2023年5月、シオノギヘルスケアは川口春奈さんをセデスの新イメージキャラクターとして起用することを発表しました。川口さんは「セデスといえば『痛くなったらすぐセデス』という耳馴染みのあるキャッチフレーズで、本当に長く歴史のあるブランドだと思いますので、とても光栄に思います」とコメントしています。
参考)https://www.shionogi-hc.co.jp/content/dam/shc/jp/news/2023/05/20230517.pdf
川口さんが出演する新CMは、全編フルCG空間で制作されており、舞い上がる粒子が化学構造粒子になるなど、細部にまでこだわった映像表現が話題となっています。「痛みに速攻。セデス・ハイシリーズ」篇(15秒)と「痛みのプロフェッショナル。セデスブランド」篇(30秒)の2バージョンが制作されました。
参考)https://www.ken-on.co.jp/headline/20230517_23150/
川口さん自身の痛みとの付き合い方については、「自分をいたわる」ことを大切にしており、季節の変わり目には天気予報を確認して体を冷やさないよう心がけているそうです。また、「頭痛の時や、身体のコンディションが良くない時は身体的にもそうですけど精神的にも不安定なことがある」として、ブランドメッセージに深く共感していることを明かしています。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000048538.html
山本美月さんは、セデス・ハイシリーズのCMで長期間にわたり活躍している女優の一人です。特に2022年のセデス・ハイ プロテクトのCMでは、「よく効く痛み止めがいいけれど、胃へのダメージも気になる」という消費者の複雑な心理を見事に表現しています。
参考)https://www.ragnet.co.jp/sedes-cm/2
山本さんの出演CMで印象的なのは、2022年の新セデス「宇宙人登場」篇での演技です。このCMでは、セデスがどんな人にも使いやすい痛み止めであることをアピールしており、パッケージの開けやすさや海外の方でもわかる翻訳ページのQRコード機能など、商品の細かな特徴を丁寧に紹介する役割を担いました。
参考)https://www.ragnet.co.jp/sedes-cm
また、「ズキズキミズキにご用心」篇では、山本さんがズキズキミヅキ役を演じ、痛みの原因である悪魔として演出されています。ファンからは「天使だ!!」との声も上がるほど愛らしい演技を見せており、今田美桜さんとの共演も話題となりました。
山本さんのスタイリッシュな解説スタイルは、「効果をすばやく実感する様子」を視聴者にイメージさせる効果があり、医薬品CMとしての信頼感を高める重要な要素となっています。
セデスブランドのCMには、時代とともに様々な女優が出演してきました。1987年には荻野目洋子さんが「痛くなったらすぐセデス」のフレーズを歌うCMに出演し、この楽曲が現在も使用されているブランドソングの原型となりました。
1994年にはヴァネッサ・ウィリアムズさんがパワフルな歌唱で『Save The Best For Last』を披露するCMが制作されました。このCMはミュージックビデオの構成となっており、温かさと力強さを同時に表現する独特な演出が印象的でした。
2000年代に入ると、瀬戸朝香さんが2005年の新セデス錠「花屋」篇に出演しました。お花屋さんで働く役柄で、仕事中の頭痛からセデスによる回復まで、日常的なシーンで親しみやすさを演出しています。
2009年には鈴木杏樹さんが出演し、セデスやシオノギ製薬の痛みと向き合ってきた歴史を振り返るCMで、商品への信頼感を伝える役割を果たしました。
原田夏希さんも「身支度」篇でセデスキュアのCMに出演し、日常の不安な準備も笑顔でこなす姿を通じて、「いざという時のためのセデス」というメッセージを表現しました。
医薬品CMに出演する女優には、一般的なCMとは異なる特殊な演技技術が求められます。まず重要なのは「信頼感の演出」です。川口春奈さんが新CMで見せた「凛とした表情で力強く話す」演技は、医薬品の効果への期待感を高める典型的な手法です。
山本美月さんの演技で特筆すべきは「複雑な心理状態の表現力」です。「よく効く痛み止めがいいけれど、胃へのダメージも気になる」という消費者の葛藤を、表情だけで伝える技術は高度な演技力を要求されます。
また、医薬品CMでは「安心感の醸成」が不可欠です。瀬戸朝香さんの「花屋」篇で見せた、頭痛の始まりから回復までの感情の変化を自然に演じる技術は、視聴者の共感を呼び起こすことで商品への信頼を築いています。
さらに、医薬品特有の「症状の表現」も重要な技術です。痛みの表現は過度にならず、かつリアリティを保つ絶妙なバランスが求められます。山本さんが演じる「ズキズキミヅキ」では、痛みの象徴でありながら愛らしさも表現する高度な演技技術が披露されました。
セデス・ハイCMの女優起用には、綿密なブランド戦略が存在します。シオノギヘルスケアは2023年に「すべての人に、やさしく、正しく、あなたの痛みに合わせた医薬を」という新ブランドメッセージを掲げ、川口春奈さんの起用もこの戦略に沿ったものです。
川口さんの「お仕事に真摯に向き合う姿勢や親しみやすいお人柄」が、セデスのブランドメッセージに共鳴することが起用理由として挙げられています。これは単なる知名度ではなく、パーソナリティとブランド価値の一致を重視したキャスティング戦略の表れです。
山本美月さんの長期起用も、ブランドの継続性と信頼性を築く戦略として機能しています。同一女優の継続起用により、消費者の中でセデス・ハイと山本さんのイメージが結びつき、ブランド認知度の向上に大きく貢献しています。
歴代女優の系譜を見ると、各時代の「理想的な女性像」を反映したキャスティングが行われています。荻野目洋子さんの時代は歌唱力、瀬戸朝香さんの時代は親しみやすさ、山本美月さんの時代はスタイリッシュさと、それぞれ異なる魅力で時代のニーズに応えてきました。
現代の川口春奈さんの起用は「真摯さと親しみやすさの両立」という、現代社会が求める女性像を体現したものと分析できます。医薬品という信頼性が最重要の商品において、この戦略的キャスティングは極めて効果的な手法といえるでしょう。