心臓ペースメーカーを植え込んだ患者が「手帳3級なのに、実は障害年金が不支給になることがある」と聞いたら、驚きませんか?

心臓機能障害の障害等級には、一般的な障害区分と異なる大きな特徴があります。それは2級が存在しない点です。 認定されるのは1級・3級・4級の3区分のみで、この仕組みを知らないまま患者に説明すると、制度上の誤解が生じることがあります。
参考)https://yonezawa-city-hospital.jp/wp-content/uploads/2023/03/rhythmnews_020.pdf
等級判定の軸になるのは「ペースメーカーへの依存度」と「身体活動能力(メッツ値)」の2点です。 依存が絶対的であれば1級、依存が相対的でメッツ値が2未満であっても1級に認定されます。
参考)平成26年4月からペースメーカーや人工関節等について障害者手…
| 等級 | ペースメーカー依存 | 身体活動能力(メッツ値) |
|---|---|---|
| 1級 | 絶対的依存、または相対的依存 | 2未満(相対的依存の場合) |
| 3級 | 相対的依存 | 2以上4未満 |
| 4級 | 相対的依存 | 4以上 |
メッツ値の感覚をつかむために、具体例を挙げます。 安静時着座が1メッツ、立ち話が1.8メッツ、散歩が3メッツ、速歩(100m/分)が4メッツです。つまり4メッツ以上動ける状態であれば4級、散歩レベルであれば3級が目安になります。これが判断基準です。
参考)ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援…
先天性疾患(18歳未満で発症した心疾患)によって植え込みを行った患者は、メッツ値に関わらず一律1級に認定されます。 例外として押さえておく必要があります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb9990&dataType=1&pageNo=1dataType=1href="https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb9990&dataType=1&pageNo=1">https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb9990&dataType=1&pageNo=1pageNo=1" target="_blank" rel="noopener">・心臓機能障害の認定(ペースメーカ等植え込み者)に当たっての…
2014年4月以前は、ペースメーカーを植え込めば一律に1級と認定されていました。 しかし同年4月から認定基準が見直され、新規植え込み者は依存度やメッツ値に応じて1・3・4級に振り分けられるようになりました。
参考)https://yonezawa-city-hospital.jp/wp-content/uploads/2023/03/rhythmnews_020.pdf
重要なのは、3年以内の再認定義務です。 植え込みから3年以内に再度メッツ値を計測し、等級が変更される可能性があります。再認定の結果、4級から3級へ上がるケースも、3級から4級へ下がるケースも実際に起きています。
参考)平成26年4月からペースメーカーや人工関節等について障害者手…
ただし注意点が2つあります。
参考)https://yonezawa-city-hospital.jp/wp-content/uploads/2023/03/rhythmnews_020.pdf
つまり改定後に「新規植え込み」した場合のみ、再認定の仕組みが適用されるということです。これが原則です。
医療機関では退院前にこの仕組みを患者に説明する機会がありますが、「3年後に等級が下がる可能性がある」という情報は患者の生活設計にも直結するため、正確な伝え方が求められます。厳しいところですね。
厚生労働省:心臓機能障害の認定(ペースメーカ等植え込み者)に当たっての留意事項(障企発第121002号)
※再認定の期限・先天性疾患の取扱い・ICDが作動した場合の等級変更について公式通知で確認できます。
医療従事者が混同しやすい点として、障害者手帳と障害年金はまったく別の制度です。 管轄省庁も審査基準も異なり、手帳の等級と年金の等級が連動しないケースが頻繁に発生します。
参考)【2025年最新版】ペースメーカーやICD(植込型除細動器)…
障害年金においてペースメーカー・ICD装着者は「難治性不整脈」の認定基準が適用されます。
参考)【2025年最新版】ペースメーカーやICD(植込型除細動器)…
| 障害年金等級 | ペースメーカー装着者への適用 |
|---|---|
| 3級 | ペースメーカー・ICD装着のみで原則認定(初診日に厚生年金加入が条件) |
| 2級 | 装着後も心機能低下が著しく日常生活に大きな支障がある場合 |
