インスリン専用注射器を使わないと100倍量を投与してしまいます。
インスリン製剤は、作用発現時間と作用持続時間により大きく6つのタイプに分類されます。 dmic.jihs.go(https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/100/030/03.html)
超速効型は注射後10~20分で効果が現れ、1~3時間でピークを迎え、3~5時間作用が続きます。速効型は30分~1時間で作用を開始し、2~4時間でピーク、5~8時間持続するのが特徴です。これらは主に食事による血糖上昇を抑える「追加分泌」の補充に使われます。 196189(https://www.196189.com/column/31_2)
中間型と持効型は「基礎分泌」の補充を目的としており、1日を通じて血糖値を安定させる役割を担います。中間型は作用持続時間が約18~24時間、持効型は24時間以上の効果が得られます。 dmic.jihs.go(https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/100/030/03.html)
つまり追加分泌か基礎分泌かで使い分けるということですね。
混合型は速効型または超速効型と中間型を一定の割合で混ぜ合わせたもので、一度の注射で両方の効果を得られます。配合溶解型は超速効型と持効型溶解インスリンを組み合わせた新しいタイプで、薬液が透明なため注射前に混ぜる必要がありません。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/about-diabetes-internal-medicine/insulin-therapy/insulin-types/)
2026年2月に日本糖尿病協会が注射製剤一覧表を改訂しており、インスリン製剤・GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬が網羅されています。 nittokyo.or(https://www.nittokyo.or.jp/modules/information/index.php?content_id=311)
超速効型インスリンには、インスリンリスプロ(ヒューマログ、ルムジェブ)、インスリンアスパルト(ノボラピッド、フィアスプ)、インスリングルリジン(アピドラ)があります。ルムジェブはヒューマログよりさらに吸収を速めた製剤で、フィアスプもノボラピッドより吸収が速い特性を持ちます。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/about-diabetes-internal-medicine/insulin-therapy/insulin-types/insulin-types-comparison-guide/)
速効型にはヒトインスリン製剤として、ヒューマリンR、ノボリンRなどがあります。 hokuto(https://hokuto.app/post/QLtAWxuJFdbLH31Ll5uG)
持効型溶解インスリンでは、インスリングラルギン(ランタス、ランタスXR、グラルギンBS)、インスリンデグルデク(トレシーバ)、インスリンデテミル(レベミル)が使用されています。グラルギンBSはバイオシミラー製剤で、薬価を抑えた選択肢となります。 kanri.nkdesk(https://kanri.nkdesk.com/chouzai/chouzai5.php)
2025年1月30日に発売されたアウィクリ(インスリンイコデク)は、世界初の週1回投与の基礎インスリン製剤です。皮下注射されると血中のアルブミンと結合することで作用時間が長くなり、週1回の投与で持続的な血糖降下作用を示します。従来の基礎インスリンは1日1回の注射が必要でしたが、週1回で済むため患者の負担を大幅に軽減できます。 deguchi-cl(https://www.deguchi-cl.com/blog/%E7%99%BA%E5%A3%B21%E5%B9%B4%EF%BD%9C%E9%80%B11%E5%9B%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F/)
これは使えそうです。
混合型インスリンには、ヒューマリン3/7、ノボリン30R(速効型と中間型の混合)、ヒューマログミックス25/50(超速効型と中間型の混合)、ノボラピッド30/50/70ミックス(超速効型と中間型の混合)があります。配合溶解インスリンとしてライゾデグ(トレシーバ成分70%と超速効成分30%)が使用されており、他の混合製剤と異なりインスリンを振って混和する必要がないため使いやすくなっています。 shimoyama-naika(https://shimoyama-naika.com/dm/medications/insulin/)
日本糖尿病学会の注射製剤一覧表(2026年版)には、各製剤の詳細な情報と薬価が記載されています。
インスリン製剤の選択は、患者の血糖値の変動パターンと生活リズムによって異なります。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/about-diabetes-internal-medicine/insulin-therapy/insulin-types/insulin-types-comparison-guide/)
食事による血糖上昇を抑える目的では、超速効型または速効型インスリンを使用します。超速効型は食直前または食後すぐに投与し、速効型は食事の30分前に投与するのが基本です。超速効型の利点は、食事のタイミングに柔軟に対応できる点にあります。 196189(https://www.196189.com/column/31_2)
1日を通じた基礎的な血糖コントロールには、中間型または持効型インスリンを用います。持効型は1日1回の投与で24時間以上効果が持続し、ピークがないため低血糖のリスクが低いのが特徴です。 shimoyama-naika(https://shimoyama-naika.com/dm/medications/insulin/)
基本は追加分泌と基礎分泌の組み合わせということですね。
