スノードロップの球根はニラに似た見た目で、誤食すると嘔吐・呼吸困難を引き起こします。
スノードロップの花言葉が怖いと言われる最大の理由は、イギリスの一部地域に伝わる「ケルマの伝説」にあります。少女ケルマが最愛の恋人を亡くした悲しみのあまり、摘み取ったスノードロップを恋人の胸にそっと置いたところ、その体はたちまち雪の雫となって消えてしまったという悲劇の物語です。
この伝説が生まれた地域では、スノードロップを贈ることは「あなたの死を望みます」という意思表示とみなされ、家に持ち込むことも不幸を招く行為として長らく忌み嫌われてきました。つまり怖い花言葉の起源です。
とはいえ、重要なのはこれがイギリスの「一部の農村地域」に限定された言い伝えだという点です。同じイギリスでも地域によって受け取り方が異なり、スコットランドでは後述するようにまったく逆の「幸運の象徴」として親しまれています。
8,560人を対象にした調査では、スノードロップは「実は怖い花言葉を持つ植物」ランキングの堂々1位に選ばれています。これはそれだけ多くの人が「希望」という明るいイメージとのギャップに驚くからでしょう。意外ですね。
GreenSnap:スノードロップの花言葉|怖い意味もある?花を贈っても大丈夫?(花言葉の由来と贈り方の注意点について詳しく解説)
スノードロップには「怖い」花言葉ばかりでなく、「希望」「慰め」「逆境の中の希望」という非常にポジティブな花言葉も存在します。こちらが基本です。
その由来は旧約聖書のアダムとイブの物語にさかのぼります。禁断の果実を食べてエデンの園を追放された2人が、厳しい冬の寒さに凍えていたとき、天使が降ってくる雪をスノードロップの花へと変え、2人を勇気づけたというエピソードです。絶望の淵に差し込む一筋の光、それがスノードロップの「希望」という花言葉の本質です。
英名の「Snowdrop(スノードロップ)」は、中世ヨーロッパの女性が身につけていたドロップ型のイヤリングに花の姿が似ていることに由来するという説が有力です。和名「待雪草(マツユキソウ)」は、雪の下で春を待つ姿を表しており、明治初期に日本へ渡来した際につけられました。
また「恋の最初のまなざし」「初恋のため息」という花言葉もあります。これは、うつむき加減に咲くスノードロップの姿が、初恋に悩む人の様子に重ねられたことに由来します。下を向いてうつむいている見た目が、こんなにも多くの物語を生み出してきたわけです。
| 花言葉 | 由来 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 希望・慰め | 旧約聖書(アダムとイブ) | ポジティブ |
| 逆境の中の希望 | 雪の中で咲く姿 | ポジティブ |
| 恋の最初のまなざし | 雪の中で愛を告げる伝承 | ロマンティック |
| 初恋のため息 | うつむく花の様子 | ロマンティック |
| あなたの死を望みます | イギリス農村のケルマの伝説 | ネガティブ(地域限定) |
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スノードロップにまつわる伝説は、国によって印象がまったく異なります。「怖い」ケルマの伝説だけが全てではないということです。
まずドイツには「雪の色」という優しい伝説があります。神様が花たちに色を与えた際、雪だけが色をもらえず悲しんでいたとき、スノードロップだけが「私の白い色でよければ」と雪に分けてあげたという話です。このエピソードからスノードロップは「純粋さ」や「思いやり」の象徴ともされています。
スコットランドでは、新年を迎える前にスノードロップの花を見つけると幸運に恵まれるとされています。スノードロップの開花は通常2月ごろなので、年明け前に咲いているのを見つけるのはとてもまれです。それだけレアなラッキーシンボルというわけです。
また、ロシアの劇作家サムイル・マルシャークによる童話劇「森は生きている」(原題「12の月」)では、主人公の少女が真冬の森で待雪草(スノードロップ)を探しに行く場面が印象的に描かれています。映画やミュージカルにもなったこの作品の中で、スノードロップはまさに「希望」そのものとして描かれています。
ヨーロッパ全体では「マリアの花」「雪の花」「可愛い瞳」など愛情深い別名が多く、怖いイメージはあくまでイギリスの限られた地域の話だという点は、押さえておきたいところです。
花言葉以上に知っておくべき「本当の怖さ」があります。スノードロップは全草が有毒な植物なのです。
特に球根(鱗茎)には、「リコリン」と「ガランタミン」という2種類のアルカロイド系毒素が高濃度で含まれています。リコリンは摂取後数十分以内に激しい嘔吐・下痢・腹痛を引き起こします。さらに怖いのがガランタミンで、神経伝達に関わる酵素を阻害することで、最悪の場合は呼吸筋の麻痺につながるリスクがあります。
ガランタミンはその薬理作用の強さから、医薬品としてアルツハイマー型認知症の治療薬「レミニール(ガランタミン臭化水素酸塩)」の有効成分として承認されています。つまり同じ成分が、適切に精製・管理されれば薬になり、誤って生の球根として摂取すれば毒になるわけです。これは使えそうな知識です。
注意が必要なのは、スノードロップの葉がニラや野草のノビルに見た目が似ているため、山菜採りや家庭菜園での誤食事故が国内外で報告されている点です。葉には「ネギ臭がない」という点が識別の重要なポイントです。ニラや野草のノビルには独特の硫黄系の香りがありますが、スノードロップにはその香りがありません。
鉢植えや庭でスノードロップを育てている家庭では、小さなお子さんやペットが球根を口にしてしまわないよう注意が必要です。犬や猫にとっても有毒と確認されており、嘔吐・下痢・震えなどの症状が出た場合はすぐに獣医師へ相談することが大切です。
公益社団法人 東京生薬協会:スノードロップ(ガランタミンなどのアルカロイドを含む有毒性について、専門機関による解説)
花言葉の怖い側面を知った上で、スノードロップをプレゼントとして贈るのは問題ありません。ポジティブな花言葉の方が圧倒的に多く、贈る相手も国内であれば「希望」「慰め」のイメージで受け取ってくれるケースがほとんどです。
ただし、注意すべき場面があります。病気や体調の芳しくない友人・家族への贈り物として選ぶ場合、もしくはイギリス・ヨーロッパの文化圏にゆかりのある相手への贈り物として選ぶ場合は、一言添えるひと配慮が安心です。「希望の花言葉を込めて」とメッセージカードに書き添えるだけで、意図がしっかり伝わります。
スノードロップが市場に出回るのは主に1月〜3月の早春です。切り花としての流通は非常に少ないため、花束として贈るのは難しく、鉢植えでのプレゼントが現実的な選択肢です。1月1日・1月7日・1月16日・2月2日・2月26日の誕生花なので、冬〜早春生まれの方への誕生日プレゼントにぴったりです。
鉢植えを贈る際は、ヒガンバナ科の植物であるため球根に毒性がある旨をメッセージカードに軽く添えておくと、ペットや小さな子どもを持つ相手にも安心して受け取ってもらえます。お子さんやペットがいるお宅への贈り物には向かないかもしれません。そこは注意が条件です。
また、スノードロップとよく混同されるのが「スノーフレーク(鈴蘭水仙)」です。スノーフレークはベル型の白い花でスズランに近い見た目で、開花時期は3月〜5月とやや遅め。スノーフレークは切り花として流通することもあり、花束に向いています。「スノードロップを花束で」と考えている場合、スノーフレークが代替として活用できる場面もあります。
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