トピラマートには生命に関わる重大な副作用が複数存在し、医療従事者は常に警戒する必要があります 。
参考)https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066407
最も注意すべきは続発性閉塞隅角緑内障で、頻度は不明ですが投与1ヶ月以内に発症することが多く、急激な視力低下や眼痛が現れます 。この症状は両眼性近視と併発することが多く、患者から「急に見えにくくなった」「目が痛い」という訴えがあった場合は即座に投与を中止し、眼科的検査を実施する必要があります。
参考)https://academia.carenet.com/share/news/6c97a86f-a4cb-4b80-9cff-77488166124b
腎・尿路結石の発現頻度は2.3%と比較的高く、炭酸脱水酵素阻害作用による結石形成が原因です 。腎仙痛や腹部痛の症状が現れた場合は、十分な水分摂取の指導とともに、必要に応じて投与中止を検討します。特にケトン食療法中の患者や他の炭酸脱水酵素阻害剤との併用時にリスクが高まります。
参考)https://shizuokamind.hosp.go.jp/epilepsy-info/question/faq6-1/
代謝性アシドーシス(1.8%)では、高クロール性のアシドーシスが特徴的で、過換気や不整脈、重篤な場合は昏睡状態に至る可能性があります 。定期的な血液ガス分析と電解質モニタリングが欠かせません。
参考)http://igakukotohajime.com/2021/08/12/%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88tpm-topiramate/
トピラマートの副作用の中で特に注意が必要なのが乏汗症(0.3%)です 。この副作用は発汗機能の低下を引き起こし、体温調節機能に深刻な影響を与えます。
参考)https://www.cocorone-clinic.com/column/topiramate.html
乏汗症は特に小児患者で重篤化しやすく、発汗減少により体温上昇が起こり、熱中症様の症状を呈することがあります 。患者や家族に対して、発汗の減少や体温上昇に注意深く観察するよう指導することが重要です。
参考)https://medical.nihon-generic.co.jp/uploadfiles/medicine/TOPIR00_PI.pdf
夏季や高温環境下では特に警戒が必要で、患者には十分な水分摂取と涼しい環境での生活を心がけるよう指導します。また、激しい運動や長時間の日光暴露を避けるよう指導することも大切です。この副作用は投与初期から発現する可能性があるため、処方開始時から患者・家族への十分な説明と観察体制の確立が必要です。
トピラマートによる体重減少は21.3%という高い頻度で発現し、その機序は食欲低下作用によるものです 。
参考)https://www.carenet.com/drugs/category/antiepileptics/1139008F1027
この体重減少は、AMPA/カイニン酸型グルタミン酸受容体機能抑制作用により食欲中枢に影響を与えることが原因とされています 。過食症の治療に応用される場合もありますが、通常のてんかん治療では副作用として問題となります。
体重減少の程度は個人差が大きく、中には20%以上の体重減少を示す患者もいます。特に小児患者では成長への影響が懸念されるため、定期的な体重測定と栄養状態のモニタリングが必要です。
管理としては、患者・家族に体重変化の可能性を事前に説明し、食事摂取量の記録や定期的な体重測定を行います。著しい体重減少が認められる場合は、栄養指導や場合によっては投与量の調整、代替薬剤への変更も検討する必要があります。
トピラマートの投与により、多彩な認知機能障害が現れることが知られています 。特に言語機能、短期記憶、作業記憶(working memory)に顕著な影響を与えます。
具体的な症状として、会話障害、記憶力低下、思考力低下、思考異常が挙げられ、これらは患者の日常生活や社会生活に大きな影響を与えます 。学齢期の患者では学習能力の低下、成人患者では仕事のパフォーマンス低下につながる可能性があります。
参考)https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=17783
これらの認知機能障害は用量依存性があり、投与量の調整により改善する場合があります。医療従事者は患者や家族から認知機能の変化について詳しく聞き取りを行い、必要に応じて神経心理学的検査を実施することが推奨されます。
対応策として、症状が軽度の場合は投与量の減量を検討し、重篤な場合は代替薬剤への変更を検討します。また、患者・家族には副作用の可能性を事前に説明し、変化に気づいた際の早期報告を促すことが重要です。
トピラマートの眼科的副作用は急性閉塞隅角緑内障と急性近視が主要なものです 。これらの副作用は投与開始1ヶ月以内に発現することが多く、両眼性に起こる特徴があります。
参考)http://journal.nichigan.or.jp/Disp?style=abstamp;vol=125amp;year=2021amp;mag=0amp;number=12amp;start=1104
急性近視の機序は、毛様体の前方移動と水晶体の肥厚により眼軸長が短縮することによります 。患者は急激な視力低下を自覚し、「急に近くのものが見えにくくなった」と訴えることが多いです。
閉塞隅角緑内障では、眼圧上昇により眼痛、頭痛、悪心・嘔吐を伴うことがあります。重篤な場合は視野欠損や視神経障害により永続的な視力障害を残す可能性があります 。
参考)https://h-navi.jp/column/article/35029278/2
監視体制として、投与開始前には眼科的既往歴の確認と基礎眼圧の測定を行います。投与開始後1ヶ月間は特に注意深い観察が必要で、患者には視力変化や眼痛があった場合の即座の受診を指導します。症状が現れた場合は直ちに投与を中止し、緊急眼科コンサルテーションを行う必要があります。