あなた、Hbだけ見ていると血栓を見逃します。
関連)https://mpn-japan.org/files/booklet202003.pdf

2017年に刊行されたWHO分類では、真性多血症の大基準として、ヘモグロビン増加、ヘマトクリット増加、または循環赤血球量増加が示されました。男性はHb>16.5g/dLまたはHt>49%、女性はHb>16.0g/dLまたはHt>48%が目安です。結論は基準の引き下げです。
関連)https://mpn-japan.org/files/booklet202003.pdf
さらに、改訂では骨髄生検所見が必須項目として追加されました。数値だけで診断を進める時代から、骨髄の三系統増殖まで確認する時代に変わったわけです。意外ですね。
関連)https://kkclinic-ichihara.com/plethora.html
この変更を知らないまま旧基準の感覚で外来を回すと、軽度上昇に見える患者を経過観察で流しやすくなります。血液が濃い状態が長引けば、心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症リスクの評価開始が遅れます。〇〇に注意すれば大丈夫です、の〇〇は「旧基準のまま見ないこと」です。
関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_23605
2017年基準の大基準2は、年齢相応を超える過形成と、赤芽球系・顆粒球系・巨核球系の三系統増殖、いわゆるpanmyelosisです。大基準3はJAK2 V617FまたはJAK2 exon12変異です。JAK2は必須です。
関連)https://www.gimema.it/wp-content/uploads/2024/09/DIAGNOSTIC-CRITERIA-OF-POLYCYTHEMIA-VERA.pdf
実務では、CBCで赤血球系の増加を捉えた後、JAK2変異と骨髄生検を並行して考える流れが組みやすいです。MPN-JAPANでも、診断はヘモグロビン高値、JAK2変異、骨髄生検の3つに基づくと整理されています。つまり3本柱です。
関連)https://mpn-japan.org/menu002
JAK2 V617F変異は真性多血症の約90%以上でみられるとされます。この数字は、臨床で「赤血球が増えているのにJAK2陰性なら別原因も強く考える」という判断の後押しになります。JAK2だけ覚えておけばOKです。
関連)https://mpn-japan.org/menu002
一方で、JAK2陽性だけで即PVと短絡しない姿勢も重要です。骨髄所見を外すと、ETや前線維化PMF、あるいは境界例の整理が甘くなり、治療方針の初手がぶれます。厳しいところですね。
関連)https://kkclinic-ichihara.com/plethora.html
2017年基準では、ヘモグロビンだけでなくヘマトクリット、さらに循環赤血球量増加も大基準1に含まれます。男性Ht>49%、女性Ht>48%という数字は、Hbだけ眺める診療より一歩広く拾える条件です。Htも見るのが基本です。
関連)https://mpn-japan.org/menu003pv
小基準は血清エリスロポエチン低値です。EPOは「正常なら否定、低ければ支持」と単純化しすぎず、JAK2や骨髄所見と合わせて読むのが原則です。EPOが条件です。
関連)https://www.gimema.it/wp-content/uploads/2024/09/DIAGNOSTIC-CRITERIA-OF-POLYCYTHEMIA-VERA.pdf
ここで見落としやすいのが、脱水や喫煙、睡眠時無呼吸症候群などで見かけ上の赤血球増加に見える場面です。相対的赤血球増加症や二次性赤血球増加症を先に外せないと、不要な不安や検査の遠回りが起きます。どういうことでしょうか?
関連)https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/letter/101.html
答えは、PVは「本当に赤血球量が多い絶対的赤血球増加症」で、ストレス性多血症のような相対的増加とは別物だという点です。この区別が曖昧だと、再検のタイミングや紹介先の判断で時間を失います。結論は絶対的増加の確認です。
関連)https://mpn-japan.org/files/booklet201803.pdf
採血前後の生活背景まで整理したい場面では、狙いは二次性要因の切り分け、候補は問診票への「喫煙」「いびき・無呼吸」「利尿薬」チェック追加です。行動は1つで足ります。問診票を確認するだけです。
関連)https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/letter/101.html
これに対し2017年版では、骨髄生検が小基準から大基準へ格上げされ、EPO低値は小基準として残りました。診断要件は「大基準3つ」または「最初の2つの大基準+小基準」です。つまり骨髄重視です。
関連)https://kkclinic-ichihara.com/plethora.html
この差は現場の時間配分にも効きます。旧基準に慣れた医療者ほど、採血結果が揃った段階で判断を進めがちですが、改訂後は骨髄所見を待って全体像を整える意識が必要です。痛いですね。
関連)https://kkclinic-ichihara.com/plethora.html
しかもHb閾値が下がったため、以前なら「境界」で止まった症例が診断候補に入ります。たとえば男性16.6g/dL、女性16.1g/dLなら、感覚的には軽そうでも基準上は検討対象です。つまり見た目より近い病気です。
関連)https://mpn-japan.org/files/booklet202003.pdf
https://www.shouman.jp/disease/instructions/09_11_021/
検索上位の記事は基準の羅列で終わることが多いですが、実は医療従事者にとって大事なのは「どこで見逃すか」の設計です。見逃しは診断学の問題であると同時に、紹介、説明、再検の運用設計の問題でもあります。意外ですね。
関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_23605
まず起こりやすいのは、白血球や血小板も増えているのに「赤血球だけの病気」と思い込むことです。PVでは汎血球増加をきたしうるため、CBCを縦に読む視点がないと、単独の高Hbだけで評価が止まります。つまり全血球で見るべきです。
関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_23605
次に、無症状なら急がなくてよいと思い込みやすい点です。約半数の症例は診断時無症状で偶然見つかることが多い一方、血栓症を契機に見つかる例もあります。無症状なら問題ありません、ではないのです。
関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_23605
さらに、JAK2陰性ならPVではないと即断しやすい点も注意です。ほとんどがV617Fでも、一部にexon12変異があります。検査オーダーの粒度が粗いと、追加検査まで数日から数週のロスになることがあります。JAK2 exon12だけは例外です。
関連)https://www.gimema.it/wp-content/uploads/2024/09/DIAGNOSTIC-CRITERIA-OF-POLYCYTHEMIA-VERA.pdf
このリスクを減らすなら、場面は境界高値の初回評価、狙いは見落とし回避、候補は「PV疑い」チェックリストの院内共有です。記載項目は、Hb/Ht、白血球、血小板、EPO、JAK2、骨髄生検、二次性要因の7点で十分です。これは使えそうです。
関連)https://mpn-japan.org/menu003pv
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