ガバペン錠(一般名:ガバペンチン)は、抗てんかん薬として開発され、主に「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない部分発作(二次性全般化発作を含む)」に対する併用療法として使用されます[1][2]。
作用機序は従来の抗てんかん薬と異なり、電位依存性カルシウムチャネルの抑制や脳内GABA量の増加などが関与していると考えられていますが、詳細は未解明です[3][4]。
また、海外では神経障害性疼痛や帯状疱疹後神経痛にも適応があり、日本国内でも適応外使用の報告があります[5]。
ガバペン錠の副作用発現率は50~60%と高めで、傾眠(眠気)や浮動性めまい、頭痛が最も多く報告されています[6][7]。
具体的な頻度例(1200mg/日投与群):
・傾眠:51.2%
・浮動性めまい:18.6%
・頭痛:11.4%
その他、複視、けん怠感、食欲増加、発疹、感情不安定、便秘、嘔吐、尿失禁など多彩な症状がみられます[8][4]。
ふらつきや眠気などは用量依存性があり、増量時に特に注意が必要です[5]。
ガバペン錠では急性腎障害、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、薬剤性過敏症症候群、肝炎・肝機能障害・黄疸、横紋筋融解症、アナフィラキシーなど重篤な副作用も報告されています[1][7][4]。
これらは頻度は高くありませんが、発疹・発熱・全身倦怠感・筋肉痛・尿量減少などの初期症状がみられた場合には速やかな中止・受診が必要です。
特に高齢者や腎機能障害患者ではクリアランス低下によりリスクが増大するため、用量調整と慎重な経過観察が重要です[5][2]。
ガバペン錠は精神神経系副作用の発現頻度が高い薬剤です。
・傾眠、注意力・集中力・反射運動能力の低下
・感情不安定、敵意、会話障害、振戦、目のかすみ
これらの症状は服用開始1か月以内に多く、転倒・ふらつきによる骨折リスクも報告されています[5][3]。
運転や危険作業は症状が落ち着くまで控える、ADL低下を防ぐためのサポートが必要です。
ガバペン錠は他の抗てんかん薬との相互作用が少ないとされていますが、モルヒネなどオピオイド系鎮痛薬との併用でガバペンチン血中濃度が上昇する報告があります[7]。
また、終末期がん患者では低用量でもミオクローヌス(筋の攣縮)が発症することがあり、症状改善には中止が有効とされています[9]。
さらに、体重増加も長期服用で多くみられるため、定期的な体重測定や食事・運動指導も重要です[2]。
【PMDA添付文書情報:詳細な副作用・使用上の注意】
PMDAの医薬品情報ページには、ガバペン錠の添付文書や副作用の詳細が掲載されています。
PMDA「ガバペン錠 患者向医薬品ガイド」
【臨床現場での副作用モニター症例】
民医連新聞の副作用モニター情報には、実際の症例と副作用の発現状況、現場での注意点がまとめられています。