視力が正常でも、視野障害だけで障害年金の1級に認定される場合があります。
視野障害の「等級」には、大きく分けて2つの制度が存在します。1つは身体障害者手帳の等級(1〜6級)、もう1つは障害年金の等級(1〜3級)です。これらは別々の制度であり、認定基準も異なります。医療従事者として患者へ正確に説明するためには、両制度の違いをしっかり把握しておくことが必要です。
身体障害者手帳では、視野障害は2〜5級の範囲で認定されます。一方、障害年金では視野障害単独で1〜3級または障害手当金が対象となります。どちらの制度も、令和4年(2022年)以降は測定数値に基づく客観的な基準を採用しています。
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つまり、病名ではなく数値が等級を決めます。
| 制度 | 等級の範囲 | 主な測定方法 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 2〜5級(視野障害) | ゴールドマン型視野計 |
| 障害年金(国民年金) | 1〜2級 | ゴールドマン型・自動視野計 |
| 障害年金(厚生年金) | 1〜3級 + 障害手当金 | ゴールドマン型・自動視野計 |
患者が「手帳はあるけど年金はもらえないのでは」と思い込むケースが少なくありません。手帳がない場合でも、障害年金の要件を満たしている場合があるため、申請の可能性を広く伝えることが重要です。
関連)https://higashiosaka-shogai.com/page-166/page-168/
視野障害の等級は、使用する視野計の種類によって測定値の基準が異なります。これは重要なポイントです。
ゴールドマン型視野計の場合、周辺視野角度の和と中心視野角度の2つの指標が使用されます。令和4年1月の改正後、障害年金における視野障害の等級は次のように規定されています。
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自動視野計では、視認点数が指標として使われます。
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測定方法が2種類あるのは意外ですね。同じ患者でも測定機器によって数値が変わる可能性があるため、診断書に記載する際はどちらの機器を使用したかを明確にする必要があります。
関連)https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2021/202111/shougainintei.html
視野障害と視力障害を両方抱える患者では、それぞれの等級を合算する「併合等級」が適用されます。これが障害年金認定において見落とされがちなポイントの一つです。
具体的な計算ルールとして、視力障害が3級・視野障害が3級の場合、2つの等級を合わせて2級に認定されます。同様に、視力障害が2級・視野障害が2級の場合は1級として認定されます。
関連)https://www.shougainenkin.kokoro.sr/p19681/c18005/
これは使えそうです。
単独では2級や3級止まりだった患者が、併合によって1級相当になるケースがあります。医療従事者として診断書を作成する際に、視力と視野の両方を漏れなく記載することが、患者の給付額に直結します。患者が受け取れるはずの金額を取りこぼさないために、この仕組みを理解しておくことは医療倫理の観点からも重要です。
関連)https://www.syougainenkin-shien.com/case21
国立障害者リハビリテーションセンターでは、視覚障害者等級の計算ツール(計算機)が公開されています。診断書作成前の確認として活用することが推奨されます。
等級計算ツールの参照先(令和4年改正対応版)。
国立障害者リハビリテーションセンター:視覚障害者等級計算機
視野障害の等級認定において、どのような疾患が該当しやすいか把握しておくことは臨床上の重要なポイントです。代表的な疾患を整理します。
関連)https://sakuranomori-eye-clinic.com/blog/2776/
特に緑内障患者は「まだ見える」という自覚があるため、等級対象になるとは思っていないことが多いです。眼圧が正常でも視野障害が進行する「正常眼圧緑内障」は日本人に非常に多く、無自覚のまま視野が欠けていくことがあります。
関連)https://manabe-eye-ladies.com/blog/668
緑内障の視野進行についての解説。
真鍋眼科:緑内障 視野進行の仕方(わかりやすい解説)
視野障害が進行している場合でも本人が気づきにくい点が条件です。診察時の問診と測定結果の双方を根拠として、申請の可能性を積極的に伝える姿勢が求められます。
障害年金の申請において、診断書は等級決定に直結する最重要書類です。視野障害の認定では、記載の不備や測定値の漏れが申請の不認定につながることがあります。令和4年1月の改正後は測定数値による厳格な基準が採用されており、病名・症状名のみの記載では等級が認定されません。
関連)https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2021/202111/shougainintei.html
記載上の注意点を以下に整理します。
記載が条件です。
改正前の旧基準で過去に不認定となったケースでも、令和4年以降の基準で再申請が可能な場合があります。
関連)https://guscoord.jp/column/6544/
特に、旧制度では障害手当金どまりだった視野障害が、改正後に3級相当と認定されるケースが報告されています。過去の患者や関係者への情報提供も医療従事者の役割です。
障害年金の眼の障害認定基準改正(令和4年1月対応)。
日本年金機構:令和4年1月1日から「眼の障害」の障害認定基準が一部改正(公式)
眼の障害年金認定基準(改正内容の詳細解説)。
KM社会保険労務士事務所:眼の障害年金認定基準が改正(令和4年1月1日)
結論は、測定数値の正確な記載と制度理解が患者を守ることです。視野障害を抱える患者への支援は、正確な診断書の記載から始まります。医療従事者として制度の最新情報を常にアップデートしておくことが、患者の生活の質(QOL)の向上に直結します。
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