THCとは貿易実務で必ず発生するコンテナ港湾費用

貿易実務で頻出するTHC(ターミナルハンドリングチャージ)の意味・費用相場・FOBやCIF契約での負担ルールをわかりやすく解説。医薬品・医療機器の輸入担当者が知らないと損する実務知識とは?

THCとは貿易で発生する港湾コスト

CIF契約でも着港のTHC約5万円はあなた負担です。


この記事の3ポイントまとめ
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THCとは何か

THC(ターミナルハンドリングチャージ)は、港のコンテナターミナルで発生する荷役・取り扱い手数料。輸出時・輸入時の両方で請求される。

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費用の目安

20フィートコンテナで約33,500円、40フィートで約49,800円(日本・ドライコンテナ2023年改定後)。危険品や冷蔵コンテナはさらに高額になる。

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誰が払うのか

CIF・FOB契約でも仕向地(着港)のTHCは輸入者(買い手)負担が一般的。契約書に明記がない場合でも商慣習上そう扱われる。


THCとは何か:コンテナ貿易の基本料金を理解する


THC(Terminal Handling Charge)とは、日本語で「ターミナル・ハンドリング・チャージ」と呼ばれる料金です。 港のコンテナターミナルで、コンテナを積み下ろしたり、ヤード内で移動させたり、本船への積み込みや取り出しをしたりする際に発生する取り扱い手数料のことを指します。


関連)https://www.ntl-naigai.co.jp/glossary/t/thc.html


つまり、「港でコンテナを動かすためのコスト」です。


この費用は1990年代以降に各港で導入され始めました。 以前は海上運賃(オーシャンフレート)に込みで請求されていたものを、船会社が個別明細として分離・請求する形に変えたのが始まりです。以来、貿易実務のコスト計算には欠かせない費目となっています。


関連)https://www.nittsu.co.jp/support/words/ta/terminal-handling-charge.html


重要なのは、THCが出発港と到着港の両方で発生するという点です。 輸出時には仕出地(積み地)のターミナルで、輸入時には仕向地(揚げ地)のターミナルで、それぞれ個別に請求されます。


関連)https://boueki.standage.co.jp/what-is-thc/



荷役のたびに発生する費用が明確になっているのは、コスト管理という点では透明性があります。いいことですね。


ただし、「運賃を交渉したのにTHCで予算をオーバーした」という事態は貿易実務の現場で頻繁に起きます。医薬品や医療機器の輸入を担当する方は、見積もり段階からTHCを必ず確認する習慣をつけることが重要です。


THCの費用相場と20フィート・40フィートの違い

実際のTHCの金額はどの程度なのでしょうか。日本向けの改定後レート(2023年2月適用)では、以下のとおりです。


関連)https://www.pancon-acs.com/doc/299e03541d93dcf748e3e87bfe8497e4a3988b06.pdf


コンテナ種別 20フィート 40フィート
ドライコンテナ(一般貨物) 33,500円 49,800円
ハザーダスカーゴ(危険品) 43,000円 63,000円


20フィートコンテナはおおよそ畳10枚分の床面積を持つ大型の鉄製箱です。それを港で1回動かすだけで3万円超のコストが発生するイメージです。40フィートはその2倍の長さで、コストも1.5倍ほどに跳ね上がります。


危険品扱い(ハザーダス)になると、ドライコンテナより約3割高くなります。 医療機器の中でも放射性物質を含む診断薬や、引火性のある試薬類は危険品コードを与えられることがあり、その場合はTHCが高額になる点に注意が必要です。


関連)https://www.pancon-acs.com/doc/299e03541d93dcf748e3e87bfe8497e4a3988b06.pdf


これは見落とすと痛いですね。


また、LCL(Less than Container Load)と呼ばれる混載便の場合はコンテナ単位ではなく容積単位で計算され、約1,800円/㎥が目安です。 LCLはFCL(コンテナ貸切)より割安に見えますが、別途CFSチャージ(約6,500円/㎥)も発生するため、合算で比較することが重要です。


関連)https://hps-connect.com/column/date/2026/03/


THCは船会社や港、時期によって変動します。見積もりを取る際には「THCは含まれているか、いくらか」を必ず確認するのが基本です。


FOB・CIF契約でTHCの負担者はどう変わるか

貿易実務でもっとも混乱しやすいのが「THCを誰が払うのか」という問題です。これは国際商取引条件(インコタームズ)の種類によって異なります。


FOB(Free On Board)契約の場合、売主(輸出者)は積み地のTHCを負担します。 つまり輸出港のターミナル費用は売り手持ちです。一方、船積み後の費用(海上運賃・保険・着港THC)はすべて買い手(輸入者)の負担になります。


関連)https://www.itaku-unso.co.jp/news/5768/


CIF(Cost, Insurance and Freight)契約では、売主が海上運賃と保険料を手配・負担します。 ここで多くの人が誤解しやすいのは、「CIFなら着港費用もすべて売主負担」と思い込む点です。


関連)https://ja.accio.com/blog/a-complete-guide-to-terminal-handling-charges-thc


結論はCIF契約でも着港のTHCは輸入者負担が原則です。


関連)https://kandaka.work/busitable/thc-who-will-bear-terminal-handling-charges/


ジェトロ(日本貿易振興機構)の情報でも、CIF・CIP契約における揚げ地THCは輸入する側が支払うのが商慣習上の一般的な扱いとされています。 ただし、売主・買主で別途合意した場合はこの限りではありません。


