透析膜の種類一覧|素材・機能区分・選択基準を解説

透析膜には9種類の素材があり、膜面積を含めると400種類以上の製品が存在します。PS膜・PMMA膜・CTA膜など素材別の特徴や機能区分(Ⅰ型・Ⅱ型・S型)、症例別の選択基準を詳しく知りたいと思いませんか?

透析膜の種類一覧と素材・機能区分・選択基準

透析膜の種類は400種類以上あるのに、実は「素材」の分類はたった9種類だけです。その9種類を把握すれば、臨床での選択に迷う場面が大幅に減ります。


🩺 透析膜の種類一覧:3つの重要ポイント
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素材は2系統9種類に整理できる

セルロース系(CTA・ATA)と合成高分子系(PS・PES・PMMA・EVAL・PEPA・PAN・ビタミンE固定化PS)に大別。素材ごとに生体適合性・除去特性が異なる。

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機能区分はⅠ型・Ⅱ型・S型の3分類

日本透析医学会の「血液浄化器機能分類2013」に基づき、β2-MG除去能とアルブミン漏出量でa型・b型に細分化される。

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PVPアレルギーは素材選択で回避できる

PS膜・PES膜にはPVP(親水化剤)が含まれるが、EVAL膜・PMMA膜・PAN膜・CTA膜はPVP非含有。アナフィラキシー歴のある患者には非PVP膜が原則。


透析膜の素材一覧:セルロース系と合成高分子系の違い



透析膜の素材は大きく「セルロース系」と「合成高分子系」の2系統に分かれ、現在臨床で使われているのは合計9種類です。


関連)https://dialysisroom.com/blog-touseki-dialysismembrane2/


セルロース系膜の代表はCTA膜(セルローストリアセテート)とATA膜(非対称トリアセテート)です。 綿を原料とするこの膜は、PVP(ポリビニルピロリドン)を含まないため、PVPに過敏反応のある患者に安全に使用できます。また膜の荷電が小さく蛋白吸着が少ないため、ファウリング(目詰まり)が起きにくいのも特徴です。 機械的強度が高く膜厚を薄くできるため、拡散性能が高い点も見逃せません。


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合成高分子系膜は現在の主流です。


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膜の種類 略称 原料 PVP含有 分画特性
ポリスルホン PS膜 石油系合成 あり シャープ
ポリエーテルスルホン PES膜 石油系合成 あり シャープ
ポリエステル系ポリマーアロイ PEPA膜 石油系合成 あり シャープ
セルローストリアセテート CTA膜 綿(セルロース) なし シャープ
非対称トリアセテート ATA膜 綿(セルロース) なし シャープ
ポリメチルメタクリレート PMMA膜 石油系合成 なし ブロード
エチレンビニルアルコール共重合体 EVAL膜 石油系合成 なし ブロード
アクリルニトリル共重合体 PAN膜 石油系合成 なし ブロード
ビタミンE固定化PS膜 Vit.E PS 石油系合成 あり シャープ


1985年にβ2-マイクログロブリン(β2-MG)が透析アミロイド症の原因物質と判明してから、中大分子を除去できる合成高分子系膜の需要が急増しました。 つまり「新しい膜ほど合成高分子系」と覚えておけばOKです。


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合成高分子系でもEVAL膜・PMMA膜・PAN膜はPVPを含まないため、PVPアレルギーの患者にも使用できます。 これは臨床現場でも意外と知られていない重要な知識です。


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参考リンク(膜素材の詳細な分類について)。
透析膜の種類~透析膜は大きく分けて2種類だけです(dialysisroom.com)


透析膜の機能区分一覧:Ⅰ型・Ⅱ型・S型の定義と使い分け

機能区分は、日本透析医学会「血液浄化器(中空糸型)の機能分類2013」に基づいて設定されています。 分類の軸は「β2-MGの除去能」と「アルブミン漏出量」の2つです。


関連)https://www.baxterpro.jp/hd/principle/index


現在の機能区分を整理すると次のとおりです。


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  • Ⅰ型(a・b):β2-MG除去能が基準以下。aは蛋白非透過/低透過型、bは蛋白透過型
  • Ⅱ型(a・b):β2-MG除去能が高い。aは蛋白非透過/低透過型、bは蛋白透過型
  • S型:生体適合性・吸着特性など、従来の溶質除去能力以外の特殊性を学会が認めた分類


S型が重要です。 β2-MG除去能ではなく「特殊な性質」が認められた膜に付与される分類のため、他の型と単純比較できない点に注意が必要です。意外ですね。


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また市場に流通するダイアライザーの数は、膜面積ごとの品番まで含めると2023年時点で300種類以上に達します。 9種類の素材が展開する膜面積のバリエーションが、この数を生み出しています。膜面積は一般的に1.0㎡〜2.1㎡程度の範囲で設定されており、臨床では1.7㎡と2.1㎡の2サイズに絞って運用するシンプルな管理手法をとる施設も増えています。 整理が条件です。


関連)https://sokorahenno-ce.com/how-to-select-dialysis-membrane-criteria/


参考リンク(機能分類2013の詳細PDF)。
血液透析の目的・ダイアライザーについて(バクスタープロ・医療関係者向け)


