局所製剤でも皮膚からの吸収率は0ではありません。ロキソニンテープ50mgは16枚で内服錠1錠の全身曝露に匹敵するとの薬剤師解説があり、無自覚に多部位へ貼付すれば“塗る内服”状態になります[1]。結果としてCOX阻害による胃粘膜防御低下や腎前性循環障害が進行し、内服と同程度の消化管潰瘍・腎機能悪化リスクが顕在化します[2][3]。
テープ基剤や添加剤(ジイソプロパノールアミンなど)によるアレルギー性接触皮膚炎は報告が絶えません[4]。また類似NSAIDs湿布モーラステープで知られる光線過敏症は、ロキソニンテープでも理論上起こり得るため日光曝露部位への連用は注意が必要です。皮膚バリア損傷が進むと吸収率がさらに上がり、全身副作用を助長する悪循環となります。
看護師レポートでは全身10枚以上貼付した高齢者が胃穿孔で入院したケースが紹介されています[2]。NSAIDs過量摂取後のロキソプロフェン血中濃度推移を示した薬物動態研究でも、高濃度時に急性腎障害が発生しています[5]。貼付剤であっても累積曝露が臓器障害発症域に達する可能性は無視できません。
疼痛が慢性化すると患者は“痛みの蓋”としてテープを多用し、医師へ痛み評価を正確に伝えにくくなる“ペイン・キャッピング”が起きます。適正使用指導だけでなく、疼痛原因治療や多職種介入が過量貼付抑制に必須です。疼痛専門看護師や理学療法士との協働で、貼付剤依存から運動・物理療法中心へシフトするアプローチを推奨します。
適正使用情報(添付文書抜粋)
ロキソニンテープ100mg患者向け情報:主な副作用・用法
貼りすぎと内服相当量の関係解説
淀協薬剤師の一口アドバイス:ロキソプロフェンテープ16枚で錠1錠相当