| 1級 | 他人の介助がなければ日常生活がほぼ不可能な程度 |
ここで医療従事者が特に把握しておくべき「落とし穴」があります。 初診日に国民年金加入者だった患者がペースメーカーを装着した場合、原則3級相当とみなされても、障害基礎年金には3級が存在しないため支給対象にならないのです。
参考)【2025年最新版】ペースメーカーやICD(植込型除細動器)…
これは患者が「ペースメーカーを入れたから年金がもらえる」と思い込んでいる場合に、大きな失望につながる情報です。入院中の患者に適切な制度説明を行うためにも、医療従事者が事前に理解しておくべき知識です。結論は「初診日の年金加入種別が支給の分岐点」です。
堺障害年金サポート:ペースメーカーで障害年金はもらえる?原則3級の認定基準と申請の注意点
※初診日の年金種別による支給可否の違いをわかりやすく解説しています。
障害者手帳を取得することで受けられる支援は多岐にわたります。 医療従事者が患者に情報提供する際に役立つ主な制度をまとめます。
参考)ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援…
税控除(所得税)
特別障害者手当(1〜2級が目安)
参考)ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援…
重度障害者医療費助成(1〜2級が目安)
このほか、公共交通機関の割引(JR・新幹線・飛行機など)、NHK受信料の免除、携帯電話料金割引なども受けられます。 支援の内容や対象等級は自治体ごとに異なる点に注意が必要です。
参考)ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援…
また障害年金(令和7年度)の支給額は、障害基礎年金2級で月額約69,308円(年額831,700円)、障害厚生年金3級最低保障で月額約51,983円(年額623,800円)です。 年額60万〜80万円規模の支援になり得るため、患者が申請を「知らずに損している」ケースは少なくありません。
参考)ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援…
知らないと大きな損失になります。
【2025年最新版】ペースメーカー・ICDで障害年金はもらえる?原則3級の認定基準と受給事例(社労士解説)
※総支給額180万円の具体的な受給事例と、診断書・申立書の書き方のコツを詳しく解説しています。
障害者手帳の申請においては、主治医が作成する診断書が審査の核心を担います。 等級認定は診断書の記載内容に大きく左右されるため、医療従事者が申請プロセスを正確に把握しておくことは、患者支援の質を直接高めます。
参考)ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援…
申請の流れは次の通りです。
参考)ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援…
1. 主治医に診断書(指定書式)の作成を依頼
2. 役所の福祉課に申請書類・診断書・顔写真・本人確認書類を提出
3. 専門機関による審査(約2〜3か月)
4. 手帳交付・通知
障害年金申請では「診断書(循環器疾患用)」と「病歴・就労状況等申立書」の2書類が特に重要です。 医師が作成する診断書には、ペースメーカー装着の事実だけでなく、日常生活活動能力・労働能力の記載が審査の9割を決めるとも言われています。
参考)【2025年最新版】ペースメーカーやICD(植込型除細動器)…
医療従事者の視点で付け加えると、患者が「術後に症状が安定した」という主観を持ちやすいことが、申請の遅れや記載の薄さにつながるケースがあります。 実際に制限されていること(階段での息切れ、残業免除、MRI不可など)を具体的に伝えてもらうよう、退院指導の場面で一言添えることが、患者の権利保護につながります。
参考)【2025年最新版】ペースメーカーやICD(植込型除細動器)…
独自の視点として、ペースメーカー患者の多くは「自分は普通に生活できているから申請しなくていい」と考えて申請をためらう傾向があります。しかし制度上、装着日が症状固定日とみなされ植え込んだ時点で申請対象となります。 「生活できていても申請できる」という認識の転換を、外来や退院時に医療従事者が促せるかどうかが、患者の生活の質を長期的に左右します。これが医療現場での重要な役割です。
参考)ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援…
神奈川県:第6 心臓機能障害(身体障害認定基準 指定医手引)
※診断書作成に関わる指定医向けの認定基準と留意事項が詳しく記載されています。
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