両方を同時に補充したい場合は、混合型または配合溶解型インスリンを選択します。混合型は1日2回の投与が一般的で、朝食前と夕食前に使用されることが多いです。配合溶解型のライゾデグは、基礎インスリンと追加インスリンの両方の効果を透明な薬液で提供し、混和の手間がありません。 takamuranaika(https://takamuranaika.com/wp/wp-content/uploads/2021/07/c73d53ee2fb747ea8727090adbcd71e9-1.pdf)
注射回数を減らして患者の負担を軽減したい場合、週1回投与のアウィクリが選択肢になります。アウィクリは基礎インスリンとしての役割を週1回の注射で果たすため、毎日の注射を忘れやすい患者や注射への抵抗感が強い患者に適しています。 otake-cl(https://otake-cl.com/blog/post-90/)
インスリンバイアル製剤の調製時に、インスリン専用注射器を使用せず単位換算を誤り、本来投与すべき量を上回る投与が行われた医療事故やヒヤリ・ハット事例が繰り返し報告されています。 gemmed.ghc-j(https://gemmed.ghc-j.com/?p=74173)
インスリンのバイアル製剤は「1単位=0.01mL」ですが、「インスリン1単位=1mL」と誤解して過量投与してしまう事故が発生しています。2012年1月から2017年8月までに、1mL(100倍量)を患者に投与してしまった事例が3件報告されました。インスリンの過量投与は急激な低血糖を引き起こし、命にかかわる事態も招きかねません。 dm-net.co(https://dm-net.co.jp/calendar/2017/027445.php)
痛いですね。
医療事故事例の分析では、薬剤量間違い(過剰)が最も多く33件、薬剤間違いが21件と多く報告されています。発生段階では注射の実施が最も多く35件、指示受けが18件などでした。注射事故の約10%がインスリン事故であることも明らかになっています。 med-safe(https://www.med-safe.jp/pdf/report_2015_3_T001.pdf)
PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、インスリン専用注射器を選択できるような環境をつくること、注射器に「単位」または「UNITS」の表示があることの確認を徹底することの2点に絞った提言を行いました。インスリン製剤を保管する冷蔵庫に注意書きを貼るのも有効な対策です。 yamaguchi.med.or(http://www.yamaguchi.med.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/2026houan_275.pdf)
この過量投与リスクを回避するには、医療機関全体でインスリン専用注射器の使用を徹底する体制づくりが必要です。
もう一つの重大なリスクとして、食事が中止となった患者に食事摂取時と同じ量のインスリンを投与し、低血糖を来してしまう医療事故が散発しています。2016年1月1日から2024年8月末までの間に7件報告されました。食事摂取状況を確認せずにインスリンを投与すると、重篤な低血糖を引き起こすため、投与前の食事状況確認が必須です。 gemmed.ghc-j(https://gemmed.ghc-j.com/?p=63263)
PMDAの医療安全情報(インスリン専用注射器の使用)では、具体的な再発防止策が詳しく解説されています。
インスリン製剤の選択では、患者のライフスタイルや認知機能、手指の器用さなども重要な考慮要素になります。
高齢者や認知機能が低下している患者では、注射回数が多いほど投与忘れや投与ミスのリスクが高まります。週1回投与のアウィクリは、このような患者にとって服薬アドヒアランスを改善する選択肢となります。アウィクリの薬価は従来の基礎インスリン製剤トレシーバフレックスタッチとほぼ同等であり、経済的負担の増加もありません。 deguchi-cl(https://www.deguchi-cl.com/blog/%E7%99%BA%E5%A3%B21%E5%B9%B4%EF%BD%9C%E9%80%B11%E5%9B%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F/)
患者が自己注射を行う場合、混合型インスリンの中でも配合溶解型のライゾデグは振って混和する必要がないため、手指の力が弱い高齢者や関節リウマチの患者でも扱いやすいです。 kounandai-clinic(https://kounandai-clinic.net/insulin_drug.html)
意外ですね。
超速効型インスリンの中でも、ルムジェブやフィアスプは従来製剤よりさらに吸収が速いため、食後の血糖スパイクが顕著な患者や、食事時間が不規則な患者に適しています。これらの製剤は食後投与も可能なため、食事摂取量が予測しにくい小児や高齢者にも使いやすい特性があります。 shimoyama-naika(https://shimoyama-naika.com/dm/medications/insulin/)
GLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬との併用も選択肢として考えられます。これらは体重増加のリスクが低く、インスリン療法で体重管理が課題となっている患者に有用です。 nittokyo.or(https://www.nittokyo.or.jp/modules/information/index.php?content_id=311)
バイオシミラー製剤であるグラルギンBSは、先発品のランタスと同等の効果を持ちながら薬価が抑えられているため、長期的な治療費負担を軽減したい患者に提案できます。 shimoyama-naika(https://shimoyama-naika.com/dm/medications/insulin/)
患者の生活パターンに合わせた柔軟な製剤選択が、血糖コントロールの成功と患者のQOL向上につながります。医療従事者は各製剤の特性を深く理解し、患者一人ひとりに最適な治療プランを提案することが求められます。