難治性てんかんと診断されても、発作コントロールが改善すれば寿命への影響は大幅に縮小できます。
参考)https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/dzqlnvpg9kj1
薬物治療を3年以上継続しても発作が抑制されない場合、「難治てんかん」と定義されます。 15歳以上では全てんかんの約25%が難治てんかんに相当し、医療現場における重要な課題です。 てんかん全体では薬物治療後に約40%が難治性に至るとも報告されています。
参考)https://hcp.ucbcares.jp/epilepsy/disease-info/what-is-epilepsy-treatment/treatment

難治性てんかん患者の死亡率は、一般人口と比較して明らかに高い水準にあります。 慢性てんかん患者を20年間フォローした研究では、死亡率は一般人口の2.05倍であったと報告されています。
参考)https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/dzqlnvpg9kj1
さらに薬剤抵抗性(難治性)のてんかんに限定すると、死亡率は健常人の約5倍にまで上昇します。 これは寿命短縮に直結する数字です。結論はシンプルです。
参考)https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/211212_document1_03.pdf
死因の内訳としては、発作関連事故(転倒・転落・溺水・熱傷)、発作重積状態(てんかん重積)、基礎疾患の進行(症状てんかんの場合)、そして原因不明の突然死(SUDEP)があります。 てんかん重積状態の死亡率は7〜38%に及ぶとされ、これも見逃せないリスクです。
とくに自宅での無監視状態が最大のリスクです。発作頻度の高い難治性患者ほど、転倒・溺水などの事故死リスクも比例して高まるため、ADL全般にわたる安全管理の指導が不可欠となります。
SUDEP(Sudden Unexpected Death in Epilepsy)とは、てんかん患者において、発作の有無を問わず、検死でほかの死因が特定されない突然死のことです。 意外ですね。
| 患者群 | SUDEP発生率(1,000人年あたり) |
|---|---|
| 地域ベース一般てんかん(小児) | 0.22人 |
| 地域ベース一般てんかん(成人) | 1.2人 |
| 難治性・薬剤抵抗性てんかん | 4〜10人 |
| てんかん外科適応患者 | 6.3〜9.3人 |
参考)https://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly10/14120705.pdf
直近のLancet掲載研究(2025年)では、7,982人年の追跡でSUDEP発生率が1,000人年あたり4.76件(95%CI 3.37〜6.53件)と報告されています。 夜間の発作後の無呼吸や心停止が主な機序と考えられており、就寝時の独居や監視のない状態が最大のリスク因子のひとつです。
参考)https://hokuto.app/post/oAKK1LGVgoaLKq8JQkEs
SUDEPのリスクは「あなたが知らないまま放置すると、患者が自宅の寝室で突然死するリスクが一般人の27倍になる」と言い換えられます。 患者や家族への情報提供を躊躇しがちな傾向が医療現場にありますが、啓発は寿命改善の第一歩です。
参考)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202011071A-buntan9-2_0.pdf
側頭葉てんかんを中心とした外科切除術では、術後に発作が消失する割合が70〜80%と報告されています。 これはコクランレビューでもエビデンスが確認されており、発作消失が死亡率の低下に直結します。 つまり外科治療が条件です。
参考)https://shizuokamind.hosp.go.jp/epilepsy-info/news/n4-5/
ただし、外科治療が有効なのは「てんかん原性領域が特定できる場合」に限られます。 手術後も約半数で発作の完全消失には至らず、発作頻度の減少や薬剤コントロールの改善にとどまるケースも存在します。 厳しいところですね。
参考)外科手術
外科治療の適応を早期に評価するには、専門のてんかんセンターへのリファーが重要です。参考として、静岡てんかん・神経医療センターは国内トップレベルのてんかん外科実績を持つ機関です。
外科治療の適応と術後管理について(静岡てんかん・神経医療センター)
難治性てんかん患者のQOLを低下させる要因は、発作の頻度だけではありません。 うつ病や不安障害などの精神医学的併存疾患が、QOLに強く影響することが研究で明らかになっています。 これは使えそうです。
精神疾患の合併はてんかん発作の閾値を下げる可能性があり、発作コントロールをさらに困難にすることがあります。また、自殺リスクとも関連するため、難治性てんかん患者における精神症状のスクリーニングは、単なるQOL評価にとどまらず、生命予後にも関わります。
具体的には、PHQ-9(うつ病スクリーニング尺度)やGAD-7(不安障害スクリーニング)を定期的に活用し、精神症状の早期発見・早期介入を行うことが推奨されます。てんかん専門医と精神科医の連携体制を構築することが、長期的な寿命改善につながります。
難治性てんかん患者のQOL低下とうつ・不安の関連(CareNet)
難治性てんかんは、適切な介入がなければ死亡率が健常者の5倍に達しうる疾患です。 医療従事者としての役割は、薬剤の処方管理にとどまりません。以下の視点が重要です。
参考)https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/211212_document1_03.pdf
SUDEPに関しては、日本でも国立精神・神経医療研究センター(NCNP)が予防に関する研究・啓発を進めています。 最新のエビデンスとガイドラインを参照しながら、患者ごとの個別リスク評価を行うことが寿命改善の核心です。
参考)https://epilepsy-center.ncnp.go.jp/pdf/241222_document1_08.pdf
SUDEP(てんかんの突然死)に関する最新解説(国立精神・神経医療研究センター、2024年)
参考として、コクランレビュー(2025年)ではSUDEP予防のための治療エビデンスが体系的に整理されており、外科治療・デバイス療法・生活指導の各介入効果が評価されています。
SUDEPを防ぐための治療エビデンス(Cochrane Review 2025年版)
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