「延命治療を続けるほど、在宅医療報酬を取り逃している医師も多いんです。」
在宅緩和ケア医としての萬田緑平医師は、もともと大学病院第一外科で手術と抗がん剤治療、胃ろう造設などを担当していた外科医です。 外科として「治す医療」の最前線にいた医師が、在宅緩和ケアに軸足を移した背景には、延命治療を続ける中で「誰のための医療なのか」という強い疑問が積み重なった経緯があります。 2008年から約9年間、緩和ケア診療所で在宅医療に専従し、その間に関わった看取りは2000件を超えています。 4歳から102歳までという幅広い年齢層を自宅で看取った経験は、日本の在宅緩和ケア医の中でも突出した規模であり、1年あたり200人前後のペースで看取りに関わってきた計算になります。 結論は、在宅看取り2000件という数字は「例外的な個人の熱意」ではなく、「在宅緩和ケアに特化すればここまで出来る」というモデルケースを示す臨床データだということです。 jisin(https://jisin.jp/domestic/2479862/?rf=2)
この経歴から読み取れるのは、急性期病院の外科医が在宅緩和ケアに移ることで、医療者自身のキャリアの出口戦略にもなり得るという点です。 平均1施設あたり在宅医療従事医師数が1.9人前後とされる調査結果と比較すると、1人の医師がここまで看取りを積み上げるには、診療所の体制設計がいかに重要かも見えてきます。 外科出身というバックグラウンドは、がん終末期の病態変化と急変シナリオをイメージしやすく、在宅で「何をやらないか」を決める際の判断材料にもなります。 つまり外科医が在宅に移行することには、単なる転身以上の相乗効果があるということですね。 jmari.med.or(https://www.jmari.med.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/WP497.pdf)
萬田医師は現在、「緩和ケア 萬田診療所」の院長として在宅医療を続けながら、全国で年間50回以上の講演を行っています。 1年365日のうち約7日に1回講演している計算であり、診療と情報発信を両立させるワークスタイルは、単独開業を検討する在宅医にとって1つの参考モデルになります。 「最期まで目一杯生きる」という講演タイトルが象徴するように、ゴールは「延命」ではなく「生活の充実」に置かれています。 これは、医療者が患者家族に説明するときのキーワードにもなり得ます。 結論は「延命より満足」をどう現場に落とし込むかが、在宅緩和ケア医の腕の見せどころです。 kaigo-postseven(https://kaigo-postseven.com/?p=218075)
この部分の詳細なプロフィールや著書情報は、幻冬舎の著者ページがコンパクトにまとまっています。 gentosha(https://www.gentosha.jp/author/1643/)
萬田緑平|幻冬舎 著者ページ
在宅医療に関する公的調査を見ると、「在宅医療に対応している医師数は1施設あたり平均1.9人」「機能強化型では平均5.8人」といった具体的な数字が示されています。 24時間対応や看取り実績を持つ機能強化型の診療所ほど人員を多く抱えており、それだけ夜間・休日対応が医師の時間と体力を消耗している現実が浮かび上がります。 一方で、在宅医療の課題として最も多く挙げられているのは「医師の高齢化(44.1%)」であり、「24時間対応体制の確保(35.2%)」「在宅医療に従事する医師の確保(34.1%)」が続きます。 つまり制度上は在宅看取りを推進しながら、現場ではマンパワー不足と医師の高齢化がボトルネックになっているということです。 これが基本です。 pref.hiroshima.lg(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/528468.pdf)
厚生労働省の診療報酬改定でも、「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」や在宅末期がん患者への指導評価など、看取り実績と24時間対応に対する加算が設けられています。 これは、制度の側からも「病院での延命治療一辺倒」から「在宅での自然な看取り」へのシフトを促しているサインと読み取れます。 ただし、加算を得るには「一定数の在宅看取り実績」や「24時間対応体制」の整備が条件となるため、小規模診療所にとってはハードルも高いのが現実です。 在宅緩和ケア医としては、患者・家族の満足度と医療者の持続可能な働き方、そして診療報酬上の評価の三者をどうバランスさせるかが実務上のテーマになります。 つまり制度の読み解きも臨床スキルの一部ということですね。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251538.pdf)
このテーマについては、在宅医療機能調査の報告書が、全国レベルのデータと課題整理を提供してくれます。 jmari.med.or(https://www.jmari.med.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/WP497.pdf)
第3回 診療所の在宅医療機能に関する調査(日本医師会総合政策研究機構)
