サリドマイド誘導体薬の種類と作用機序の使い分け

サリドマイド誘導体薬は多発性骨髄腫治療に年間1兆円規模で使用される重要な薬剤ですが、レナリドミドとポマリドミドの作用機序の違いや適応の使い分けを正確に理解していますか?

サリドマイド誘導体薬の種類と作用機序

レナリドミド腎機能低下患者で体外排泄が遅延します。


この記事の3ポイント
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サリドマイド誘導体の市場規模

レナリドミド・ポマリドミドは多発性骨髄腫治療薬として世界で年間約1兆円の規模で使用される

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作用機序の違い

ポマリドミドはIkaros・AiolosだけでなくARID2も分解し、レナリドミド耐性症例にも効果を示す

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催奇形性リスク

すべてのサリドマイド誘導体は厳格な安全管理手順による胎児曝露防止対策が必須


サリドマイド誘導体薬の主要3種類と化学構造



サリドマイド誘導体薬は、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドの3種類が医療現場で使用されています。これらはすべてサリドマイドと類似の化学構造を持ち、セレブロン(CRBN)というタンパク質に結合することで薬理作用を発揮します。


関連)https://www.nitech.ac.jp/news/press/2023/10583.html


サリドマイドは商品名サレドカプセルとして、再発・治療抵抗性の多発性骨髄腫ハンセン病のらい性結節性紅斑の治療に承認されています。レナリドミドはレブラミドカプセル、ポマリドミドはポマリストカプセルとして、主に多発性骨髄腫の治療に用いられます。


関連)https://www.kango-roo.com/word/20999


これらは免疫調節薬(IMiD)に分類されます。


関連)https://www.amed.go.jp/news/release_20210120-02.html


3剤とも動物実験でサリドマイドと同様の催奇形性を有することが確認されています。そのため、製造販売・管理・使用に対して「サリドマイド製剤安全管理手順」または「レブラミド・ポマリスト適正管理手順」による厳格な安全管理が承認条件として求められています。


関連)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000203428.pdf


市場規模は世界で年間約1兆円以上に達しており、血液がん治療における重要な薬剤として位置づけられています。


関連)https://www.nitech.ac.jp/news/press/2023/10583.html


サリドマイド誘導体のタンパク質分解機序とセレブロン

サリドマイド誘導体は、タンパク質分解酵素であるE3ユビキチンリガーゼの構成因子の一つであるセレブロン(CRBN)に結合することで作用を発揮します。セレブロンと結合した後、様々なタンパク質の分解を誘導し、その結果として多様な薬理作用および副作用を示すことが明らかになっています。


関連)https://www.amed.go.jp/news/release_20210120-02.html


レナリドミドはセレブロンを介してIkarosとAiolosという転写因子を分解することで抗腫瘍効果を発揮します。これらの転写因子の分解が多発性骨髄腫細胞の増殖抑制につながります。


関連)https://www.titech.ac.jp/news/2020/047846


つまり標的タンパク質の分解です。


一方、ポマリドミドはIkarosとAiolosに加えて、ARID2というタンパク質も分解に導くことが東京工業大学の研究グループによって明らかにされました。ARID2の分解活性はポマリドミドの方がレナリドミドよりも遥かに高く、この違いが両薬剤の効果の差を生んでいます。


関連)https://www.titech.ac.jp/news/2020/047846


この作用機序の違いにより、ポマリドミドはレナリドミド耐性の多発性骨髄腫細胞に対してもARID2を分解し、増殖阻害を引き起こすことができます。さらに、ARID2はレナリドミド耐性や再発・難治性の多発性骨髄腫で高発現しており、患者の予後を予測する「予後不良マーカー」として有用であることも判明しました。


関連)https://www.titech.ac.jp/news/2020/047846


サリドマイド誘導体の使い分けと副作用プロファイル

レナリドミドとポマリドミドは、サリドマイドに比べてより強い免疫調節作用と抗腫瘍作用を持っています。サリドマイドに比べて神経毒性が少ないとされていますが、血小板減少や急性腎不全が問題となる場合があります。


