体温コントロールできる服を選ばないと、夜勤中に3度以上の体温変動で集中力が30%低下します。

病院内で一日働くと、体が意外なほど多くの温度変化にさらされることに気づきます。病室は患者さんの快適性に合わせて20〜24℃に設定されており、廊下や倉庫はやや低め、一方で処置室や救急エリアでは動き回るために体が熱くなります。院内だけで最大10℃以上の体感温度差が生まれることも珍しくありません。
この温度差を服装で補うことが、医療従事者が「コントール服(体温コントロールできる服)」を意識して選ぶべき最大の理由です。
体が冷えると集中力や判断力が低下し、業務ミスのリスクが高まります。逆に暑すぎると発汗が増え、患者さんへの不快な臭い、あるいはムレによる皮膚トラブルにつながる可能性があります。どちらも医療の現場では避けたい事態ですね。
スクラブ単体では、この温度変化に対応するのが難しいのが現実です。そのため、「スクラブ+インナー+カーディガン」のレイヤード(重ね着)戦略と、それぞれのアイテムに適切な機能素材を選ぶことが、快適な勤務環境を保つ基本となります。コントール服の考え方が基本です。
スクラブインナーは、ただの下着ではありません。医療現場特有の環境に対応するために設計された専用のウェアで、素材の選択が体感温度のコントロール精度を大きく左右します。
代表的な素材と特徴を理解しておくことが、選び方の第一歩です。
| 素材の種類 | 主な特徴 | 向いているシーン |
|---|---|---|
| ポリエステル100% | 吸汗速乾性・軽量・速乾 | 夏場・動きが多い業務 |
| ポリコットン(ポリエステル65% / 綿35%) | 吸汗速乾+肌触りの良さ | オールシーズン |
| 綿100% | 吸水性・肌触り良好 | 乾きにくいため夏場には不向き |
| TEMP-C素材(体感温度コントロール) | 温度に応じて吸汗・保温を切り替え | 院内外の移動が多い場合 |
| 遠赤外線・裏起毛素材 | 保温性重視 | 冬場・夜勤・冷房の強い環境 |
なかでも注目したいのが「TEMP-C」という体感温度コントロール素材です。これはシキボウが開発した機能性素材で、生地の温度が高いとき(発汗・外出時)は汗を素早く拡散・蒸発させて体感温度を下げ、生地の温度が低いとき(冷房の効いた院内)は汗の蒸発を抑えて体感温度を下げすぎないよう働きます。つまり一枚で夏も冬も対応できる設計です。
これは使えそうです。
訪問看護のように屋外と院内を繰り返し行き来する職種に特に向いています。外を歩いて暑くなった体を冷ましつつ、クーラーの効いた室内では冷えすぎを防げるからです。
ポリエステル100%のインナーは速乾性に優れますが、綿に比べて通気性がやや劣るため、汗をかきにくい季節や動きの少ない業務では「暑さ」を感じやすいことがあります。素材の特徴を知ることが条件です。
また、デザイン面では「7分袖」が一年中使いやすい定番サイズです。スクラブの袖口からインナーがはみ出しにくく、感染管理の観点からも袖が患者さんや器具に触れるリスクを抑えられます。
参考リンク(スクラブインナーの素材・機能選びの詳細解説):
スクラブのインナーは何を着る?シーン別おすすめ白衣の下に着る服を紹介 – ユニネクマガジン
スクラブインナーだけで体温管理を完結させようとすることには限界があります。特に冬場や冷房の強い環境では、インナーの上にカーディガンを組み合わせる「レイヤード戦略」が有効です。ただし、カーディガンの選び方を間違えると、かえって業務の妨げになります。
まず注意したいのが「厚手すぎるカーディガンを避ける」という点です。厚手のカーディガンは腕周りがきつくなり、処置時の腕の動きを制限するリスクがあります。また重くなるため、長時間の着用で肩まわりへの負担が増えることも。薄手でも保温効果のあるカーディガンを1枚常備しておくのが原則です。
手軽に体温調節できます。
⚠️ 着込みすぎも禁物です
| よくあるNG例 | 起きるリスク |
|---|---|
| 厚手インナー+厚手カーディガンの重ね着 | 汗をかいてムレ、汗冷えで逆に体が冷える |
| 長袖カーディガンで袖口が長い | 処置時に患者さんや物品に触れる感染リスク |
| ボタンが大きいカーディガン | 移動時に引っかかるリスク |
秋冬は意外と汗をかきます。気温が低いからといって汗対策を怠ると、インナーが湿ったまま院内を歩き、汗冷えを起こすことがあります。吸汗速乾機能のあるスクラブやインナーとの組み合わせが、この問題の解決策として有効です。
