グリクラジド錠20mgの販売中止で、後発品を使い続けると患者の血糖コントロールが崩れるケースが報告されています。
グリクラジド錠20mgは、国内で広く使われてきたスルホニルウレア(SU)系経口血糖降下薬です。先発品である「グリミクロン錠20mg」(武田薬品工業)を中心に、多数の後発品メーカーが同規格を製造・供給してきました。
後発品の供給不安が顕在化したのは2021年ごろからです。小林化工や日医工などによる製造管理の不正問題が業界全体に波及し、複数社が一斉に出荷停止・販売中止を届け出ました。これが後発品不足の直接的な引き金となります。
品薄が続く中、グリクラジド錠20mgの後発品について各メーカーへの割り当て数量が絞られ、安定的な入荷が見込めない薬局・病院が続出しました。つまり「棚に薬がある前提」は崩れています。
厚生労働省の薬価基準収載品目の変更通知や、各卸からの供給情報を定期的に確認することが、現場での対応遅れを防ぐ第一歩です。薬剤師が処方医に早めにフィードバックする体制を整えておくと、患者への影響を最小限に抑えられます。
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 2020年末〜2021年 | 後発品メーカーの製造不正問題が相次ぎ発覚、出荷停止が連鎖 |
| 2022年〜2023年 | グリクラジド錠20mg後発品の供給不安が深刻化、一部メーカーが販売中止届出 |
| 2024年以降 | 先発品含む全体的な在庫管理が必要な状況が継続中 |
参考:後発医薬品の安定供給に関する厚生労働省の情報ページ
厚生労働省|後発医薬品の使用促進・安定供給
販売中止を受けて代替薬を検討する際、まず確認すべきは「同一成分・異なる規格」への切り替えです。
グリクラジドとしては40mg錠が引き続き流通しています。20mg錠から40mg錠へ切り替える場合、単純に枚数を半分にするのが基本です。ただし、これは薬剤師・医師が連携して処方変更の手続きを踏む必要があります。処方箋の記載変更を忘れると調剤エラーにつながります。
同系統のSU薬への切り替えとしては、グリベンクラミド(オイグルコン・ダオニール)やグリメピリド(アマリール)が候補に挙がります。それぞれ力価と低血糖リスクが異なるため、等価換算表をもとに慎重に検討することが条件です。
等価換算が必要ということですね。患者背景(年齢・腎機能・HbA1c・低血糖既往)を改めて整理した上で切り替え薬を選ぶのが原則です。
参考:SU薬の等価換算に関する参考情報
日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド
薬の変更を患者に伝える際、「同じ薬が手に入らなくなったから変えます」という説明では患者の不安を大きくするだけです。これは使えません。
まず「血糖コントロールの目標は変わらないこと」「切り替え後も同等の効果が期待できること」を先に伝え、変更の必要性を丁寧に説明することが重要です。患者が安心して切り替えに応じられる流れを作ることが目的です。
特に高齢患者や認知機能が低下している患者では、薬の外見(錠剤の形・色・大きさ)が変わることへの混乱が服薬ミスにつながるケースがあります。切り替え後の初回受診時には、服薬状況の確認を必ず行ってください。
「説明した」だけで記録を残さないのはリスクになります。カルテへの記録と患者用メモの両方を徹底するのが条件です。
これは意外と見落とされがちな視点です。
グリクラジドは腎排泄の割合が低く、比較的腎機能低下患者にも使いやすいとされてきたSU薬の一つです。切り替え先によっては、その安全域が変わることがあります。たとえばグリベンクラミドは活性代謝物が腎排泄されるため、腎機能低下患者では低血糖リスクが著しく上昇します。eGFR 30未満の患者への使用は原則禁忌です。
グリメピリドは比較的腎機能低下患者にも使いやすいとされますが、それでも低用量から開始し、慎重に増量するのが基本です。切り替えにあたっては直近の血液検査(SCr・eGFRなど)を必ず確認してください。
厳しいところですね。しかし、ここを怠ると重篤な低血糖が発生し、患者の入院・後遺症・最悪の場合は訴訟リスクにつながります。
また、高齢者は食事摂取量が不安定なことも多く、SU薬全般として「食事が取れない日の休薬ルール」を患者・家族に事前に説明しておくことが重要です。これを患者が知っているかどうかで、低血糖の重症化リスクが大きく変わります。
参考:腎機能に応じた糖尿病薬の使い方
Mindsガイドラインライブラリ|2型糖尿病の薬物療法
今回の販売中止は、単なる「代替品探し」で終わらせるべき問題ではありません。これは使えそうです。
後発品の供給不安は、グリクラジド錠20mgだけの問題ではなく、今後もさまざまな薬剤で繰り返される構造的な課題です。実際、厚生労働省の統計によると、2023年度時点で供給不安が報告されている後発品品目数は延べ4,000品目以上に上っており、単一薬剤の対応策を立てても次の品切れに追いつけない現場が多発しています。
では何をすべきか。まず「定期的に処方薬の供給状況をチェックする仕組み」を院内・薬局内で作ることが現実的な対策です。
グリクラジド錠20mgの販売中止が「次の供給不安への備え」を見直すきっかけになるということですね。
一つの品切れに振り回されないためには、平時から代替フローを整備しておくことが条件です。患者にとっては「先生たちが守ってくれている」という安心感につながり、医療者にとっては現場の混乱を最小化できます。結論は「仕組みで対応する」です。
後発品の供給状況をリアルタイムで確認したい場合は、日本ジェネリック製薬協会のウェブサイトや、各卸の専用ポータルサービスを活用するのが現実的です。