クレストール販売中止とアストラゼネカの対応と後発品切替の注意点

アストラゼネカが段階的に進めるクレストール販売中止の全体像とは?OD錠終了・一部包装終了・経過措置期限など、現場で押さえるべき後発品切替の注意点を解説します。

クレストール販売中止とアストラゼネカが示す後発品切替の全注意点

クレストールOD錠が完全に販売中止になっても、先発品の通常錠(クレストール錠)はまだ処方できると思い込んでいると、患者の選定療養費が無駄に上乗せされます。


📋 この記事の3ポイント要約
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OD錠は2025年11月に販売終了・経過措置は2026年3月末まで

アストラゼネカのクレストールOD錠2.5mg・5mgは2025年5月に販売中止通知。同年11月に在庫消尽後終了、薬価収載の経過措置期限は2026年3月末に確定しています。

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通常錠は一部包装が2026年3月に出荷終了・全廃ではない

クレストール錠2.5mg・5mgの700錠・1000錠・500錠バラ包装は2026年3月に特約店への出荷が終了。100錠・500錠PTP包装は引き続き販売継続のため、全品撤退ではありません。

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後発品への切替時は「適応症」と「AG/非AG」の確認が必須

ロスバスタチン後発品の中には、家族性高コレステロール血症の適応を持たないメーカーの製品があります。患者の診断名と後発品の適応症が一致しているかを必ず確認する必要があります。


クレストール販売中止の経緯:アストラゼネカと塩野義の役割分担



クレストール(一般名:ロスバスタチンカルシウム)は、もともと塩野義製薬が1991年に創製し、1998年にアストラゼネカが開発を引き継いだ経緯を持ちます。国内では両社が長年共同販売を行ってきましたが、2023年6月に塩野義製薬がクレストール錠・OD錠の販売を終了しました。この時点ではアストラゼネカは販売を継続しており、現在も単独で取り扱っています。


重要なのはここです。「塩野義が販売を終了した=クレストールは完全に終わった」と誤認している医療従事者が少なくない、という現場の現実があります。アストラゼネカが継続販売しているという事実は、院内の採用品リストやDI室の情報を改めて確認する必要があります。


その後、アストラゼネカは2025年に入って段階的な品目縮小を開始しました。まず2025年5月にクレストールOD錠2.5mg・5mgの販売中止が通知され、同年11月が在庫消尽後の終了時期とされました。さらに2025年9月には、クレストール錠(通常錠)の大包装単位(700錠・1000錠・500錠バラ)の出荷終了が案内されています。


つまり「段階的縮小」という流れです。


ロスバスタチンは国内でジェネリック品が複数メーカーから流通しており、市場の後発品置換率が進んだ結果、先発品であるクレストールの一部形態・包装を維持するコストが採算に合わなくなってきたと考えられます。医療現場では、こうした販売形態の変化を把握しながら処方設計を見直す必要があります。


アストラゼネカ医療関係者向け情報サイト MediChannel|クレストール製品情報(最新の改訂・販売中止情報が一覧で確認できます)


クレストール販売中止の具体的なスケジュールと経過措置期限

現場で最も混乱が起きやすいのが、「いつまで処方・調剤できるのか」というスケジュールの把握です。整理しておきましょう。


まずクレストールOD錠(2.5mg・5mg)については、2025年5月12日に販売中止通知が発出され、2025年11月が販売中止時期とされました。在庫状況によって多少の差異はあるものの、特約店への出荷はすでに終了しています。そして薬価基準収載の経過措置期限は2026年3月末。これが今まさに到来しているタイミングです。


経過措置期限が到来するということは、原則としてその日以降は保険請求ができなくなります。院内や薬局に残存在庫がある場合も、経過措置期限後は自費扱いになる可能性があるため、現在の在庫状況を速やかに確認する必要があります。


次にクレストール錠(通常錠)の一部包装については、以下の包装が2026年3月に特約店への出荷が終了しています。


  • クレストール錠2.5mg:700錠(14錠PTP×50)、1000錠(10錠PTP×100)、500錠(瓶バラ)
  • クレストール錠5mg:700錠(14錠PTP×50)、500錠(瓶バラ)


一方、引き続き販売が継続される包装は以下の通りです。


  • クレストール錠2.5mg:100錠(10錠PTP×10)、500錠(10錠PTP×50)
  • クレストール錠5mg:100錠(10錠PTP×10)、500錠(10錠PTP×50)


販売継続が確認できる包装単位を確認しておけばOKです。


病院薬剤部では大包装での購入が多いため、700錠や1000錠包装の供給終了は実務上の影響が大きいと言えます。発注ルートとシステムの対応確認が必要になります。


アストラゼネカ公式PDF|クレストールOD錠2.5mg・5mg 販売中止のお知らせ(2025年5月)代替品リスト付き


アストラゼネカ公式PDF|クレストール錠2.5mg・5mg 一部包装単位販売中止のお知らせ(2025年9月)継続包装一覧付き


クレストール販売中止後の後発品(ロスバスタチン)への切替と適応症の注意点

後発品への切替は単純ではありません。ここが最も見落とされやすいポイントです。


クレストール錠・OD錠の適応症は「高コレステロール血症」と「家族性高コレステロール血症」の2つです。ところが、ロスバスタチンの後発品の中には、発売時点で「高コレステロール血症」のみを適応として持ち、「家族性高コレステロール血症」を取得していないメーカーの製品が存在していました。


