サンバーンは紫外線B波(UVB:280-320nm)が主な原因となる急性炎症反応です。UVBは波長が短いため皮膚の表皮層までしか到達しませんが、その影響力はUVAの600-1000倍と非常に強力です。
参考)https://www.adachi-ichou.com/blog/249.html
UVBがDNAに直接損傷を与えると、細胞はその修復過程で炎症を引き起こします。具体的には以下のような機序で症状が現れます:
参考)https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/symptom/p-kn9sf40aw
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3752269/
症状は紫外線曝露後1-24時間で現れ始め、8-24時間でピークに達します。軽度では紅斑と落屑のみですが、重度では疼痛、腫脹、水疱形成を伴い、全身症状(発熱、悪寒、脱力)が現れることもあります。
参考)https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/14-%E7%9A%AE%E8%86%9A%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%97%A5%E5%85%89%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8F%8D%E5%BF%9C/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%B3
サンタンは主に紫外線A波(UVA:315-400nm)が原因となる色素沈着反応です。UVAは波長が長いため真皮深部まで到達し、メラノサイトを刺激してメラニン色素の過剰生成を引き起こします。
参考)https://www.plathlone.com/campaign/uv-suntansunburn/
サンタンの発症機序は以下の通りです。
参考)https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=viewamp;serial=4585
参考)https://www.treat-karada.com/news/view/908
UVAは太陽光に含まれる紫外線の約9割を占め、雲や窓ガラスも透過するため、室内でも注意が必要です。曇りの日でも紫外線量はあまり減少せず、一年を通じて対策が必要です。
両者の最も重要な違いは発症時期と症状の持続期間です。
サンバーンの時間経過:
参考)https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/01.pdf
サンタンの時間経過:
興味深いことに、サンバーンを起こした後にサンタンが現れることが多く、これは強い紫外線曝露により両方の反応が同時に誘発されるためです。逆に、サンバーンが起きずにサンタンも起きない場合、メラニン生成能力が低く、長期的にはより重篤な皮膚損傷を受けている可能性があります。
サンバーンとサンタンの予防には、それぞれ異なるアプローチが必要です。日焼け止めの選択においても、SPF(UVB防御)とPA(UVA防御)の両方を考慮する必要があります。
参考)https://www.tdk.com/ja/tech-mag/knowledge/069
SPF(Sun Protection Factor):
参考)https://www.env.go.jp/earth/report/h21-02/3-2_chapter3-ref.pdf
PA(Protection grade of UVA):
特に注意すべきは、UVBの影響が最も強くなる時期と時間帯です:
登山やスキー、海水浴では直接的な紫外線に加えて反射による照り返しで、通常の2倍の紫外線を浴びる可能性があります。
サンバーンは単なる一時的な炎症ではなく、長期的な健康への影響が懸念されています。特に重要なのは皮膚癌との関連です。
DNA損傷と皮膚癌リスク:
参考)https://reiko-skin.jp/sun_burn
年代別のサンバーン影響:
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2873840/
複数の疫学研究により、幼少期のサンバーンが成人後の皮膚癌リスクを特に高めることが判明しています。メタ解析では以下の結果が報告されています。
免疫系への影響:
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2195812/
サンバーンは皮膚の細胞性免疫を抑制し、感染症に対する抵抗力を低下させます。特に皮膚タイプI/II(色白で日焼けしやすい)の人では、短時間の紫外線曝露でも免疫抑制が起こることが報告されています。
医療従事者として患者指導を行う際は、これらの長期的リスクを含めた包括的な説明が重要です。特に小児の患者や保護者に対しては、将来的な皮膚癌予防の観点から、幼少期からの適切な紫外線対策の重要性を強調する必要があります。