
プロポフォール注入症候群、いわゆるPRISは、プロポフォール持続投与中に起こる重篤な合併症で、代表的な症状は代謝性アシドーシス、横紋筋融解、急性腎障害、心電図変化、不整脈、心不全、高カリウム血症です。
参考)https://www.nichiiko.co.jp/medicine/file/26390/information/09_043.pdf
実臨床で最も拾いやすい初期変化は、原因がはっきりしない代謝性アシドーシスです。ここが原則です。日集中医誌の症例報告でも、血液ガスの悪化がPRISを疑う引き金になっていました。
参考)早期診断により治癒したpropofol注入症候群 (胸部外科…
特に見たいのは、pH低下、BE低下、anion gap拡大、乳酸上昇です。たとえば制限内投与量で発症した18歳症例では、平均2.4mg/kg/hr、総投与138時間で、pH 7.20、BE -8.5mmol/L、AG 18.1mmol/Lまで悪化していました。
参考)早期診断により治癒したpropofol注入症候群 (胸部外科…
この「量は多くないのにガスが崩れる」場面が危険です。意外ですね。構造化レビューでも、心不全や発熱、高トリグリセリド血症などの典型像は95%以上の症例で欠けることがある一方、代謝性アシドーシスは早期に出やすいとされています。
参考)Propofol infusion syndrome: a …
そのため、長時間鎮静中の血液ガスを単なる全身状態悪化として流さないことが大切です。原因不明のアシドーシスを見た時点で、鎮静薬そのものを疑えると、薬剤変更の判断が早くなります。
参考)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001204444069376
代謝異常を早く拾う狙いなら、ICUの定期採血に乳酸と血液ガスの確認ポイントを固定しておく運用が現実的です。確認だけ覚えておけばOKです。新しい機器より、既存の採血設計を崩さないほうが継続しやすいです。
参考)早期診断により治癒したpropofol注入症候群 (胸部外科…
PRISの筋障害は、単なるCK軽度上昇では済まないことがあります。横紋筋融解が進むとミオグロビン尿、急性腎障害、高カリウム血症につながり、数時間単位で病態が重くなります。
18歳症例では、朝にCK 789U/Lだったものが翌日には21,886U/L、その後433,195U/Lまで上昇しました。はがきの横幅どころではありません。数値の跳ね上がり方が非常に急で、見逃すと腎障害の入口を一気に通過します。
参考)早期診断により治癒したpropofol注入症候群 (胸部外科…
2024年の国内症例でも、CK 15,247IU/L上昇、AKI、乳酸アシドーシスを契機にPRISが疑われ、プロポフォール中止後に改善しています。結論はCKの連続変化です。単発値だけでなく、前日比、半日比で眺めると異常の立ち上がりが見えます。
参考)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001204444069376
ここでの実務上の落とし穴は、敗血症、術後侵襲、体位圧迫、けいれん後などに説明を寄せすぎることです。どういうことでしょうか? たしかに別原因でもCKは上がりますが、プロポフォール投与中なら鑑別から外さない、これが損失回避になります。
参考)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001204444069376
PRISは「まず不整脈で気づく」と思われがちですが、実際には心電図変化はやや遅れて見つかることもあります。つまり順番が重要です。先に代謝性アシドーシスや筋障害が出て、後から致死的不整脈や心不全に進む例があるためです。
参考)Propofol infusion syndrome: a …
特徴的な所見としては、Brugada様のV1〜V3誘導coved型ST上昇、徐脈、脚ブロック、上室性または心室性頻拍などが挙げられます。WFSA資料でも、代謝性アシドーシス、ECG変化、横紋筋融解が主要な臨床所見とされています。
参考)https://resources.wfsahq.org/wp-content/uploads/4c629772d6178d2ea9e22f3a65ff8aaf-atow-435-00.pdf
一方で、国内の制限内投与症例では、不整脈やST変化がなくてもPRISと判断されています。つまりECG異常がないなら違反になりません、ではありません。心電図が静かでも、代謝と筋の所見で先に疑う姿勢が重要です。
参考)早期診断により治癒したpropofol注入症候群 (胸部外科…
検索上位の記事では「高用量を48時間以上」が強調されがちですが、現場で本当に危ない思い込みは「基準内だから除外できる」という発想です。ここが落とし穴です。
参考)https://tokyo-mc.hosp.go.jp/wp-content/uploads/2022/11/000153724_22.pdf
2015年の構造化レビューでは、4mg/kg/hr未満でもPRISが起こりうると示されました。さらに典型的とされる発熱、肝腫大、高トリグリセリド血症、心不全は95%以上の症例で欠けることがあるため、古いイメージだけで待つと診断が遅れます。
参考)Propofol infusion syndrome: a …
国内でも、平均2.4mg/kg/hrという添付文書の範囲内で発症した18歳症例があります。これだけ覚えておけばOKです。「上限超え」ではなく「原因不明の変化」がスイッチです。
参考)早期診断により治癒したpropofol注入症候群 (胸部外科…
あなたが得をする実務知識としては、PRISを「投与量監査の問題」ではなく「経時変化の監視課題」として扱うことです。投与速度、投与時間、乳酸、CK、K、Cr、心電図所見を1画面で見られるテンプレートを作っておくと、申し送り時間の短縮にもつながります。
参考)早期診断により治癒したpropofol注入症候群 (胸部外科…
PRISは投与中止が最優先で、発症後に効く決定打が乏しいため、予防と早期認識の価値がとても大きいです。つまり見逃さないことです。症状を「全部そろうまで待たない」だけで、患者アウトカムもチームの判断速度も変わります。
参考)https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/medicine/wp-content/uploads/202509-1safetynews.pdf
症状の定義や国内症例の整理に有用です。
制限内投与量で発症した国内症例の経過、CK推移、血液ガス悪化が確認できます。
典型症状が欠けること、低用量でも発症しうる点を確認する参考になります。
PubMed: Propofol infusion syndrome: a structured review
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