あなた、発疹がなくても血栓で遅れます。
参考)https://www.shouman.jp/archives/print/print_5_33_76_01.pdf

グルカゴノーマは膵のグルカゴン産生腫瘍で、症状は高血糖だけでなく、皮膚、栄養、血液、精神神経、血栓まで広くまたがります。日本の報告では膵内分泌腫瘍514例のうち4.9%がグルカゴノーマで、悪性率は52%でした。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
珍しい病気です。
そのため、単独症状ではなく「複数の軽い異常の束」として拾う意識が大切です。典型例としては壊死性遊走性紅斑、糖尿病または耐糖能障害、体重減少、貧血、低アミノ酸血症が並びます。
参考)グルカゴノーマ - 10. 内分泌疾患と代謝性疾患 - MS…
医療従事者が見落としやすいのは、糖尿病の増悪をありふれた2型糖尿病の変化として処理してしまう場面です。ところがグルカゴノーマでは、皮疹が主訴でなくても、数か月単位で体重が落ち、口角炎や舌炎、脱毛傾向まで重なることがあります。つまり全身病です。
参考)https://www.shouman.jp/archives/print/print_5_33_76_01.pdf
壊死性遊走性紅斑はグルカゴノーマ症候群の70%にみられる、もっともありふれた所見です。会陰部や鼠径部に始まり、四肢へ移り、中央に青銅色の硬結ができ、周囲に痂皮や落屑を伴うという流れが特徴的です。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
皮膚だけでは足りません。
皮膚科で湿疹、接触皮膚炎、真菌症として追われる間に、内分泌腫瘍の評価が後ろに回ることがあります。しかもこの皮疹は痛みやかゆみを伴い、粘膜へ及ぶと舌炎、口角炎、口内炎、眼瞼炎まで広がるため、皮膚疾患に見えても栄養障害や内分泌異常を同時に考える必要があります。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
ここで大事なのは、「壊死性遊走性紅斑があるから疑う」だけで終わらないことです。遊走性壊死性紅斑がない場合もあると明記されており、発疹がないから除外、は危険です。結論は除外しないことです。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
皮膚所見のリスクを減らす場面では、診療録や紹介状に病変の部位、移動性、痂皮、落屑、粘膜症状を一度で書き切るのが有効です。情報を抜けなく共有する狙いなら、皮膚写真を院内ルールに沿って保存し、EUSや内分泌内科への紹介前に時系列で確認する行動が現実的です。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
皮膚所見の整理に役立つ概要があります。
小児慢性特定疾病情報センター:グルカゴノーマ 概要
体重減少は65%、糖尿病は50%、正球性貧血は約30%とされ、消化器症状として下痢は約20%にみられます。数字で見ると、発疹より先に代謝異常や栄養障害として遭遇しても不思議ではありません。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
数字で考えるべきです。
たとえば、ここ数か月でベルトの穴が1〜2個分ゆるむ体重減少があり、同時にHbが下がり、血糖コントロールも崩れている患者では、ありふれた食思不振だけで片づけないほうが安全です。低アミノ酸血症や低アルブミン血症が背景にあると、皮膚や粘膜、筋力、全身倦怠感がばらばらに出て、診療科ごとに別問題として処理されがちです。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
治療や診断の整理に使いやすい医療者向けの概要です。
MSDマニュアル プロフェッショナル版:グルカゴノーマ
深部静脈血栓症は10〜15%にみられ、致命的な状態になり得るとされています。精神神経症状も約20%に認められ、うつ状態、失調症状、認知症、視神経萎縮、近位筋筋力低下まで含まれます。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
ここは盲点です。
精神神経症状も厄介です。食欲低下、抑うつ、認知機能低下、筋力低下が別々の問題として扱われると、全体像が見えにくくなります。つまり多系統症状です。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
診断では血漿グルカゴン測定と血中アミノ酸濃度測定が有用で、グルカゴノーマでは血中グルカゴン濃度が500 pg/mLを超えることが多いとされています。局在診断にはUS、CT、MRI、EUSが有用です。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
検査の順番が大切です。
検索上位の記事は症状の説明に寄りがちですが、現場では「どの時点で腫瘍を疑って画像へ進めるか」が実務上の差になります。糖尿病悪化、移動性の皮疹、体重減少、貧血、口角炎や舌炎のうち、2〜3項目が同時にあるなら、皮膚単独、糖尿病単独で追わず、膵NENの可能性を意識した採血と画像に進めるのが合理的です。
参考)糖尿病悪化以外の症状を認めず,診断に難渋したグルカゴノーマの…
独自視点として重要なのは、症状を「臓器別」にではなく「アミノ酸不足で一本化して眺める」ことです。低アミノ酸血症は皮膚、粘膜、筋力、貧血、体重減少を一列に並べる軸になり、ばらばらの訴えを一つの病態に束ねやすくします。これは使えそうです。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
また、治療面では外科的切除が治癒を目指せる唯一の治療法で、内分泌症状の緩和にはソマトスタチンアナログが有用です。皮膚症状にはアミノ酸と脂肪酸の定期的輸注が有効とされており、外科適応の前後で支持療法の意味が大きい点も押さえておきたいところです。〇〇が原則です、に当てはめるなら「確定したら切除検討が原則です」と覚えると整理しやすいです。
参考)グルカゴノーマ 概要 - 小児慢性特定疾病情報センター
症例ベースで深掘りしたい場合の参考です。