関連)https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-000A48.html


  • 📌 FOB契約:積み地THC → 売主負担 / 着港THC → 買主負担
  • 📌 CIF契約:積み地THC → 売主負担(海上運賃込み)/ 着港THC → 買主負担(商慣習上)
  • 📌 DDP契約:積み地・着港の両THC → 売主負担(全費用売主持ち)


実務上は、見積書の中にTHCが明示されていないケースも多くあります。担当者が「運賃に含まれている」と勘違いして請求書が来て初めて気づく、というトラブルは珍しくありません。


関連)https://www.sakata.co.jp/logistics-287/


医薬品や医療機器を海外サプライヤーからCIF条件で仕入れている場合、着港THCは自社負担であることを事前に確認しておく必要があります。


参考情報(JETRO:CIF契約における輸入THCの費用配分と留意点)。
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-000A48.html


THCと混同しやすいCFSチャージ・サーチャージの違い

貿易コストの見積書には、THCのほかにも似た名称の費用が並びます。混同すると二重払いや計上漏れの原因になるため、整理しておきましょう。



関連)https://www.itaku-unso.co.jp/news/5768/


関連)https://hps-connect.com/column/date/2026/03/

費用名 略称 内容
ターミナルハンドリングチャージ THC コンテナターミナル内の荷役・移動費用
コンテナフレートステーションチャージ CFSチャージ 混載貨物の仕分け・梱包解きにかかる費用(LCL時)
ドキュメントフィー Doc Fee 船荷証券(B/L)やアライバルノーティスの発行費用
デリバリーオーダー作成費 D/O費 貨物引渡し書類の作成費用、約8,000円が目安


CFSチャージはLCL(混載便)のときだけ発生します。 FCL(コンテナ貸切)には基本的に不要です。一方THCはLCL・FCLを問わず発生し、課金の単位が異なります(FCL:コンテナ本数単位、LCL:容積単位)。


関連)https://hps-connect.com/column/date/2026/03/


最近では新たなサーチャージも増加しています。 コンテナインバランス解消を目的としたCIC(Container Imbalance Charge)や、コンテナ管理費としてのEMC(Equipment Management Charge)などが数十米ドル単位で追加されるケースも出てきました。これらは船会社ごとに内容が異なるため、事前確認が必須です。


関連)https://hps-connect.com/column/date/2026/03/


費用項目が増えているということですね。


海外サプライヤーからの請求書(インボイス)を確認する際は、THC・CFS・D/O・サーチャージが個別に明記されているかをチェックする習慣をつけると、不明瞭な請求のリスクを減らせます。費用の透明性が確認できない場合は、フォワーダー(国際輸送代理業者)に内訳の説明を求めることが効果的です。


参考情報(税関:本船入港時に掛かる諸掛りの種類と内容)。
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-011025.html


医薬品・医療機器輸入でTHCを見落とすと起きる実務トラブル

医療従事者が関わる輸入業務の中でも、医薬品・医療機器の取り扱いには特有の注意点があります。THCの見落としは、単なる予算オーバーにとどまらず、実務上の深刻なトラブルに直結します。


まず費用面のリスクです。40フィートの冷蔵コンテナ(リーファーコンテナ)でワクチンや生物学的製剤を輸入した場合、THCはドライコンテナの1.5〜2倍以上になることがあります。 仮にドライ換算で49,800円の港が、リーファー対応では70,000円超になるケースも珍しくありません。これが年間複数回の輸入になれば、累積コストは数十万円単位で膨らみます。


関連)https://hz-containers.com/ja/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B3%E6%B8%AF%E3%81%AE%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA/


コストは積み重なるものです。


次に納期管理のリスクです。THCや関連費用の支払い確認が取れないと、港でのコンテナ搬出許可(D/O)が下りず、貨物が止まります。 医薬品の場合、有効期限や温度管理のタイムリミットがあるため、搬出の遅延は品質劣化・廃棄ロスに直結します。


関連)https://hps-connect.com/column/date/2026/03/


もう一つが法的リスクです。大麻由来成分(CBD)を含む医薬品や研究用試薬の輸入では、THCという略語が「テトラヒドロカンナビノール(Tetrahydrocannabinol)」と「ターミナルハンドリングチャージ(Terminal Handling Charge)」の両方に使われており、書類確認時に混乱が起きやすいです。 輸入書類上の「THC」が何を指しているかを文脈で明確に区別することが、コンプライアンス上も重要です。


関連)https://h-crisis.niph.go.jp/wp-content/uploads/2022/07/000638551.pdf


以下が実務上の確認ポイントです。


  • ✅ 見積もり段階でTHCが含まれているか・いくらかを確認する
  • ✅ コンテナ種別(ドライ/リーファー/危険品)を明示して費用を取得する
  • ✅ CIF契約であっても着港THCは自社負担と認識しておく
  • ✅ フォワーダーへの依頼時に「THC込みの総コスト」を指定する
  • ✅ 書類上の「THC」が貿易費用を指すのか成分名を指すのか必ず文脈で確認する


THCの適正管理が条件です。フォワーダーとの情報共有を一元化するには、貿易管理ソフト(例:NACCSと連動したクラウド型貨物管理ツール)の導入が有効です。費用明細の見える化により、担当者が変わっても一定レベルのコスト管理が維持できます。


参考情報(国立医薬品食品衛生研究所:CBD製品輸入時のTHC規制と輸入禁止事項)。
https://h-crisis.niph.go.jp/wp-content/uploads/2022/07/000638551.pdf




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