扱い詳細(保存条件と注意点の公式ガイド)
血液製剤の保存条件は成分ごとに大きく異なり、それぞれの生理学的特性に基づいて最適化されています。この違いを理解することは、適切な製剤管理の基礎となります。
赤血球製剤は2~6℃で保存され、有効期間は採血後21日間です。低温下では赤血球の代謝率が低下し、ブドウ糖やATPの消費が減少するため、長期保存が可能となります。ただし2~6℃より低く凍結状態にすると、使用時に溶血してしまうため凍結しない程度の低温保存が最適です。
血漿製剤は-20℃以下で凍結保存され、有効期間は採血後1年間と最も長期です。凍結により酵素活性や凝固因子が安定的に保たれます。使用時は融解する必要があり、融解後は2~6℃で保存し、24時間以内に使用しなければなりません。
関連)http://www.ngodo.net/contents/update/information/info_c/annex/24_file.pdf
製剤ごとに条件が異なります。
一方、血小板製剤は20~24℃での振とう保存が必須で、有効期間は採血後6日間(細菌スクリーニング導入製剤)または4日間(従来製剤)と最も短くなっています。この短さは血小板の生体内寿命の短さと保存による劣化の速さに由来します。
関連)https://www.kango-roo.com/learning/2702/
これら3つの製剤を同じ保存条件で管理することは不可能であり、医療機関では製剤ごとに専用の保存設備を用意する必要があります。誤った保存条件での管理は製剤の無効化や廃棄につながるため、スタッフ教育と確認体制の整備が不可欠です。
看護roo! 血液製剤の保存温度・期間の違いを解説(各製剤の保存条件の詳細比較)
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