後発品各社は2023年7月19日に「家族性高コレステロール血症」の適応追加承認を取得しており、現在では主要な後発品は2つの適応を保有しています。ただし、採用品のインタビューフォームや添付文書を今一度確認し、対象患者の診断名と後発品の適応が一致しているかを確かめておくことが大切です。これは適応外処方にかかわる問題であり、医療機関・保険薬局ともに注意が必要です。


また、後発品にはAG(オーソライズド・ジェネリック)と非AGの区別があります。


  • AG品:ロスバスタチン錠「DSEP」(第一三共エスファ)など、先発品と成分・製法が同等のもの
  • 非AG品:各社が独自に製剤設計した後発品(沢井、東和、日本ジェネリックなど多数)


AGと非AGで違う点は、添加物・錠剤の色・PTPシートの外観などです。患者から「錠剤の色が変わった」「錠剤が大きくなった」などの訴えがある場合は、後発品への切替時の情報提供が不足していた可能性があります。


家族性高コレステロール血症の患者への後発品切替については、適応確認を一度行う必要があります。


クレストールと選定療養:患者負担が変わる仕組みを押さえる

2024年10月1日から施行された長期収載品の選定療養制度により、クレストール錠は選定療養の対象品目になっています。これが現場での患者対応に直接影響します。


後発品が存在する先発品を患者が希望した場合、先発品と後発品最高価格帯との薬価差の4分の1が、保険自己負担とは別に「特別の料金」として患者に請求されます。具体的な数字で確認してみましょう。


クレストール錠2.5mgの薬価はおよそ18.5円、ロスバスタチン錠2.5mg後発品の最高価格帯はおよそ10.4円です。この差額は8.1円であり、その4分の1は約2円となります。1日1回服用・30日分の処方であれば、1回の処方で60円程度の上乗せ負担が発生する計算です。


「たった60円」と感じるかもしれません。ですが、クレストール5mgや複数薬の処方では累積すると患者の感じる「損した感」は大きくなります。毎月の受診のたびに積み重なる金額は、患者にとって無視できない負担です。


患者から「なぜ急に薬代が上がったのか」と質問があった場合は、「先発品を希望したことによる選定療養費が加算されたこと」「後発品に切り替えると負担が戻ること」を分かりやすく説明する必要があります。


患者への説明が一番大切です。


後発品切替に消極的な患者に対しては、「同一成分・同一効力の薬剤である」という基本情報を提供したうえで、患者の不安を解消してから切替を提案するプロセスが有効です。薬局であれば薬剤師による服薬指導の中で、病院であれば処方箋発行前の医師からの一言添えが、スムーズな対応につながります。


厚生労働省|令和6年10月からの医薬品の自己負担の新たな仕組み(患者向けリーフレット・計算方法説明)


クレストール販売中止と後発品切替で薬局・病院が実際に行うべき実務対応

情報を知るだけでは不十分です。現場でとるべき行動が何かを整理しておきましょう。


まず薬局では、院内採用品マスタの更新が急務です。クレストールOD錠が経過措置期限(2026年3月末)を迎えたことで、このタイミングで在庫として残っているものは、期限以降は保険請求に対応できません。レセプトコンピューターのマスタに販売中止品が残っていると、誤入力のリスクも生じます。マスタ整理と棚卸の確認を一度行うことが基本です。


次に、代替品の選定と患者への周知を同時に進める必要があります。アストラゼネカが示した代替品リストには以下が含まれます。


  • クレストール錠2.5mg(先発継続品)
  • ロスバスタチン錠2.5mg「DSEP」(第一三共エスファ・AG)
  • ロスバスタチン錠2.5mg「トーワ」(東和薬品)
  • ロスバスタチンOD錠2.5mg「トーワ」(東和薬品)
  • ロスバスタチンOD錠2.5mg「日医工」(日医工)
  • ロスバスタチン錠2.5mg「NIG」(日医工岐阜工場)


これらは5mgについても同様のラインアップが提示されています。採用品の決定は各施設のDI委員会や採用委員会で行われますが、代替品確認が遅れると欠品リスクが発生します。


病院薬剤部においては、大包装単位の終了によって発注サイクルの見直しが必要になるケースがあります。700錠包装が終了した場合、500錠PTP包装への切替で発注頻度が増える可能性があることも、事前に想定しておく必要があります。


処方医への情報提供も忘れずに行う必要があります。特に家族性高コレステロール血症の患者への処方を継続している診療科には、後発品採用の際に適応症を確認済みの銘柄を明示した情報提供が有効です。これはトラブル回避につながります。


最後に、患者説明のためのツール準備も重要です。「なぜOD錠がなくなったのか」「通常錠はまだあるのか」「ジェネリックに変えて大丈夫か」といった質問は、窓口で頻発しやすいものです。あらかじめ簡単な説明資料やQAシートを用意しておくと、スタッフ全員が統一した説明を提供できるようになります。


DSJP(医薬品不足情報サイト)|クレストールOD錠2.5mg 販売中止情報(告知ページURLや販売中止時期の一次情報が確認できます)






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