インスリノーマと診断された患者の約半数は、発症から確定診断まで平均3年以上かかっています。

インスリノーマの診断において、最初の手がかりとなるのがWhippleの三徴(ウィップルのさんちょう)です。 ①空腹時や運動時の低血糖に合致する症状、②症状出現時の血糖値が50mg/dL以下、③ブドウ糖投与による症状の改善——この3点が揃うことで、臨床的に低血糖症の存在を確認します。
関連)https://note.com/tukareno/n/naef1a058c615
| Whippleの三徴 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ①低血糖症状 | 意識消失・頭痛・めまい・痙攣・発汗など | 精神疾患と誤診されるケースあり |
| ②発作時低血糖 | 症状出現時の血糖値50mg/dL以下 | 食後低血糖の場合もある |
| ③糖投与で改善 | ブドウ糖投与で症状が速やかに回復 | 非典型例では改善が緩徐な場合も |
Whippleの三徴でインスリノーマが疑われたら、次は生化学的機能検査です。 具体的には12時間絶食後の空腹時血糖とインスリン(またはCペプチド)を測定します。血糖値が50mg/dL以下で、インスリン6μU/mL以上・Cペプチドが0.6ng/mL以上あれば、インスリノーマを強く疑います。
関連)https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/xr7fsa_4bbzy
また、Fajans指数(空腹時インスリン/空腹時血糖比)が0.3以上という基準も重要です。 この0.3という数値は、9時間以上の絶食後に測定することが条件であり、測定タイミングを誤ると偽陰性になります。これが基本です。
関連)https://www.nagasaki-clinic.com/particular/
膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン(日本癌治療学会):診断のCQ(クリニカルクエスチョン)と推奨が詳しく掲載されており、インスリノーマの生化学的診断のフローチャートを確認できます。
腹部ダイナミックCTでは早期相(動脈相)で強く濃染される境界明瞭な膵内腫瘍として描出されます。 腹部ダイナミックMRIでは、T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を示しますが、ダイナミックMRI動脈相での造影効果で膵癌と鑑別できます。
関連)https://www.nagasaki-clinic.com/particular/
超音波内視鏡(EUS)はCTよりも高い感度を持ちます。 EUS-FNA(超音波内視鏡下針生検)により腫瘍細胞を採取し、膵島細胞が確認されればほぼ確定診断となります。特に1cm未満の微小インスリノーマの検出においてEUSは非常に有用です。
関連)https://www.nagasaki-clinic.com/particular/
| 画像検査 | 特徴 | 適応 |
|---|---|---|
| ダイナミックCT | 動脈相で強濃染。2cm以上は検出感度が高い | 第一選択の局在診断 |
| ダイナミックMRI | T1低・T2高信号、動脈相で造影 | CT造影剤アレルギーの代替 |
| EUS(超音波内視鏡) | 低エコー腫瘤。微小病変の検出に優れる | CTで同定困難な小病変 |
| SASIテスト | 選択的動脈内Ca注入試験。局在確定に必須 | 多発・局在不明例 |
| FDG-PET・SRS | インスリノーマは低増殖性のため陽性率が低い | 悪性・転移例の補助 |
治療面では、手術切除が第一選択であり腫瘍径2cm以下・主膵管との距離3mm以上の場合は核出術が適応となります。 手術経験が豊富な施設への紹介を含めた適切な連携体制の構築が、実臨床ではガイドライン遵守と同じくらい重要といえます。
関連)http://www.jsco-cpg.jp/nen/guideline01/
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