この視点に立つと、在宅緩和ケア医が診察のたびに「今日はどれくらい歩けましたか?」と尋ねる理由が見えてきます。 医療者側にとっては、バイタルや血液データよりも、実際の歩行状況を把握することで、訪問頻度の調整や、夜間の急変リスクをより現実的にイメージできます。 家族にとっても、「昨日より2歩減った」といった具体的な変化は、心の準備を進めるための重要なサインになります。 こうした「歩行を軸にした見立て」は、在宅チーム全体の共通言語としても機能します。 いいことですね。 jisin(https://jisin.jp/domestic/2479862/?rf=2)
萬田医師のインタビューでは、病院での延命治療として「点滴や水分を入れられ、酸素チューブをつけられる」状態が、必ずしも患者本人の幸せな最期とは限らないと何度も語られています。 これは、集中治療室や急性期病棟で働く医療者にとっては日常風景ですが、在宅緩和ケアの視点から見ると「チューブを増やすほど、生活の自由度が削られる」という現実があります。 例えば、末期がん患者に点滴を続けると、点滴スタンドやルート管理のためにトイレ移動が難しくなり、オムツへの依存が増えるケースが少なくありません。 1日1500mlの点滴を続けることで、足のむくみや呼吸苦が増え、結果としてモルヒネの増量が必要になることもあります。 結論は、「よかれと思って続ける延命措置が、生活の質と症状コントロールを悪化させる」場面が現実に存在するということです。 kaigo-postseven(https://kaigo-postseven.com/217927)
一方、在宅での自然な看取りを目指す場合、点滴を最小限に抑え、口から摂れる範囲で水分と栄養をとり、痛みと息苦しさを中心に緩和していくアプローチが選択されます。 このとき、医療者側には「何もしないのではないか」「見捨てているのではないか」という葛藤が生じがちですが、実際には「患者がしたいことをする時間」を確保する意味があります。 例えば、「孫の誕生日までは生きたい」という希望に合わせて死亡診断書の日付を一緒にイメージするエピソードは、医学的延命ではなく、生活のゴールに寄り添う象徴的な実践です。 つまり在宅緩和ケア医の仕事は、「治療するかどうか」ではなく、「どう生きて終わりたいか」を一緒に構築することに重心があります。 kaigo-postseven(https://kaigo-postseven.com/?p=218075)
このテーマに関しては、ニュースサイトのインタビュー記事が、延命治療への疑問と在宅看取りの実際を具体的なケースで紹介しています。 kaigo-postseven(https://kaigo-postseven.com/217927)
《2000人以上を看取る》在宅緩和ケア医・萬田緑平さんインタビュー|介護ポストセブン
在宅緩和ケアでは、患者と家族だけでなく、ケアマネジャー、訪問看護師、訪問薬剤師、ヘルパーなど、多職種との連携が前提になります。 1症例あたりに関わる職種が5〜7職種に及ぶことも珍しくなく、情報共有と役割分担がうまく機能しないと、同じ説明を何度も繰り返したり、誰も本音を聞けていない状態に陥ります。 萬田医師の実践では、「医師が全部説明する」のではなく、「誰がどの話を担当するか」を明確にし、特に家族の不安や怒りを受け止める役割を訪問看護師と分担している点が特徴的です。 例えば、「治療をやめる」という重いテーマについては、最初に医師が方向性を提示し、その後の感情の揺れを看護師がフォローする形が多いといいます。 結論は、多職種チームの中で医師が「全部を抱え込まない」設計こそが、長期的な在宅緩和ケア継続の鍵だということです。 pref.hiroshima.lg(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/528468.pdf)
また、家族とのコミュニケーションでは、「死亡診断書の日付を一緒に考える」「どのタイミングで誰を呼ぶかを前もって決める」といった、具体的な未来の場面を共有する対話が重視されています。 これは、「いつ死ぬか」ではなく「どういう状態になったら最期に近いと判断するか」を共有する作業であり、家族がパニックに陥るリスクを減らします。 例えば、「呼吸が浅くなり、尿がほとんど出なくなったら、そろそろ最期の2〜3日かもしれません」と事前に伝えておくことで、「いつ救急車を呼ぶべきか」という迷いを軽減できます。 これは使えそうです。 kaigo-postseven(https://kaigo-postseven.com/?p=218075)
こうしたコミュニケーションを支えるツールとして、在宅緩和ケア向けの説明冊子や、地域の緩和ケア連携パスを活用する方法もあります。 リスクは、資料の枚数が増えすぎて家族が読み切れないことなので、「最低限ここだけは一緒に読みましょう」という1〜2枚を決めておくと現実的です。 医療従事者にとっては、自分が在宅の主治医でなくても、「最期まで自宅を希望する患者に、どのタイミングで在宅緩和ケア医を紹介するか」というチェックポイントを手帳やスマホにメモしておくだけでも、患者側の選択肢を広げることができます。 結論は、在宅緩和ケアのノウハウは、病院勤務の医師や看護師にとっても、日常診療の中で活かせる実践知だということです。 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251538.pdf)
在宅緩和ケア医のコミュニケーションの工夫や、家族との対話の具体例は、女性自身や介護系メディアの記事で多く紹介されています。 jisin(https://jisin.jp/domestic/2479862/?rf=2)
「僕は“看取り屋”ではなく“生き抜き屋”」在宅緩和ケア医・萬田緑平さんの信条|女性自身