アルダクトンA錠の有効成分はスピロノラクトンで、アルドステロン拮抗薬に分類されます。主に腎臓の遠位尿細管に作用し、アルドステロンによるナトリウム・水分再吸収を抑制し、ナトリウム排泄とカリウム保持を促進します。これにより、カリウム保持性利尿薬として高血圧や浮腫、原発性アルドステロン症などに用いられます[1][2]。
アルダクトンは高血圧症、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、特発性浮腫、悪性腫瘍に伴う浮腫や腹水、栄養失調性浮腫、原発性アルドステロン症の診断・治療に適応されます。特に心不全患者においては、従来治療に加えることで死亡リスクや入院頻度を有意に減少させることが複数の臨床試験で示されています[1][2][3]。
重大な副作用には電解質異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アシドーシス)、急性腎不全、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)などがあります。これらは頻度不明ですが、特に腎機能障害や高齢者ではリスクが高く、定期的な血液検査が不可欠です[1][4][5][6][7][8][9]。
スピロノラクトンはステロイド骨格を持つため、内分泌系への影響が特徴的です。女性型乳房(男性患者の約10%)、乳房腫脹、乳房痛、性欲減退、陰萎、多毛、月経不順、無月経、閉経後出血、音声低音化などが報告されています。これらの副作用は減量や中止で改善することもありますが、持続する場合もあり注意が必要です[2][4][10][11][9]。
精神神経系ではめまい、頭痛、四肢しびれ感、神経過敏、うつ状態、不安感、精神錯乱、運動失調、傾眠などが、消化器系では食欲不振、悪心・嘔吐、口渇、下痢、便秘などがみられます。これらの症状は頻度不明ですが、日常生活に支障をきたす場合は医師に相談が必要です[2][4][6][8][9]。
アルダクトンは本来の適応症以外にも、女性の脱毛症治療や多毛症、ニキビ治療などホルモン作用を活かした皮膚科領域での応用が進んでいます。特に女性型脱毛症(FAGA)に対して、抗アンドロゲン作用を利用した治療として注目されています。副作用管理を徹底したうえでの応用が求められます[4]。
アルダクトン服用中は、特に高カリウム血症や腎機能障害の早期発見のため、定期的な血液検査(電解質・腎機能・肝機能)が必須です。併用禁忌薬や高カリウム血症のリスク因子(腎機能低下、ACE阻害薬・ARB併用など)にも注意が必要です。夜間頻尿は比較的少ないですが、個人差があるため患者指導も重要です[1][6][7][11]。
この部分には、アルダクトンの副作用や服用時の注意点が詳細に記載されています。
参考:副作用やモニタリングに関する詳細は日本医薬品情報センターの添付文書が有用です。
添付文書(副作用・モニタリングの詳細)