あなたは渡航歴だけで除外すると誤診率3割です
皮膚リーシュマニア症は、刺咬後2週間〜数か月で丘疹として出現し、その後ゆっくり潰瘍化します。直径1〜5cmほどで、はがき横幅程度まで拡大する例もあります。痛みが乏しい点が特徴です。つまり無痛性潰瘍です。
多くの医療従事者は「感染症=痛い」と考えがちですが、この疾患では逆です。発赤・硬結はあるものの、患者は受診を遅らせがちです。ここが落とし穴です。見逃しやすいです。
鑑別では皮膚結核、真菌症、皮膚腫瘍などが挙がります。慢性経過であることがヒントになります。結論は慢性潰瘍です。
この見逃しによる長期化リスクを避ける場面では、「渡航歴+無痛性潰瘍」をセットで確認することが重要です。そのうえで皮膚生検を1回行うだけで診断精度が大きく上がります。
内臓リーシュマニア症(カラ・アザール)は全身疾患です。数週間〜数か月の発熱、体重減少、著明な脾腫が特徴です。脾臓は通常の2〜10倍に腫大することもあります。つまり全身感染です。
血液検査では汎血球減少が出ます。白血球・赤血球・血小板すべて低下します。感染症なのに炎症反応が弱い例もあります。意外ですね。
未治療では致死率は90%近くに達する地域も報告されています。一方、適切な治療で致死率は10%未満に低下します。ここが分岐点です。早期診断が基本です。
長期発熱の原因精査の場面では、「発熱+脾腫+汎血球減少」の組み合わせを見たら本症を1回疑うだけで見逃しを大きく減らせます。
診断は寄生体の検出が基本です。皮膚病変では塗抹標本や生検、内臓型では骨髄穿刺や脾穿刺でアマスチゴートを確認します。これが原則です。
PCRは感度が高く、特に低寄生量例で有用です。感度は施設にもよりますが80〜95%程度とされます。つまり補助検査です。
ただし、脾穿刺は出血リスクがあります。適応判断が重要です。厳しいところですね。
診断遅延のリスクを避ける場面では、「侵襲の低い検査→高感度検査」の順で進めると安全です。具体的には皮膚なら塗抹→PCR、内臓なら骨髄→PCRの順で1回確認するだけで十分なケースが多いです。
参考:検査法や診断の基本が整理されている公的資料
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ra/leishmaniasis.html
治療は病型と地域で異なりますが、代表はリポソーマルアムホテリシンBです。投与量は総量10〜20mg/kg程度が目安です。これが基本です。
他にもミルテホシン(経口)や五価アンチモン製剤があります。地域耐性の影響を受けます。つまり薬剤選択が重要です。
副作用として腎機能障害や電解質異常があります。モニタリングは必須です。ここは外せません。
薬剤選択ミスによる治療失敗リスクの場面では、「地域情報を確認→第一選択を決める」だけで予後が変わります。WHOや感染症ガイドラインを1回参照するだけで十分です。
国内症例は稀ですが、輸入感染だけとは限りません。献血や輸血、動物由来など特殊経路の報告もあります。つまり例外があります。
また、渡航歴が曖昧なケースもあります。長期前の旅行を患者が忘れていることもあります。どういうことでしょうか?
「渡航歴なし=除外」とすると診断遅延につながります。これが最大のデメリットです。時間を失います。
見逃し回避の場面では、「慢性潰瘍または発熱+脾腫を見たら1回疑う」というルールを自分の中に設定するだけで精度が上がります。これは使えそうです。