関連)https://www.kango-roo.com/word/20999


血小板減少が問題なら選択肢が変わります。


このような場合、サリドマイドの方が好まれることがあります。レナリドミドについては、腎機能が低下した患者では体外への排泄がスムーズに行かないことが報告されているため、慎重な使用が必要です。腎機能障害患者では用量調整を検討する必要があります。


関連)https://oncolo.jp/cancer/multiple-myeloma-treatment&rut=19a9d659ddf9007375f4e7ee62a67400cf3b8c4d4992e030442758b938f14615


ポマリドミドは比較的新しい免疫調整薬として位置づけられています。レナリドミドやボルテゾミブ(プロテアソーム阻害剤)が効かなくなった多発性骨髄腫の患者に対しても一定の効果が報告されており、治療選択肢として重要です。


関連)https://oncolo.jp/cancer/multiple-myeloma-treatment&rut=19a9d659ddf9007375f4e7ee62a67400cf3b8c4d4992e030442758b938f14615


副作用プロファイルの違いを理解することで、患者の腎機能、血小板数、過去の治療歴などに応じた適切な薬剤選択が可能になります。治療抵抗性の症例では、ポマリドミドの独自の作用機序であるARID2分解能力が治療効果をもたらす可能性があります。


関連)https://www.titech.ac.jp/news/2020/047846


サリドマイド誘導体の催奇形性と安全管理体制

サリドマイドは妊娠初期の過敏期に一錠でも服用すると確実に胎児の奇形を起こす、極めて催奇形性の強い薬剤です。レナリドミド及びポマリドミドもサリドマイドと類似の化学構造を有し、動物実験においてサリドマイドと同様に催奇形性を有することが確認されています。


関連)https://www.min-iren.gr.jp/news-press/shinbun/20180821_35749.html


妊婦への投与は絶対禁忌です。


安全管理体制として、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドの各製剤については、他の医薬品と異なり承認条件として厳格な管理手順が求められています。医療機関では、配薬時に一名の患者に一作業とする、入院時持参薬の取扱いに注意するなどの再発防止策が必要です。


関連)https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0002.html


PMDAのウェブサイトには各製剤の「患者向医薬品ガイド」や「RMP資材」など、使用にあたって参照すべき資料が掲載されています。医療従事者は、これらの安全管理手順を遵守し、妊婦および妊娠している可能性のある女性への投与を確実に回避する必要があります。


関連)https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0002.html


PMDA「サリドマイド、レナリドミド及びポマリドミド製剤に関する情報」では、各製剤の安全管理手順や患者向けガイドが詳細に解説されています。


サリドマイド誘導体の最新研究とPROTACへの応用

PROTACは次世代治療薬です。


さらに、この改良型サリドマイド誘導体を、次世代の治療薬として期待されているキメラ化合物PROTAC(プロタック)へ応用したところ、催奇性に関与するタンパク質の分解が抑制され(副作用の軽減)、薬効標的タンパク質をより選択的に分解誘導する(高い薬理作用)ことが示されました。


関連)https://www.ehime-u.ac.jp/tp_20230911_pros/


名古屋工業大学の柴田哲男教授らは、サリドマイドの鏡像異性体に関する研究も行っています。左手型鏡像異性体にのみ催奇形性が観察され、右手型鏡像異性体は奇形を誘発しないという実験結果が得られましたが、サリドマイドの鏡像異性体は体内で容易にラセミ化(右手型と左手型の平衡混合物に変化)することが明らかになりました。この生体内自己不均一化現象の解明は、安全なサリドマイド開発研究を進める上で重要な知見となっています。


関連)https://www.nitech.ac.jp/news/press/2018/7114.html

【第3類医薬品】チョコラBBプラス 180錠