アトルバスタチン錠の効果と副作用を徹底解説し注意点も紹介

アトルバスタチン錠は高コレステロール血症や家族性高コレステロール血症の治療に用いられるスタチン系薬剤です。
主な作用はHMG-CoA還元酵素阻害によるコレステロール合成抑制で、特にLDLコレステロール（悪玉コレステロール）の低下作用が強力です。
臨床試験では、LDLコレステロール値が用量依存的に約32～39％低下し、総コレステロールやトリグリセリドも改善します[1][2]。
HDLコレステロール（善玉コレステロール）はわずかに上昇します。
動脈硬化性疾患の発症抑制や心血管イベントのリスク低減にも寄与することが示されています。

副作用は比較的少ないものの、消化器症状（下痢、胃不快感、便秘、腹痛、胸やけ、嘔気、軟便など）が多く報告されています[3][4][5]。
皮膚症状（発疹、かゆみ、発赤）や、筋肉痛、関節痛、頭痛、めまい、不眠などもみられます[3][5][6]。
臨床検査値異常としては、肝機能障害（AST/ALT/γ-GTP上昇）や、CK上昇、血小板減少などが挙げられます[7][1]。
副作用発現率は16.7％前後とされ、重篤な副作用の頻度は低いですが、横紋筋融解症や劇症肝炎など重篤な事例も報告されています[7][8][1]。

アトルバスタチンはCYP3A4で代謝されるため、グレープフルーツジュースや一部抗がん剤（フチバチニブ）、リファンピシン、エファビレンツなどと併用すると血中濃度が大きく変動し、副作用リスクが増加します[7][1]。
陰イオン交換樹脂との併用では吸収が阻害されるものの、LDLコレステロール低下作用は相加的に強まる傾向があります[7][1]。
ジゴキシンや経口避妊薬との併用時は、相手薬剤の血中濃度上昇に注意が必要です。
併用薬の確認と、定期的な臨床検査値モニタリングが必須となります。

スタチン系薬剤共通の重篤な副作用として、横紋筋融解症やミオパチーが知られています[7][8][1]。
これは筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中および尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急性腎不全を合併することもあります。
フィブラート系薬剤との併用や、高齢者、腎機能障害患者ではリスクが増加します[8]。
早期発見のため、筋肉症状の訴えには注意し、CK値の定期的な測定が推奨されます。

アトルバスタチン錠は一般的な副作用以外にも、テストステロン低下や女性化乳房、味覚異常、悪夢など、あまり知られていない影響が報告されています[7][1]。
また、糖代謝への影響については、HbA1cやフルクトサミン値に有意な変化は認められなかったとする国内試験結果があり、糖尿病リスク増加の懸念は現時点で限定的です[2]。
さらに、脳梗塞や帯状疱疹、肺炎など、直接的な関連が明確でないものの、報告例が存在するため、広い視点での経過観察が重要です。