パニック障害と障害者手帳の申請条件

パニック障害をお持ちの方が精神障害者保健福祉手帳を取得するための条件や申請手続き、メリットについて詳しく解説します。等級判定基準や仕事への影響、支援制度の活用方法はどのようなものでしょうか?

パニック障害と障害者手帳の取得

パニック障害で利用できる障害者手帳とは
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精神障害者保健福祉手帳の対象

パニック障害は精神疾患として認定され、日常生活に制約がある場合には手帳申請が可能

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障害年金との違い

パニック障害は原則として障害年金の対象外だが、障害者手帳は問題なく申請可能

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申請の基本条件

初診日から6ヶ月以上経過し、医師の診断書によって日常生活の困難さを証明する

パニック障害における精神障害者保健福祉手帳の申請条件

パニック障害は不安障害の一種として精神疾患に分類され、症状が重くて日常生活が困難な場合には精神障害者保健福祉手帳の申請が可能です。パニック障害による発作や予期不安が仕事や日常生活に大きな支障をきたしている場合、障害者手帳の対象となります。
参考)適応障害、不安障害・パニック障害、PTSDで障害者手帳を得る…

 

手帳の申請には、医師による初診日から6ヶ月以上が経過していることが必要です。この期間は、症状の経過を観察し、日常生活への影響を適切に評価するために設けられています。また、障害者手帳の交付で最も重要なのは医師の診断書であり、日常生活がどの程度困難になっているかを医師に正確に伝え、診断書に反映してもらう必要があります。
参考)精神障害者保健福祉手帳とは?申請方法からメリットまでを解説

 

重要な点として、パニック障害を含む神経症は原則として障害年金の対象とはなりませんが、障害者手帳については問題なく申請できます。これは、障害者手帳と障害年金がまったく異なる制度であるためです。
参考)パニック障害では精神保健福祉手帳と障害年金は無理ですか?

 

パニック障害における障害者手帳の等級判定基準

パニック障害を含む精神疾患の障害者手帳の等級は、厚生労働省の基準に基づいて1級から3級までの3段階で判定されます。パニック障害の場合、多くは2級または3級に該当することが一般的です。
参考)精神障害者保健福祉手帳とは?―精神疾患に関わる障害を支える支…

 

1級は「精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」とされ、一人で生活することが困難な状態を指します。これは重度の症状で、パニック障害のみでは該当することは稀です。
参考)エラー

 

2級は「精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」であり、3級は「精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」として定義されています。
参考)精神障害者保健福祉手帳

 

等級の判定は、精神疾患の存在の確認、精神疾患の状態の確認、能力障害(活動制限)の状態の確認、精神障害の程度の総合判断により行われます。診断書には、金銭管理や社会的手続きの可否など、具体的な日常生活動作の困難さが記載されます。
参考)精神障害者保健福祉手帳と障害年金の等級判定基準

 

パニック障害での障害者手帳申請手続きと必要書類

精神障害者保健福祉手帳の申請は、居住地の市区町村の障害福祉担当窓口で行います。申請に必要な書類は、障害者手帳申請書、医師による診断書、本人の写真(縦4cm×横3cm)です。
参考)大阪市:精神障がい者保健福祉手帳 (…href="https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000006291.html" target="_blank">https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000006291.htmlgt;障がいのある方へhref="https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000006291.html" target="_blank">https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000006291.htmlgt;精…

 

診断書は、精神障害の初診日から6ヶ月以上経過してから、精神保健指定医または精神障害の診断・治療に従事する医師が記載したものが必要です。診断書には手帳の交付を求める精神疾患の病名とICDコード(F00~F99)の記載が必要で、パニック障害の場合は該当するコードが付記されます。
参考)エラー

 

申請は家族や医療機関関係者による代理申請も可能です。申請から手帳の交付までは約2ヶ月程度かかり、各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターで審査が行われます。
なお、精神障害を理由として障害年金を受給している場合は、障害年金証書の写し等を診断書の代わりとして提出することも可能です。手帳の有効期限は交付日から2年間で、更新時には再度診断書または年金証書等の提出が必要です。

パニック障害による仕事や日常生活への具体的影響

パニック障害は突然起こる強い不安感や恐怖感とともに、激しい動悸や息切れ、呼吸困難や発汗などの身体的症状に襲われるパニック発作を繰り返す精神疾患です。仕事においては、通勤時の満員電車やエレベーターなどの密閉空間、大勢の前での発表などの緊張が続く状況、残業や過労による疲労の蓄積などでパニック発作が起こりやすくなります。
参考)パニック障害(パニック症)と仕事

 

パニック障害の方が職場で感じやすい悩みには、予期不安による集中力の低下や、「会議中に発作が起きたらどうしよう」「外回りの途中で発作が起きたら助けてもらえないのではないか」という不安があります。また、同僚からの理解を得られない場合もあり、関わりを避けられたり、一人で留守番中の発作では助けを求められないといった経験をする方もいます。
参考)パニック障害の方の仕事の付き合い方

 

パニック障害は仕事や対人関係に大きな影響を及ぼします。具体的には、仕事中の緊張や不安が強くなり、発作への心配から集中力が続かなくなったり、やる気が湧きにくくなったりします。思ったように力を発揮できず、強い緊張で疲れ果ててしまうことも少なくありません。
参考)【初心者向け】パニック障害とは?症状・原因・治療方法をやさし…

 

また、友人や家族との付き合いにも変化が現れ、不安を避けるために人と会うことを避け、集まりやイベントへの参加を控えるようになる場合が多く、これにより孤独感や寂しさを感じやすくなります。

パニック障害における障害者手帳取得のメリットと支援制度

精神障害者保健福祉手帳を取得することで、さまざまな支援を受けることができ、自立した生活を送るきっかけや経済的負担の軽減につながります。主なメリットとして、税制上の優遇措置、公共料金の割引、医療費の助成、障害者雇用の利用、福祉サービスの活用があります。
参考)精神障害者保健福祉手帳とは?等級ごとの特徴やメリットについて…

 

税制面では、障害者控除により所得税で27万円、住民税で26万円の控除を受けることができます。この控除は本人だけでなく、配偶者や扶養者にも適用されるため、家族全体の税負担軽減につながります。
公共料金の割引としては、NHK受信料の減免、携帯電話料金の割引、上下水道料金の割引、公共交通機関の運賃割引などが受けられます。これらの割引により、日常生活での出費が減り、外出しやすくなったり経済面での不安が軽減されます。
参考)精神障害者の方への各種公的支援 - 精神疾患専門 横浜障害年…

 

医療費については、精神障害者保健福祉手帳1級であれば心身障害者医療費助成制度が適用され、費用負担の軽減が図れます。また、自立支援医療制度(精神通院医療)により、医療費の自己負担が3割から1割に軽減されます。
障害者雇用における活用では、精神障害者保健福祉手帳があれば障害者雇用枠での就職が可能になります。障害者雇用枠を利用することで、症状に配慮した働き方ができ、職場での理解と支援を得やすくなります。また、失業保険の給付も優遇され、自己都合退職でも就職困難者として300日間(45歳以上は360日間)の給付を受けることができます。
参考)パニック障がいの方の雇用