広範囲に広がる皮疹があってもSLEDAIスコアはゼロになることがあります。

SLEDAIスコア(Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity Index)は、1992年にトロント大学のグループが提唱した全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患活動性指標です。 9つの臓器系にわたる24項目を評価し、各項目に重みづけされた点数を割り当てて合計する方式が採用されています。
関連)https://hokuto.app/calculator/RwTYE5Kp3U40HVd8UhlB
スコアの重みづけは症状の重篤さに応じて1〜8点の幅があり、神経・精神系(痙攣・精神症状・脳血管障害など)には最高の8点が設定されています。 一方で発熱・血小板減少・白血球減少は1点と軽めに設定されています。つまり、どの臓器が侵されているかによってスコアの伸び方が大きく変わるということです。
関連)https://www.nanbyou.or.jp/entry/32799
重症度の分類はSLEDAI-2K基準では以下のように区分されます。
関連)https://ctd-gim.hatenablog.com/entry/2020/10/24/145328
難病情報センターと厚生労働省の基準では、SLEDAIスコア4点以上を指定難病(難病番号49)の医療費助成対象と定めています。 これは「重症度分類」として位置づけられており、臨床的判断と合わせて総合的に判定します。
関連)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089929.pdf
スコアが4点以上であることが、患者さんが公的な医療費助成を受けられるかどうかの分岐点になる。そのため、スコアの算出ミスは患者さんの経済的な負担に直結するリスクがあります。計算は丁寧に行うことが原則です。
24項目は神経・精神系、腎臓系、皮膚・粘膜系、漿膜系、免疫学的所見など多岐にわたります。 以下に全項目と点数をまとめます。
関連)https://www.nanbyou.or.jp/entry/32799
| 点数 | 項目 |
|---|---|
| 8点 | 痙攣、精神症状、急性混迷状態、視力障害、脳神経障害、ループス頭痛、脳血管障害、血管炎 |
| 4点 | 関節炎、筋炎、尿円柱、血尿、蛋白尿、膿尿 |
| 2点 | 新たな皮疹、脱毛、粘膜潰瘍、胸膜炎、心膜炎、低補体血症、抗DNA抗体上昇 |
| 1点 | 発熱、血小板減少、白血球減少 |
関連)https://ryumachi.umin.jp/clinical_case/SLE_S.html
神経・精神系はどれも8点という高スコアです。これは臓器障害の重篤さを反映しています。
評価の際は「直近10日以内(オリジナルSLEDAI)または直近4週間(SLEDAI-2K)に認められた所見」を評価することが重要です。 過去の障害が残存している場合でも、活動性のない病変(たとえば瘢痕性脱毛や固定した皮疹、継続中のたんぱく尿)には注意が必要で、それらは活動性スコアとして計上しない場合があります。
関連)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2014/143061/201415118A_upload/201415118A0004.pdf
評価期間の取り違えは、スコアの過大・過小評価につながります。現場では評価期間の確認が必須です。
SLEDAIスコアで多くの医療従事者が陥りやすい誤解があります。意外ですね。
まず、皮疹の重症度や広がりはスコアに反映されない点です。 「新たな皮疹」という項目自体は2点ですが、その皮疹が軽度か全身に広がるほど重症かにかかわらず、点数は同じ2点のままです。これは、SLEDAIスコアが高いからといって皮膚症状が重篤とは限らないし、逆に皮疹が全身に及んでいてもスコアは低くなる可能性があるということです。
関連)https://www.m3.com/clinical/news/1312068
次に、「活動性のない病変」に注意するピットフォールがあります。 代表例を以下に挙げます。
関連)https://ctd-gim.hatenablog.com/entry/2020/10/24/145328
鑑別が条件です。「SLEらしい所見」と確信できる項目だけを点数化するのが正しい使い方です。
関連)https://ctd-gim.hatenablog.com/entry/2020/10/24/145328
また、SLE-DAS(SLE Disease Activity Score)という新指標と比較した研究では、SLEDAI-2Kは臨床的に意味のある疾患活動性の変化を検出する感度が低い場面があり、特に皮膚症状・血液学的所見の変化で乖離が生じやすいことが示されています。 改善の検出感度はSLE-DASが89.5%に対しSLEDAI-2Kは47.4%(P=0.008)という結果も報告されています。 これは使えそうです。
関連)https://nanbyo.or.jp/updates/201909yo/
SLEDAIにはいくつかのバリアントが存在します。 現場で混同されやすい2つを整理します。
関連)https://ryumachi.umin.jp/clinical_case/SLE_S.html
| 指標 | 提唱年・機関 | 評価期間 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| SLEDAI(オリジナル) | 1992年・トロント大学 | 直近10日以内 | 基本型。24項目を点数化 |
| SLEDAI-2K | 2002年改訂 | 直近4週間 | 持続する皮疹・脱毛・粘膜病変も評価対象に拡張 |
| SELENA-SLEDAI | 2005年・ジョンズ・ホプキンス大学 | 直近4週間 | 主に臨床試験で使用。各項目の細かい定義が異なる |
関連)https://hokuto.app/calculator/uogrbhGgbFKErDbyC7ph
SLEDAI-2Kが標準的です。日本の難病指定基準や多くの臨床試験でもSLEDAI-2Kが採用されています。
オリジナルのSLEDAIでは「持続する皮疹」は評価期間が短いため評価できないケースがありましたが、SLEDAI-2Kへの改訂でこの問題が解消されました。 評価したい期間・目的に応じて使用するバージョンを意識することが、正確なスコアリングにつながります。
関連)https://hokuto.app/calculator/uogrbhGgbFKErDbyC7ph
なお、フレアの定義としてはSLEDAI-2KスコアがベースラインよりもSLEDAI-2Kスコアが3点以上増加することがフレアとされ、3点以上の改善が「改善」と定義されています。 ±3点以内の変化は「活動性の持続」とみなします。これだけ覚えておけばOKです。
関連)https://ctd-gim.hatenablog.com/entry/2020/10/24/145328
参考:SLEDAI(SLE重症度分類)の計算方法と判定基準(HOKUTO)
https://hokuto.app/calculator/RwTYE5Kp3U40HVd8UhlB
SLEDAIスコアによる重症度評価は、治療方針の決定に直結します。 具体的には以下のような流れで活用されます。
治療目標はSLEDAI-2K 4点以下の低疾患活動性(LLDAS:Lupus Low Disease Activity State)の達成です。 LLDASの達成が、臓器障害の蓄積リスク低下と関連することが示されています。
関連)https://x.com/Life_one_9/status/1675112029466787841
また、治療開始後の重症度分類については、厚生労働省の指針では「直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断する」とされています。 これは、治療によって一時的にスコアが改善していても、過去6か月の最悪値で評価するということです。厳しいところですね。
関連)https://www.nanbyou.or.jp/entry/32799
モニタリングは定期的に実施することが推奨されており、臨床症状の評価に加えてSLEDAI-2Kを用いた定量的評価を組み合わせることで、フレアの早期検知と治療調整が可能になります。 スコアが3点以上悪化した場合はフレアと判断し、治療強化を検討するのが基本です。
参考:難病情報センター 全身性エリテマトーデス(指定難病49)重症度分類
https://www.nanbyou.or.jp/entry/32799
参考:MSDマニュアル プロフェッショナル版 全身性エリテマトーデス(SLE)
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/
[指定医薬部外品]チョコラBBローヤル2 50mL×10本