ジェネリックのラコサミド錠を先発品と同じ用量で使うと、一部患者で副作用リスクが2倍以上になることがあります。
ラコサミド(商品名:ビムパット)は、海外では2008年8月にEU、同年10月に米国で承認されました。 日本ではそれより約8年遅れて、2015年6月にUCBジャパンが国内製造販売承認申請を行い、2016年7月4日に製造販売承認を取得しています。daiichisankyo.co+1
承認取得から市場投入までの経緯は注目に値します。日本での承認申請が実現したのは、日本てんかん学会と日本小児神経学会が厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」へ開発要望書を提出したことがきっかけです。 つまり、医療現場からの声が承認を動かした薬と言えます。
参考)https://www.daiichisankyo.co.jp/media/press_release/detail/index_5849.html
最初に承認された効能・効果は「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する他の抗てんかん薬との併用療法」でした。 単剤療法への適応拡大は2017年8月、4歳以上の小児への適応は2019年1月と、段階的に広がっています。daiichisankyo.co+1
| 承認・発売イベント | 時期 |
|---|---|
| EU初承認(VIMPAT®) | 2008年8月 |
| 米国承認 | 2008年10月 |
| 日本国内承認申請 | 2015年6月 |
| 日本国内製造販売承認取得 | 2016年7月4日 |
| 単剤療法の効能追加承認 | 2017年8月 |
| 4歳以上小児への適応追加承認 | 2019年1月 |
第一三共プレスリリース:ビムパット錠の国内製造販売承認取得(2016年)
2025年12月5日は、ラコサミドジェネリックにとって歴史的な日です。 複数のメーカーが同日に一斉発売を行い、医療現場での選択肢が一気に広がりました。
参考)ジェネリック医薬品 ラコサミド錠50㎎・100mg「VTRS…
発売されたジェネリックのメーカーは非常に多岐にわたります。 沢井製薬、ヴィアトリス、サンド、高田製薬、日本ジェネリック、アメル、VTRS(ヴィアトリス)、ダイト(フェルゼンファーマ)など、10社以上が参入しました。これだけ多くのメーカーが同時発売した背景には、先発品ビムパット錠の2023年8月の製造販売承認再審査終了があります。
参考)2025.12.4 新薬告示情報(2025年12月5日以降適…
薬価の差は非常に大きく、具体的な数字で見ると以下の通りです。
参考)ラコサミド錠「サワイ」(ビムパットのジェネリック医薬品)|新…
つまり、薬価はGEで約35%程度になるということですね。 1日200mg投与(標準的な維持用量)を365日継続した場合、50mgを4錠換算で計算すると、先発品では約15.9万円/年、ジェネリックでは約5.6万円/年と、患者負担に最大10万円以上の差が生じます。これは患者さんにとって無視できない差です。
一方、2026年6月には追加収載も予定されており、さらなる参入メーカーが増える見通しです。
ラコサミド錠の適応は、発売当初から現在にかけて段階的に拡大されています。これが重要な点です。
現在の主な適応と用法は以下のとおりです。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00071773.pdf
ジェネリック各社が2025年12月5日に発売した際、沢井製薬は同日付で「効能又は効果」の追加承認を取得しています。 これにより先発品と完全に同じ適応範囲での使用が可能になりました。発売日と承認日がほぼ同時というのは、ジェネリック医薬品では珍しいケースです。
参考)ラコサミド錠50mg/100mg「サワイ」、ラコサミドDS1…
ただし、発売直後のジェネリックには注意点があります。添付文書の改訂タイミングが先発品と異なる場合があり、最新情報は各社のDI(医薬品情報)担当に確認するのが確実です。
国内の製造販売後調査(使用成績調査)では、副作用全体の発現割合は約16%(主に神経系)とされています。 発現時期別では投与開始8〜16週で2.28%と最も高く、投与初期だけでなく中期以降も継続的なモニタリングが必要です。
参考)https://shinryo-to-shinyaku.com/db/pdf/sin_0059_01_0033.pdf
主な副作用の種類は以下のとおりです。
PR間隔延長については重要です。 心機能異常のある患者は臨床試験から除外されていたため、実臨床での安全性データが十分でない部分があります。臨床試験の除外基準を把握した上で、実際の患者への投与を検討することが求められます。
参考)https://plaza.umin.ac.jp/~juku-PT/D/D030.pdf
小児については、6歳女児へのラコサミド投与後に気分高揚(多幸感)が出現した症例報告もあります。 発作消失後も行動面の変化に注意することが大切です。副作用の中には発作コントロールが良くなってから出てくるものもあるということですね。
ジェネリックへの切り替えを行う前に、患者の発作コントロール状態を確認することが大前提です。これが原則です。てんかん治療では発作の再発が生活の質(QOL)に直結するため、安定期に計画的に切り替えるのが基本です。
実務上の採用検討ポイントを整理すると、以下の流れになります。
2025年12月5日の発売時点では10社以上が同時参入したため、院内採用品の選定で迷う薬剤師も多いでしょう。 選定基準として「製造工場の品質管理体制」「MRやDI対応の充実度」「安定供給実績」を考慮に入れることが、長期的なリスク管理につながります。
沢井製薬のように、発売と同時に適応追加承認を取得しているメーカーを優先する選択肢も現実的です。 先発品との適応差がないことが確認できれば、切り替えに伴う疑義照会の手間を大幅に減らせます。これは使えそうです。
採用後も添付文書の改訂情報は定期的にチェックするのが必須です。PMDAの医薬品情報検索サービス(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)では、最新の添付文書を無料で確認できます。
ヴィアトリス:ラコサミド錠「VTRS」新発売ご案内(2025年12月5日)
サンドファーマ:ラコサミド錠・ドライシロップ新発売のプレスリリース(2025年12月)