腎代替療法の実務でまず押さえたいのは、日本では「血液透析」「腹膜透析」「腎移植」を並列の選択肢として扱い、患者と家族を含めて選ぶという発想です。5学会合同の「腎代替療法選択ガイド2020」は、医師だけでなく看護師やソーシャルワーカーも対象に編集され、患者の疑問に答える形で構成されています。
関連)http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/cpg/pdf/typeC/20200910.pdf
毎年、わが国では約4万人が新たに腎代替療法を必要とします。これは中規模の市の人口が毎年そっくり治療選択に入る規模で、説明の質が医療現場の負担にも直結します。つまり選択支援が診療そのものです。
関連)https://www.lifescience.co.jp/shop2/index_0202.html
この視点を持つと、単なる治療説明が「生活設計の支援」に変わります。患者の就労、通院距離、介護力、自己管理能力まで聞けると、後から「聞いていなかった」というクレームや療法変更の遠回りを減らしやすくなります。
関連)https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/34-3/34-3_434.pdf
腎代替療法選択ガイド2020の構成を確認したい部分です。
https://www.lifescience.co.jp/shop2/index_0202.html
慢性腎不全の導入では、今も「症状」「腎機能」「日常生活障害」を合わせて考える視点が重要です。日本で長く参照される厚生科研基準では、臨床症状30点、CrまたはCcr 30点、日常生活障害30点、年齢と全身性血管合併症10点の合計100点中、60点以上を導入の目安とします。
関連)腎代替療法導入基準(血液透析,腹膜透析,腎移植) (腎と透析…
数字があると安心です。ですが、点数だけで決める発想に戻るのは危険です。結論は総合判断です。
関連)http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/cpg/pdf/typeC/20200910.pdf
ここは上位記事でも誤解されやすい点です。AKIの腎代替療法では、早く始めればよいとは限りません。
関連)1/37-1-22.pdf">https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/37-1/37-1-22.pdf
AKIKI試験、IDEAL-ICU試験、STARRT-AKI試験などでは、早期開始群で生命予後の改善が明確に示されず、むしろ待機群の一部ではRRT自体を回避できた症例がありました。早く回すほど安全そうに見えますが、実際には「本来不要だった透析」を増やす過剰適応がデメリットになります。
関連)https://note.com/marianna99/n/n7a3c16c8261f
これは忙しいICUほど刺さる論点です。数値悪化を見て先回りしたつもりが、腎回復の機会や手技関連負担を余計に背負わせる可能性があるからです。つまり早いだけでは不十分です。
関連)https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/37-1/37-1-22.pdf
もちろん待てばよいわけでもありません。AKIKI-2では、開始を遅らせすぎると生命予後が悪い傾向も示され、2025年の集中治療領域ガイドライン解説でも、緊急適応がない場合は慎重な経過観察をしつつ、極端な遅延は避ける考え方が整理されています。〇〇に注意すれば大丈夫です、の〇〇は「早すぎ」と「遅すぎ」の両方です。
関連)https://note.com/marianna99/n/n7a3c16c8261f
医療者が先に結論を決めると、患者はあとから不満を持ちやすくなります。たとえば通院透析なら週3回前後の通院負担、腹膜透析なら自宅管理と感染対策、腎移植なら紹介の時期とドナー・施設の検討が必要です。結論は価値観の整理です。
関連)http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/cpg/pdf/typeC/20200910.pdf
患者説明では、メリットだけでなく「何が面倒か」を数字で伝えると理解が進みます。週3回の通院は月に12回ほど、自宅交換の手技は毎日の習慣化が必要、移植は準備に時間がかかることがある、といった生活像が見える説明が有効です。これは使えそうです。
関連)https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/34-3/34-3_434.pdf
ここで役立つ追加知識は、説明内容を職種間でそろえることです。説明のばらつきがある場面では、狙いを「患者の迷いを減らすこと」に置き、候補として院内共通の説明シートや退院支援カンファのチェック項目を1枚にまとめて確認する方法があります。時間のロス回避に効きます。
関連)https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/34-3/34-3_434.pdf
共同意思決定の考え方を整理した参考になります。
https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/34-3/34-3_434.pdf
意外に見落とされるのが、療法選択の説明は導入直前だけの仕事ではない点です。ガイドの目次には、血液透析の準備時期、腹膜透析に向く患者・向かない患者、バッグ交換の部屋の注意、ペット、移植施設への紹介時期まで並び、導入後の生活に踏み込んでいます。
関連)http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/cpg/pdf/typeC/20200910.pdf
つまり、説明不足の不利益は治療選択ミスだけではありません。腹膜透析では日常生活や自己管理の理解不足が感染リスクや継続困難につながり、血液透析ではシャント準備の遅れが一時カテーテル依存の時間を長くしかねません。意外ですね。
関連)http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/cpg/pdf/typeC/20200910.pdf
