エネーボ配合経腸用液は、日本人の術後患者や高齢患者、経管栄養を必要とする栄養不良患者の栄養ニーズに合わせて設計された新しい経腸栄養剤。推奨栄養所要量(RDA)と日本人食事摂取基準(DRI)を満たすようにビタミン、ミネラル、微量元素(クロム、モリブデン、セレン)をバランス良く配合。また、腸内環境を整えるフラクトオリゴ糖、脂質代謝を助けるタウリン、L-カルニチンも含有。標準1日1,000~1,667mL(1,200~2,000kcal)を経管または経口で投与する設計で、バニラ味のみ。半消化態栄養剤に分類される[1][2][3]。
主な効果は、手術後や長期にわたり経口摂取が困難な患者の栄養保持。従来の経腸栄養剤で不足しがちな微量元素やビタミンを補い、栄養バランスの改善が期待される。特に高齢者や寝たきり患者、術後の回復期において、栄養素の欠乏による白血球減少、貧血、不整脈、褥瘡悪化などのリスク低減に寄与する[1][3]。
臨床試験では、59例中43例(72.9%)に副作用が認められた。主な副作用は消化器症状で、下痢(40.7%)、便秘(15.3%)、腹部膨満(10.2%)、腹痛(8.5%)が多い。その他、低ナトリウム血症(6.8%)、高カリウム血症(5.1%)、肝機能異常、尿量減少なども報告されている。重大な副作用としてショック、アナフィラキシーがあるため、投与初期は特に観察が重要[2][4][3]。
投与初期は下痢などの副作用に注意し、減量や中止を検討。ビタミン・電解質・微量元素の不足リスクもあるため、必要に応じて補給を行う。禁忌は、成分に過敏症の既往歴、牛乳タンパクアレルギー、イレウス、腸管機能不全、高度の肝・腎障害、重症糖尿病、先天性アミノ酸代謝異常など。ワルファリンとの併用時はビタミンK含有による作用減弱に注意[2][4][5]。
エネーボ配合経腸用液は、従来の経腸栄養剤と比較し微量元素の配合バランスが優れているため、長期投与や高齢者、褥瘡リスクの高い患者に特に適している。半消化態であるため消化管機能がある程度保たれている患者に向くが、消化態・成分栄養剤との使い分けも重要。現場では、患者の腸管状態や既往歴、合併症、栄養状態、味の嗜好性(バニラ味のみ)などを総合的に判断し、他剤とのローテーションや組み合わせも検討される。意外な点として、経腸栄養剤の中でも投与速度や初期量の設定が細かく規定されているため、導入時の管理がより厳密に求められる[1][5][3]。
参考:エネーボの添付文書には、投与初期の観察ポイントや副作用発現時の対応例が詳細に記載されている。現場での投与管理や副作用対策の具体的な手順を知りたい場合に有用。