「LDLだけ見ていると、あなたの患者さんは2倍の心血管イベントリスクを見逃しているかもしれません。」

VLDLは肝臓から血中に放出されると、末梢組織でLPLによりTGが加水分解され、遊離脂肪酸(FFA)が筋肉や脂肪組織に取り込まれてエネルギー源として利用されます。 この過程でVLDLのTG比率が低下し、IDLを経てLDLへと変化します。 したがってLDLは“新規に作られる”というより「VLDLの代謝産物」であり、血中LDLはVLDLの供給・分解バランスの結果として存在します。 結論は「VLDLが動けばLDLも動く」です。
関連)https://www.ibl-japan.co.jp/files/user/img/business/inspect/liposerch/04-10_LS-Guide.pdf
近年注目されているのが、LDL-CとVLDL-C(あるいは残余コレステロール)との「ディスコーダンス(不一致)」です。 大規模コホートでは、LDL-Cがガイドライン上「良好」でも、VLDL-Cが高値の症例で動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の発症率が有意に高いことが報告されています。 具体的には、VLDL-C高値・LDL-C低値の群では、フォロー期間中のASCVD発症率が16.9/1000人・年と、他の群に比べ2~3倍に増加していたとされています。 つまり「LDL-Cが目標達成=安心」とはいかないケースが一定数存在するということですね。
関連)https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.123.031878
臨床現場では、スタチンなどでLDL-Cをしっかり下げていても、TGやnon-HDL-Cが高値のまま残る患者をどう評価するかが課題になります。 リスク評価ではLDL-Cの絶対値に加え、TG・non-HDL-C、必要に応じてアポBやレムナント様リポタンパク質測定などを組み合わせることで、ディスコーダンス症例を拾い上げることができます。 つまり「LDL-Cだけ覚えておけばOKです。」とは言い切れない時代になっています。
関連)https://www.j-athero.org/jp/publications/si_qanda/
この視点を押さえるメリットは、二次予防や高リスク一次予防において患者アウトカムを改善し得る追加介入の余地を見逃さないことです。 例えばスタチンでLDL-Cが十分に下がっているのにイベントを繰り返す患者では、フィブラート系薬やオメガ3製剤などTG・レムナントを標的とした治療の検討が実務的選択肢になります。 どういうことでしょうか?
関連)https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.123.031878
しかし、この前提はTGが200~400 mg/dL程度までの範囲で成り立つ経験的な近似であり、TGが600 mg/dL以上になるとnon-HDL-C評価の正確性が担保できなくなると、日本動脈硬化学会のQ&Aでも注意喚起されています。 また、著明な高TG血症ではFriedewald式によるLDL-Cは過小評価されやすく、実臨床では「LDL-Cが思ったより低いのに、non-HDL-CやApoBが高い」というズレが問題になります。 つまり「TGが高いときのLDL-Cは鵜呑みにしない」が原則です。
関連)https://www.j-athero.org/jp/publications/si_qanda/
直接法のLDL-C測定は、空腹・随時を問わず測定可能で再現性も良好とされますが、万能ではありません。 日本動脈硬化学会の解説では、①著明な低LDL-C(<20 mg/dL)、②著明な高TG(>1000 mg/dL)、③著明な高HDL-C(>120 mg/dL)、④胆汁うっ滞性肝障害などではLDL粒子の組成が大きく変化し、直接法が適用しにくいとされています。 つまり「直接法なら問題ありません。」とは言えないわけですね。
関連)https://www.j-athero.org/jp/publications/si_qanda/
検査の限界を理解しておくことで、例えばTG 800 mg/dLの患者の外来結果を見たとき、「LDL-C 70 mg/dLなら安心」と機械的に判断せず、non-HDL-CやApoB、臨床背景を含めた総合評価に自然と頭が切り替わります。 実務的には、TGが400~500 mg/dLを超える場合には、LDL-C値に過度にこだわらず、まずはTG降下と膵炎リスク回避を優先する、という意思決定がしやすくなります。 〇〇に注意すれば大丈夫です。
