気胸は肺に穴が開き、胸腔内に空気が漏れることで肺が虚脱する疾患です。主な症状は突発的な胸痛、呼吸困難、咳、息切れなどで、特に若年の痩身男性や高齢者に多く見られます。診断には胸部X線やCTが有用で、胸部打診で鼓音の増強、聴診で呼吸音の減弱が認められることが多いです。
軽症気胸では安静・経過観察のみで自然治癒するケースもありますが、中等症以上や症状が強い場合は胸腔ドレナージが適応されます。胸腔ドレナージは胸腔内にチューブを挿入し、持続吸引で漏れた空気を排出し肺を再膨張させる治療です。近年は外来での携帯型吸引器(トパーズ®️)を用いた治療も普及し、患者のQOL向上に寄与しています。
気胸の手術は、再発例やドレナージで改善しない場合、また初回でも重症例に適応されます。主流は胸腔鏡下手術で、肺表面のブラ(嚢胞)を切除し、再発予防のために胸膜摩擦や癒着術を併用することもあります。最近では1ポート法や肺切除を伴わないソフト凝固法など、低侵襲手術が進化しています。
気胸は再発率が高く、安静やドレナージのみでは約50%が再発するとされます。手術後も5~10%で再発がみられます。再発リスクの高い症例では、初回から手術を選択したり、両側同時手術や予防的手術を行う施設も増えています。再発予防には生活指導や禁煙指導も重要です。
女性に発症する月経随伴性気胸は、月経周期に一致して繰り返す気胸で、原因は肺や横隔膜の子宮内膜症と考えられています。治療には通常の気胸と異なるアプローチが必要であり、婦人科との連携やホルモン療法が検討されます。