ドローインで看護師の腰痛予防を実現する体幹トレーニング方法

医療従事者が抱える職業性腰痛の対策として注目されるドローイン。腹横筋を鍛える効果的なエクササイズで、腰痛予防と姿勢改善が期待できる。簡単で職場でも実践可能なこの運動が、看護師の健康維持にどのような変化をもたらすのでしょうか?

ドローインによる医療従事者の腰痛予防と体幹機能向上

ドローインの主要な効果
💪
腹横筋強化

深層筋を効果的に鍛えコルセット機能を向上

🏥
腰痛予防

脊椎安定化により職業性腰痛のリスクを軽減

実践しやすさ

場所を選ばず短時間で実施可能

ドローインの医学的根拠と看護師への適用

ドローインは腹横筋を中心とした深層筋群の収縮を促進する運動として、医療現場での腰痛予防対策に注目されています。看護師の腰痛有訴率は70.5%に達し、移乗介助やおむつ交換などの生活援助場面で頻繁に発生する重量物取り扱いが主要な原因となっています。
参考)https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/lifestyle/beauty/18887/

 

腹横筋の機能低下は腰部の不安定性を招き、腰痛リスクを高めることが研究で明らかになっています。ドローインによる腹横筋の効果的な活性化は、脊椎の安定化に重要な役割を果たし、腰痛症患者への介入研究では腰に対する違和感の軽減が実証されています。
参考)https://tokorozawa.w.waseda.jp/kg/doc/20/sotsuron2010/1K07A116.pdf

 

医療従事者が抱える職業性腰痛の対策として、ドローインは特別な器具を必要とせず、年齢や性別、場所の制限なくいつでもどこでも容易に実施できる利点があります。これらの特性により、多忙な医療現場での継続的な取り組みが可能となっています。

ドローインの正確な実践方法と注意点

ドローインの基本的な実施方法は、仰向けに寝て膝を軽く立て、両手を腹部に添えた状態で開始します。鼻から息を吸っておなかを膨らませ、口をすぼめて10秒間以上かけてゆっくりと息を吐きながら、おなかを最大限に凹ませることが重要です。
実習における重要なポイントとして、骨盤の骨の出っ張りの内側に手を当て、腹横筋の筋収縮を確認しながら実施することが推奨されています。息を吐く際におなかを凹ませて腹横筋を収縮させますが、強く凹ませ過ぎると別の筋肉(腹斜筋)が働いてしまうため注意が必要です。
参考)https://www.itoortho.jp/rehabili/column003.html

 

よくあるNG例として、息を止めたままお腹をへこませることが挙げられます。これでは筋肉がしっかり使われず逆効果となるため、呼吸を継続しながら実施することが不可欠です。また、腰を反らせすぎると効果が減少するため、背中が床と自然なすき間を保つ姿勢を維持する必要があります。
参考)https://miyagawa-seikotsu.com/blog/%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%84%E3%82%8A%E6%96%B9%E5%AE%8C%E5%85%A8%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%EF%BD%9C%E5%88%9D%E5%BF%83%E8%80%85%E3%81%A7%E3%82%82%E4%BB%8A%E6%97%A5%E3%81%8B

 

ドローインによる腹横筋とインナーマッスル強化効果

ドローインで鍛えられる主要な筋肉は、腹横筋、内腹斜筋、横隔膜筋、多裂筋などのインナーマッスルです。腹横筋はお腹の筋肉の中でも最も深層に位置し、コルセットのようにお腹を取り囲んでいる特徴があります。
参考)https://online.tipness.co.jp/magazine/lesson-286/

 

研究により、ドローインは内腹斜筋と腹横筋の筋厚を増加させることが確認されており、特に腹横筋の筋厚はストレッチポール上での実施により更なる増加が期待できます。これらの深層筋群は骨盤や背骨を自然と正しい位置に整え、姿勢改善に直接的な効果をもたらします。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/35/1/35_129/_pdf

 

腹横筋は動作に先行して収縮することで体幹を安定させる機能を持ち、この機能により必然的に骨盤底筋や多裂筋にも収縮が入るため、包括的な体幹安定化が実現されます。医療従事者にとって、これらの筋群の強化は日常的な患者ケア業務における身体負担の軽減に直結します。
参考)https://zenshin-seikei.com/blog/archives/1481

 

ドローインの職場導入と継続のための実用的アプローチ

医療現場でのドローイン導入において、腰痛のない看護師が実践している予防対策として、職務遂行中のラジオ体操や移動時の階段利用など、多様な身体活動・運動の導入が効果的とされています。ドローインは1回5〜10秒キープを3セットから開始し、慣れてきたら座位や立位でも実践可能です。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/43/0/43_43698/_html/-char/ja

 

職場での実習においては、休憩時間やナースステーションでの待機時間を活用した短時間実施が現実的です。特別な設備や着替えが不要であるため、医療従事者の勤務中でも継続しやすい特徴があります。
エビデンスに基づく継続的な取り組みにより、腰痛症患者を対象とした1ヶ月間の介入研究では、全対象者が今後もドローインを続けていきたいと回答しており、実践のしやすさと効果実感の高さが示されています。医療機関における腰痛予防対策として、組織的な導入と継続支援体制の構築が重要となります。

ドローインによる医療従事者の独自的健康管理戦略

従来の腰痛予防対策に加えて、ドローインは医療従事者特有の作業環境に適応した健康管理戦略として注目されています。夜勤時の体調管理や長時間の立ち仕事における疲労軽減において、体幹機能の向上は血液循環の改善にも寄与します。
片脚立位の安定性向上効果により、患者の移乗介助時のバランス保持能力が向上し、転倒リスクの軽減が期待できます。これは患者の安全確保だけでなく、介助者自身の怪我予防にも直結する重要な効果です。
医療従事者のメンタルヘルス対策として、ドローインによる定期的な深呼吸は自律神経の調整にも効果があり、ストレス軽減と集中力向上に貢献します。簡単で継続しやすいこの運動は、医療現場の高いストレス環境において、身体的・精神的健康の両面をサポートする実用的なツールとして位置付けられます。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/6c0262e64e7be0eaffd2bc23f1aa0055574d8767

 

勤務環境の改善取組として、組織的なドローイン実践プログラムの導入により、職員の健康維持と職場の安全性向上を同時に実現できる可能性があります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001128611.pdf