ドレーンには目的別、排液方法別、形状別に多様な種類があり、それぞれに適した管理方法を理解することが重要です。目的による分類では、予防的ドレナージ(感染リスクが高い術後に行う)、治療的ドレナージ(既存の貯留液による症状改善目的)、情報的ドレナージ(出血量確認や合併症の早期発見)に分けられます。
参考)https://knowledge.nurse-senka.jp/226811
排液方法では、閉鎖式ドレナージが推奨され、逆行性感染のリスクが少なく、排液量の正確な測定が可能という利点があります。一方で開放式ドレナージは動きの制限が少ないものの、感染リスクが高く、硬い素材による組織障害の可能性があります。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/3829/
形状別では、ペンローズ型のフィルム型ドレーンは毛細管現象を利用し、挿入時の違和感が少ないものの内腔閉塞しやすいデメリットがあります。チューブ型ドレーンは内腔閉塞しにくく、サンプ型は多重構造により大量の消化管液の排出が可能です。
ドレーン管理において最も重要なのは、排液だけでなく患者全体の状態を観察することです。表情、顔色、口調の変化は血圧低下や術後出血などの急変徴候を示す可能性があるため、「一点集中」ではなく患者さん全体を見る姿勢が必要です。
参考)https://knowledge.nurse-senka.jp/207124/
バイタルサインの観察では、血圧・脈拍・呼吸回数・呼吸音・SPO2の測定が基本となります。特に呼吸困難感や疼痛などの自覚症状がある場合、ドレーンのずれや屈曲、閉塞が疑われるため、迅速な対応が求められます。
参考)https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/career_skillup/20250708-2179612/
体温上昇や発汗、刺入部の痛みの増強がある場合は感染徴候も併せて考慮し、すみやかにリーダーや医師への報告を行い、適切な処置につなげることが重要です。
参考)https://www.nurse-happylife.com/5618/
胸腔ドレーンは胸膜腔内の浸出液や空気を排出し、肺の拡張を促進する目的で使用されます。観察では呼吸性移動(水封室の水位の上下)の確認、ドレーンの閉塞・屈曲・圧迫の有無、排液バッグが患者より20cm以上低い位置にあるかをチェックします。
参考)https://kango-oshigoto.jp/media/article/48678/
腹腔ドレーンでは、術後の死腔形成により液体が貯留しやすい部位に留置され、排液の量・色・性状の変化を詳細に観察します。正常な排液は淡血性から漿液性に変化し、1日200mL以下になったら抜去を検討します。
参考)https://knowledge.nurse-senka.jp/207065/
挿入部位別では、モリソン窩、ダグラス窩、右・左傍結腸溝など解剖学的部位に応じた適切な留置が重要で、各部位の特性を理解した観察が求められます。
参考)https://knowledge.nurse-senka.jp/207031/
排液の性状変化は患者の状態を反映する重要な指標となります。正常な排液は術後初期には淡血性を呈し、徐々に漿液性に変化していきます。異常な排液として、血性の増加、膿性への変化、混濁や浮遊物の出現、異臭の発生などがあります。
参考)https://www.kango-roo.com/learning/3835/
血性排液の増加は術後出血を示唆し、膿性排液は感染を疑います。消化液の漏出が疑われる場合は、排液の色調変化(胆汁様、腸液様)に注意が必要です。
排液量の急激な変化も重要な指標となり、突然の減少はドレーンの閉塞を、急激な増加は合併症の発生を示唆する可能性があります。これらの異常を発見した際は、迅速に医師への報告を行い、適切な処置につなげることが求められます。
ドレーン感染は逆行性感染のリスクが最も高く、特に開放式ドレナージでは外界との交通があるため細心の注意が必要です。感染予防の基本として、手洗いや手指消毒の徹底、必ず手袋を着用した状態での処置が重要です。
参考)https://www.nasnus.com/contents_freepage/detail/94/
刺入部の管理では、ドレーンの確実な固定により汚染を防止し、発赤、腫脹、疼痛、熱感などの感染徴候の有無を継続的に観察します。ガーゼ交換や排液バッグの処理時も衛生面の徹底管理が必要で、PPE(手袋、マスク、プラスチックエプロン)の適切な着用が求められます。
参考)https://med.saraya.com/kansen/ppe/shochibetsu/doren.html
安全管理では、ドレーンの予定外抜去、接続外れ、埋没などの医療事故防止が重要です。適切な固定技術の習得と定期的な固定状況の確認、患者への移動時の注意事項の説明が必要です。また、衣服の中にドレーンを通すことは感染リスクを高めるため避けるべきです。
参考)https://store.isho.jp/search/detail/productId/1600001830