アザシチジン(ビダーザ)は、骨髄異形成症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)などの血液腫瘍に対して使用される代謝拮抗薬です。腫瘍細胞のタンパク質合成を抑制し、骨髄での異常な血球産生を正常化する働きがあります。
骨髄異形成症候群に対しては、注射薬として唯一推奨されている薬剤で、完全寛解(CR)率は15.1%、血液学的改善率は54.9%と報告されています[1][2][3]。
生存期間中央値は24.46か月(AZA群)と、他治療群と比較して延長が認められています[2][3]。
急性骨髄性白血病に対しても有効性が示されており、特に高齢者や標準治療が困難な症例での適応が拡大しています。
アザシチジンの主な副作用は骨髄抑制で、好中球減少症(49.5%)、血小板減少症(32.6%)、白血球減少症(20.0%)、貧血(13.7%)などが高頻度で発生します[1][2][4]。
感染症(肺炎11.7%)、肝機能障害(ALT増加5.2%、AST増加4.8%)、心障害(心房細動1.3%、心不全0.9%)も報告されています[1][2]。
消化器症状(悪心、嘔吐、便秘、下痢)、皮膚症状(発疹、そう痒症、紅斑、脱毛症)、注射部位反応(紅斑、硬結、そう痒感)も多く見られます[2][3][4]。
骨髄抑制による感染症リスク増加が最も重要な注意点であり、定期的な血球数モニタリングや感染予防策が必須です。副作用の程度によっては、投与延期や減量が必要となります[1][4]。
アザシチジンは主に皮下注射または点滴静注で投与されます。皮下投与時の生物学的利用率(BA)は91.1%、Cmaxは1120ng/mL、半減期は約1時間です[2][3]。
点滴静注ではCmaxが約4倍高くなりますが、AUC(薬物暴露量)は大きく変わりません。
投与量は通常75mg/m²を7日間連続投与し、28日ごとに繰り返します。
治療効果や副作用の発現状況に応じて、投与スケジュールの調整が必要となります。
アザシチジン投与中は、感染症予防(手洗い・うがい・マスク着用など)と定期的な採血検査が重要です。
骨髄抑制による好中球減少や血小板減少が生じた場合は、感染症や出血傾向に注意が必要です。
消化器症状や皮膚症状がみられる場合は、早期に医療スタッフへ相談し、症状緩和のための対策を講じます。
肝機能障害や腎機能障害の既往がある患者では、重篤な副作用リスクが高まるため、慎重な投与判断とモニタリングが求められます[5]。
アザシチジンは、血液腫瘍治療薬として長い歴史を持ちますが、近年では高齢者や移植不適応例への適応拡大が進んでいます。
また、皮膚障害(Sweet症候群など)や神経障害(末梢性ニューロパチー)の発生も報告されており、これらは比較的珍しい副作用ですが、重症化することもあります[2][3]。
骨髄抑制以外にも、慢性腎臓病や胆石症、筋骨格痛、関節炎など多様な副作用が現れることがあり、患者ごとに個別のリスク評価が必要です。
さらに、治療継続により寛解率や生存期間が向上する一方で、長期投与による累積毒性やQOL低下にも留意が必要です。
【参考リンク】
骨髄抑制や副作用の詳細な頻度・症状について詳しく解説されています。
ビダーザ(アザシチジン)の効果と副作用|上野御徒町こころみクリニック
アザシチジンの添付文書・薬理・副作用情報が網羅されています。