透析膜の形状:中空糸型と積層型の構造的な違い

透析膜の形状には中空糸型(ホローファイバー型)と積層型があります。 現在、臨床で使用されているものはほとんどが中空糸型です。


関連)https://medi-book.com/wp-content/uploads/2024/04/dializer_simple.pdf


中空糸型は、約1万本のストロー状の細管が筒の中に固定された構造です。 細管の内側に血液が、外側に透析液が流れ、この半透膜を介して拡散・濾過が行われます。内径はおおよそ0.2mm程度とされ、人の髪の毛(約0.08mm)の約2〜3本分の太さです。その細さの中に物質交換が行われているのが、改めて考えると驚異的な構造です。


関連)https://www.baxterpro.jp/hd/principle/index


積層型は、複数の平らな固定板に透析膜を挟んだ構造です。 現在も一部の施設では使用されており、特定積層型は日本透析医学会の機能分類の対象外となっています。 積層型だけは別ルールです。


関連)https://www.baxterpro.jp/hd/principle/index


中空糸型・積層型ともに、物質移動の原理は拡散と限外濾過(UF)の2つです。 拡散は濃度差を利用した小分子物質の除去、濾過は圧力差(TMP)を利用した水・溶質の除去を担います。HDは拡散主体、HDF・HDFは濾過の比率が高くなります。


関連)ckd-202009-2.pdf">https://www.tsuchiya-hp.jp/pdf/ckd-202009-2.pdf


透析膜の選択基準:PS膜・PMMA膜・CTA膜の症例別使い分け

どの膜を使うかは「患者の状態」と「施設の運用」の両面から決定します。これが基本です。


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📋 症例別の選択指針(概要)


  • 🔵 標準的な維持透析患者:PS膜(シャープな分画特性、国内シェア最大、コスト面でも現実的)
  • 🟢 アルブミン値が低い・栄養状態が悪い患者:Ⅱa型またはCTA膜。アルブミン漏出を抑えるシャープな分画特性が重要
  • 🟡 炎症性サイトカイン・大分子除去が必要な患者:PMMA膜またはAN69(PAN膜)。ブロードな分画特性で中大分子を幅広く除去
  • 🔴 PVPアレルギー・アナフィラキシー歴がある患者:CTA膜・ATA膜・EVAL膜・PMMA膜のいずれかを選択(PVP非含有)


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透析歴20年以上の現役臨床工学技士によれば、「Kt/V・体格・アルブミン値の3指標を組み合わせることで膜選択の精度が上がる」とされています。


関連)https://dialysis-dad-life.blog/dialyzer-selection-membrane-guide/


アレルギー対策として、施設内に少なくとも2種類以上の素材を確保しておくことが推奨されます。 問題が起きたときに切り替えられる準備が必須です。また転院患者対応の観点からは、国内シェアの大きいメーカーのダイアライザーを採用しておくとスムーズな継続治療につながります。


関連)https://sokorahenno-ce.com/how-to-select-dialysis-membrane-criteria/


参考リンク(症例別の詳細な選択基準について)。
ダイアライザーの膜素材5種を比較|体格・症状別の選択基準(透析CE実践ノート)


透析膜を選ぶ際に見落とされがちな「分画特性」の実臨床への影響

多くの医療スタッフが透析膜を機能区分と素材で選ぶ一方、「シャープ/ブロードな分画特性」の差が患者の長期アウトカムに与える影響は見落とされやすいポイントです。


シャープな分画特性の膜(PS・PES・PEPA・CTA)は、β2-MGを選択的に除去しながらアルブミンの漏出を最小限に抑えます。 一方でブロードな分画特性の膜(EVAL・PMMA・AN69)は、小分子から大分子まで幅広く除去できます。これは「多くのサイトカインや炎症物質を同時に除去できる可能性がある」ことを意味します。


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これが具体的にどう影響するかを考えると——。


アルブミン値が3.5g/dL以下の低栄養患者にブロード型の膜を使い続けると、週3回の透析のたびにアルブミンが漏出し栄養状態の悪化を加速させるリスクがあります。これは患者への大きなデメリットに直結します。逆に言えば、ブロード型の膜を使いながら低アルブミン血症が続いている場合、膜の見直しが改善の糸口になることがあります。これは使えそうです。


また、PMMA膜はサイトカイン吸着特性があるとされており、敗血症合併や高インターロイキン血症を呈する透析患者に対して選択肢に挙がることがあります。日本透析医学会も「通常の溶質除去能では説明しきれない臨床効果の可能性」をS型分類の根拠の一つとしています。


関連)https://www.baxterpro.jp/hd/principle/index


膜の交換頻度についても確認が必要です。通常、ダイアライザーは1回使い捨てが基本ですが、一部施設では再使用が承認されている場合もあります。ただし厚生労働省通知により再使用は厳しく規制されており、現在の主流は完全使い捨て(シングルユース)です。施設の運用ルールを改めて確認することをお勧めします。


参考リンク(透析膜の分画特性と機能分類の詳細)。
ダイアライザーの種類と性能|透析効率との関係(大垣市民病院関連)

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