関連)https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.123.031878
日本動脈硬化学会「脂質異常症診療のQ&A」
脂質異常症診療の判断基準とLDL-C・non-HDL-C評価の注意点の参考
外来現場では、時間も限られる中で「どの指標を見て、どう判断するか」が常に課題になります。日本の健診レポートでは、LDLコレステロール140 mg/dL以上、中性脂肪150 mg/dL以上、HDLコレステロール40 mg/dL未満が一つの目安として記載されることが多い状況です。 しかし前述のように、LDL-CだけではVLDLレムナント由来のリスクを捉えきれません。 つまり「LDL-Cだけを見る診療」はダメということです。
関連)https://www.instagram.com/p/DL43jp1hhrM/
VLDLを意識した評価として実務的に取り入れやすいのが、non-HDL-CとTGの組み合わせです。 non-HDL-C(=TC−HDL-C)は、VLDL・IDL・LDLなどアポB含有リポタンパク質全体を反映し、VLDL-C高値による残余リスクをある程度取り込めます。 例えばLDL-C 90 mg/dLで一見良好でも、non-HDL-Cが160 mg/dLと高い場合、VLDLレムナントの負荷を疑うきっかけになります。 つまりnon-HDL-Cが基本です。
関連)https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.123.031878
介入の優先順位としては、まずLDL-Cをガイドライン目標まで下げることが第一ですが、それでもリスクが残る場合に、TG・non-HDL-C・ApoBを見ながら追加介入を検討する流れが現実的です。 例えば、心筋梗塞後の二次予防でスタチンによりLDL-C 60 mg/dLまで低下しているが、TG 220 mg/dL、non-HDL-C 150 mg/dLといったケースでは、生活習慣改善を前提に、EPA/DHAやフィブラート系薬剤などの追加を検討する場面があります。 これは使えそうです。
関連)https://www.j-athero.org/jp/publications/si_qanda/
また、患者さん自身が検査結果を見て自己判断する場面への備えとして、「LDL-Cだけではなく、TGやnon-HDL-Cもセットで確認する」ことをわかりやすく説明しておくと、長期フォローでのアドヒアランス向上にもつながります。 例えば「LDL-Cは目標以内でも、TGがこの赤いラインを超えていたら要注意です」といった“視覚的な基準”を一度共有しておくと、次回以降の診察がスムーズです。 〇〇が条件です。
人間ドックのコラム(脂質異常症とライフスタイル)
健診数値の目安と生活指導のヒントの参考
教育現場や新人研修では、VLDLを「大型トラック」、LDLを「小型トラック」とたとえ、そのどちらにも運転手としてアポBが1人ずつ乗っていると説明すると、脂質代謝がぐっとイメージしやすくなります。 そして「道路(血管)を傷つける確率は、トラックの大きさより台数に比例する」という比喩を通して、アポBやnon-HDL-Cの重要性を伝えるのは1つの工夫です。 〇〇が原則です。
関連)https://www.youtube.com/watch?v=t-3jnkuMiEU
この視点を持っていると、将来的にアポB測定や高度なリポタンパク分画(NMR解析やLipoSearchなど)がより普及した際にも、自然に臨床へつなげやすくなります。 また、患者説明でも「悪玉の数」や「トラックの台数」という表現を交えることで、VLDLとLDLの違いをかみ砕いて伝えつつ、薬物治療の必要性を理解してもらいやすくなる利点があります。 結論は「わかりやすさが予後を変える」です。
関連)https://www.ibl-japan.co.jp/files/user/img/business/inspect/liposerch/04-10_LS-Guide.pdf
LipoSearch解説資料(リポタンパク分画解析)
VLDLからIDL・LDLへの変化と分画解析の参考
【指定第2類医薬品】イブクイック頭痛薬DX 60錠