さらに、東洋医学会のガイドライン抽出版でも、腹膜透析開始後は市販薬、健康食品、サプリメント、漢方薬を自己判断で服用しないよう記載されています。医療従事者ほど「健康食品くらいは」と軽く扱いがちですが、ここを患者教育で外すと予期せぬトラブルの火種になります。〇〇だけは例外です、ではなく自己判断全般が注意点です。
関連)https://note.com/tansoku_dounaga/n/nb9bde723f921
実務では、退院前や外来初回説明の場面で、狙いを「生活上の事故を減らすこと」に置き、候補として服薬・サプリ確認を1回で済ませる持参薬アプリやチェック表を使って確認するのが現実的です。あなたが数分使うだけで、後日の問い合わせや説明し直しを減らしやすくなります。
関連)https://note.com/tansoku_dounaga/n/nb9bde723f921
腹膜透析後の生活注意、とくに自己判断服用の注意を確認する部分です。
https://cdn.jsn.or.jp/data/rrt_guide_2020.pdf
あなたが手順を省くと腹膜炎で再指導が長引きます。
看護では、ただ「交換できる」だけでは不十分です。手洗い、マスク、接続部の清潔保持、排液性状の確認、透析液注入後の症状確認までを一連の流れとして再現できるかが重要です。
関連)https://www.cmuh.cmu.edu.tw/FileUploads/FileUpload/%E8%85%B9%E8%86%9C%E9%80%8F%E6%9E%90%E8%88%87%E8%85%B9%E8%86%9C%E7%82%8E.pdf
つまり手順の再現性です。1回だけ上手にできても、毎日同じ精度で続かなければ腹膜炎や出口部感染のリスクは下がりません。
関連)https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/cure/peritoneal-dialysis/complication/
患者説明では、バッグ位置の意味まで伝えると理解が進みます。例えば排液バッグを腹部より低い位置に置くのは、落差を利用して排液を促すためで、点滴台1本分ほどの高さ差をイメージさせると覚えやすいです。
関連)https://www.terumo.co.jp/consumer/patient/pdf/clicksafe.pdf
ここが基本です。看護師が理由ごと説明できると、患者は「なぜその配置なのか」を納得して守りやすくなります。
関連)https://www.terumo.co.jp/consumer/patient/pdf/clicksafe.pdf
腹膜透析の観察は、全身状態と局所所見を切り分けて行うと抜けにくいです。全身では体重、血圧、浮腫、除水量、食欲、腹痛、発熱を、局所では出口部の発赤、腫脹、疼痛、滲出液、痂皮の有無を追います。
関連)https://www.infirmiere.co.jp/shop/secure/column_283.aspx
観察の軸が大切です。
混濁だけは例外です。腹痛や発熱が弱くても、混濁があれば腹膜炎を疑って動くべき場面があります。
腹膜透析の主要な合併症として、腹膜炎、カテーテル出口部感染、皮下トンネル感染、被嚢性腹膜硬化症が挙げられます。
関連)https://www.zjk.or.jp/kidney-disease/cure/peritoneal-dialysis/complication/
感染予防が原則です。
腹膜炎になると、患者は再教育、再受診、場合によっては治療変更まで必要になります。看護師にとっても外来時間、病棟調整、家族対応が一気に増えるため、最初の指導で省略を許さないことは時間の節約でもあります。
教育設計が条件です。
腹膜炎管理の全体像を確認しやすい参考先です。
Minds 腹膜透析ガイドライン2019
失敗しやすいのは、できない患者より、少し慣れた患者です。数週間から数か月たつと、マスクを外す、接続前後の確認を省く、交換場所を固定しないなどの自己流が入りやすくなります。
再教育が基本です。
この場面で役立つのは、対策を増やすことではなく、確認ポイントを減らして固定することです。交換前チェックを「手洗い・マスク・場所・クランプ・排液確認」の5項目に絞って紙1枚で見える化すると、再教育が短時間で済みます。
関連)https://www.cmuh.cmu.edu.tw/FileUploads/FileUpload/%E8%85%B9%E8%86%9C%E9%80%8F%E6%9E%90%E8%88%87%E8%85%B9%E8%86%9C%E7%82%8E.pdf
5項目だけ覚えておけばOKです。
検索上位では手順解説が中心ですが、現場で差がつくのは「観察を記録に変える設計」です。腹膜透析は毎日の小さな変化を追う治療なので、排液量、混濁、出口部、体重、便通、除水不良の兆候を同じ様式で残すだけでも、異常の早期発見率は上がります。
関連)https://www.infirmiere.co.jp/shop/secure/column_283.aspx
記録様式が武器です。
また、患者が使う物品の選定も実務差が出ます。たとえば出口部固定が甘く引っかけやすい場面では、狙いは牽引予防なので、候補は低刺激テープや腹帯を1つ選んで「毎回同じ位置で固定する」と一動作に落とし込むのが有効です。
関連)https://www.infirmiere.co.jp/shop/secure/column_283.aspx
これは使えそうです。物品紹介は増やすほど良いのではなく、1つに絞るほど実践率が上がります。
関連)https://www.infirmiere.co.jp/shop/secure/column_283.aspx
在宅移行後の電話対応まで見据えるなら、混濁排液、38度前後の発熱、出口部の膿性分泌、排液停止の4場面だけは、連絡基準を紙で渡しておくとクレームや受診遅れを減らせます。
関連)https://www.infirmiere.co.jp/shop/secure/column_283.aspx
連絡基準が原則です。看護の安心感は、説明の量より、迷ったときの行動が明確かどうかで決まります。
出口部管理と腹膜炎・カテーテル管理の章立てを確認しやすい参考先です。
日本透析医学会 腹膜透析ガイドライン2019
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【中古】CKDステ-ジG3b〜5診療ガイドライン 腎障害進展予防と腎代替療法への移行 2015/東京医学社/慢性腎不全診療最適化による新規透析導入減(大型本)