プローブの種類と用途、特徴の理解

医療現場で使用される超音波プローブにはコンベックス型、リニア型、セクタ型など複数の種類があり、それぞれ異なる特徴と適した用途があります。観察部位や深度に応じた適切なプローブ選択が、正確な診断につながりますが、あなたは各プローブの特性を正しく理解していますか?

プローブの種類と特徴

超音波プローブの主な種類
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コンベックス型プローブ

接地面が凸状で深部の広角観察が可能。腹部や臓器の検査に最適

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リニア型プローブ

接地面が平坦で高解像度。体表血管や浅部組織の観察に使用

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セクタ型プローブ

接地面が小さく狭い空間でも使用可能。心臓エコー検査に特化

プローブの形状と観察範囲

 

超音波診断装置で使用されるプローブには、主に3つの基本形状があり、それぞれが異なる観察目的に最適化されています。プローブの接地面の形状によって、超音波ビームの伝播パターンが変化し、観察できる範囲や解像度が決定されます。
参考)エコーの原理・仕組みを簡単に理解する|看護師向け|プローブの…

コンベックス型プローブは、接地面が弓状に湾曲しており、比較的大きな接地面から扇状に広がる視野を確保できます。この形状により、深部では接地面よりも広い範囲の画像が得られるため、腹部全般、産科・婦人科領域、前立腺診断などの深部臓器観察に広く使用されています。
参考)エコー(超音波)機器の特徴と取り扱い注意点

リニア型プローブは接地面が平坦で、超音波ビームがまっすぐに伝播するため、接地面付近の視野幅を大きくとることができます。この特性により高解像度の画像が得られ、体表血管、乳腺、甲状腺など体表に近い部位の観察や、血管穿刺、神経ブロックなどの手技に適しています。
参考)超音波プローブ (探触子) / 日本電波工業株式会社

セクタ型プローブは接地面が極めて小さいにもかかわらず、扇状に広い視野の観察が可能です。この特性により肋骨間などの狭い空間からでも深部の観察ができるため、主に心臓エコー検査に使用されます。
参考)超音波検査 - 21. 救命医療 - MSDマニュアル プロ…

プローブの周波数特性と深達度

プローブの性能を決定する重要な要素の一つが、超音波の周波数です。各プローブタイプには特有の周波数範囲が設定されており、これが観察深度と解像度のバランスを決定します。
参考)エコー検査(超音波検査)について

コンベックス型プローブは通常3〜6MHz程度の低周波数帯を使用し、これにより深部到達性が高くなります。リニア型プローブは8〜14MHzの高周波数帯を使用することで、減衰が強くなる代わりに高解像度の画像が得られます。セクタ型プローブは3〜5MHz程度の周波数で、心臓などの深部構造の観察に適しています。
参考)https://www.jsum.or.jp/uploads_files/guideline/shindanbosyuu/20250108.pdf

超音波は深部に伝播するにしたがって対数的に減衰するため、観察対象の深度に応じた周波数選択が重要です。高周波リニアプローブの場合、減衰により深部ではノイズが増加するため、一般的には3〜4cm程度、最大でも6cm程度までの深度を観察対象とすることが推奨されています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/33/3/33_443/_pdf

エコーの原理と仕組みに関する看護師向け詳細解説(プローブの種類と周波数の関係について)

プローブ使用における臨床的考慮事項

臨床現場では、観察部位の特性に応じて適切なプローブを選択することが診断精度を左上させます。浅側頭動脈など浅部の血管を観察する場合には12MHz以上のリニア型プローブが有効であり、頭蓋内動脈の観察には1〜5MHz程度のセクタ型プローブを用います。​
プローブ選択の際には、観察対象となる血管や臓器の深度に応じて周波数を切り替える必要があります。血管深度が深い場合は周波数を下げることで減衰の影響が少なくなり深部の画像が得られますが、解像度は低下します。逆に血管深度が浅い場合は周波数を上げることで高解像度の画像が得られますが、減衰が強くなります。​
広帯域プローブを使用した場合、1本のプローブで周波数の切り替えが可能となり、様々な深度の観察に対応できます。また、フレームレートを確保するために、観察視野を調整し、視野深度が深い場合は適切な深度設定に変更することが推奨されます。​

プローブの適切な管理と保守

プローブの適切な管理は、検査精度の維持と感染予防の観点から極めて重要です。各使用後には必ずプローブを清掃し、消毒する必要があります。清掃手順としては、各検査後にプローブの測定面と筐体についた超音波ゼリーを拭き取り、測定面やケーブル部に損傷がないか確認します。
参考)https://www.nanosonics.jp/media/x5oainfv/wp05_mm02072-jp-wp-v01_prof-morikane.pdf

CDCガイドラインでは、感染リスクの程度に応じて医療機器を3つのカテゴリーに分類するスポルディング分類に基づき、それぞれに要求される滅菌や消毒のレベルが示されています。超音波プローブの場合、使用部位や検査内容によって適切な消毒レベルを選択する必要があります。​
定期的な点検も重要で、音響レンズ面や持ち手部分に傷やひびなどの異常がないか、コネクタのひび割れや破損、ピン折れがないかを確認します。装置本体やプローブホルダは取扱説明書に基づいて清掃を行い、装置の吸気口や排気口の点検も定期的に実施する必要があります。
参考)http://www.jse.gr.jp/contents/guideline/data/guideline_checkback_2022-05.pdf

超音波プローブ再処理基準の基本と診療部門別アプリケーションに関する専門的ガイド

プローブ選択における独自の臨床視点

プローブ選択において見落とされがちですが重要な要素として、患者の体型や検査時の体位、肋骨間隙の広さなどの個別要因があります。同じ観察部位でも、患者の体格によって最適なプローブが異なる場合があります。
参考)フィブロスキャン測定プローブ(株式会社インテグラル)

肝臓の線維化測定に使用されるフィブロスキャンでは、プローブから肝臓までの距離(PCD)に合わせて、標準体型向けのMプローブ、肥満体型向けのXLプローブ、小児や狭肋間体型向けのSプローブという3種類のプローブが用意されています。被検者の体型に適したプローブを用いることで、適切な測定範囲を維持し、検査精度を担保することができます。​
最近では「プローブ自動推奨ツール」のような技術も開発されており、検査時にPCDを計測して被検者の体型に適したプローブを参考情報として推奨する機能が実装されています。このような技術の進歩により、より個別化された検査アプローチが可能となっています。​
また、インプラント治療における歯周ポケット測定では、金属製プローブではなくプラスチック製プローブを使用することで、インプラント表面を傷つけるリスクを回避できます。適切な圧力管理と材質選択により、正確な測定と長期的なインプラント維持が可能になります。
参考)プロービング圧の最適基準とは?インプラントの炎症リスクと正し…

 

 


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