足元も忘れないでください。パンツスタイルのナース服を着用している場合は、ウール素材の靴下が足元の冷え対策として効果的です。ウールは蒸れにくく抗菌防臭効果もあり、汗をかいても快適な状態を保てます。パンツの裾で見えないため、ユニフォームの雰囲気を崩さずに取り入れられます。
参考リンク(看護師の防寒対策・カーディガン選びのポイント):
秋冬の看護師さん必見!防寒&体温調節におすすめのナース服・スクラブ・カーディガン – クラシコ
医療現場で着用するウェアは、体温管理だけでなく「衛生性」も同時に満たす必要があります。特に院内感染対策が強く求められる昨今、スクラブや白衣に「抗菌」「制菌」機能があるかどうかは、選定の重要な基準の一つです。
その判断材料として機能するのが「SEKマーク」です。SEKマークは、繊維評価技術協議会が繊維の抗菌性・防臭性を認証する制度で、第三者機関が「効果」「耐久性」「安全性」の3点を評価し、基準をクリアした製品にのみ使用が許可されます。
| SEKマークの色 | 対象加工 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 🔴 赤 | 制菌加工(有害細菌の増殖を抑える) | 医療機関・介護施設の業務用衣料 |
| 🔵 青 | 抗菌防臭加工(臭いの原因菌を抑える) | 一般衣料・スポーツウェア |
| 🟡 黄 | 静菌加工 | 寝具・タオルなど |
「抗菌」と「制菌」の違いも重要です。
抗菌は、汗や汚れを栄養とする菌の「繁殖を抑える」ことで臭いの発生を防ぐ機能です。黄色ぶどう球菌への効果で評価されます。
制菌は、繊維内に潜む有害細菌の「増殖そのものを抑える」機能で、院内感染対策として高い効果が期待できます。赤いSEKマーク付きの製品は特に厳格な基準をクリアしており、医療施設での使用に最も適しています。
制菌機能が条件です。
洗濯耐久性も確認してください。制菌・抗菌機能は洗濯を繰り返すことで徐々に低下することがありますが、工業洗濯(リネンサプライ会社による業務洗濯)に対応した製品であれば、家庭洗濯よりも強い洗浄にも耐えられます。病院でユニフォームの洗濯をリネンサプライ業者に委託している場合は、「工業洗濯対応」の表記を確認することが重要です。
参考リンク(制菌・抗菌・SEKマークについての詳細解説):
制菌・抗菌の医療スクラブ白衣とは – eユニフォーム
体温管理や素材機能に注目が集まる一方で、実はあまり語られていないのが「スクラブの色が医療現場に与える影響」です。色は単なるファッションではなく、患者さんの心理と医療従事者自身のパフォーマンスの両方に影響を与えることが知られています。
まず患者さんへの影響について見てみましょう。
白は清潔感と信頼感を与えますが、同時に患者さんの緊張を高める「白衣高血圧」という現象を引き起こすことがあります。血圧を自宅で測るときと白衣を着た医師の前で測るときで、2割以上も血圧の数値が高くなる患者さんがいると報告されています。
一方、青・ネイビー・グリーン系のスクラブは患者さんに安心感や落ち着きを与える効果があり、緊張を和らげやすいとされています。小児科や精神科など、患者さんのストレス軽減が特に重要な診療科では、明るいカラーやパステル系を採用しているケースも増えています。
意外ですね。
医療従事者側のパフォーマンスにも色は関係します。研究では、特定の色が着用者の注意力や気持ちの切り替えに影響することが示されており、チームで色を統一することでスタッフの一体感を高める効果もあります。
| スクラブの色 | 患者への印象 | 向いている診療科 |
|---|---|---|
| ホワイト | 清潔感・信頼感 | 一般外来・内科 |
| ブルー・ネイビー | 落ち着き・安心感 | 外科・ICU |
| グリーン | 安心・癒し | 手術室・緩和ケア |
| ピンク・パステル | 親しみやすさ・温かみ | 小児科・産婦人科 |
| ブラック・チャコールグレー | プロフェッショナル感 | 精密検査・放射線科 |
また、色と体温管理の意外な関係もあります。濃い色のスクラブは血液や汚れが目立ちにくいというメリットがある一方、太陽光の下では薄い色より熱を吸収しやすい性質があります。訪問看護など屋外での業務が多い場合は、外出時の体感温度にも影響しうる点として頭に入れておくとよいでしょう。
色選びも体温コントロールの一部です。
色の選択が業務環境に合っているかどうか、今一度見直してみる価値があります。現場のルールや雰囲気に合わせつつ、機能性・衛生性・患者さんへの印象の三つを同時に考慮することが、コントール服の選び方として理想的です。
参考リンク(スクラブの色と患者心理・職場ルールに関する詳細):
スクラブ白衣の色が持つ意味:患者さんへの印象と心理的効果 – ユニデポ メディカル