グリチルリチン甘草換算で知る偽アルドステロン症リスク管理

グリチルリチンと甘草の換算方法を正しく理解していますか?複数の漢方処方が重なると1日量が危険域を超えることも。医療従事者が知っておくべき換算基準・上限量・副作用リスクを徹底解説します。

グリチルリチンと甘草の換算で守る安全な処方管理

甘草1gあたりのグリチルリチン含有量が「約40mg」という換算式は知っているのに、複数処方の合計を計算せず渡している医療従事者が8割以上という調査結果があります。


📋 この記事の3ポイント要約
⚖️
換算の基本式

甘草1g = グリチルリチン約40mg。この換算式が処方安全管理の出発点になります。

⚠️
複数処方の落とし穴

漢方薬を2〜3種類重ねると、甘草の1日量が6g超になるケースがあり、偽アルドステロン症の発生率が11%以上に跳ね上がります。

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医療用医薬品の上限値

医療用医薬品には甘草の1日上限値が明確に定められておらず、OTC薬基準(グリチルリチン200mg/日)を目安に管理するのが現場の実態です。

グリチルリチンと甘草の換算式:甘草1gあたり40mgの意味


甘草(カンゾウ)とグリチルリチンの換算は、昭和53年(1978年)の厚生省薬発第158号通知に基づいています。 この通知では「甘草1gあたり約40mgのグリチルリチンが含まれる」と明示されており、現在も処方管理の基準として広く参照されています。min-iren.gr+1
つまり、換算式は次のとおりです。









甘草量(生薬量) グリチルリチン換算量
1g 約40mg
2.5g 約100mg
5g 約200mg
7.5g 約300mg

実際の研究では、甘草エキス中のグリチルリチン含有量にはばらつきがあり、「約40mg」は上限寄りの目安で、実際は20mg程度の製品もあるという報告もあります。 この幅を知っておくだけで、過少評価・過大評価の両方を防げます。


参考)全日本民医連


甘草の配合量は漢方処方によって大きく異なります。 厚生労働省承認の漢方処方では1日量として1g〜5g程度が配合されており、同じ「甘草入り処方」でも含有量の差は5倍に達することがあります。これは重要な点です。


参考)https://www.inm.u-toyama.ac.jp/collabo/doc/2010fy_report_01.pdf


グリチルリチンの1日上限量:OTC薬と医療用医薬品の違い

OTC(一般用)医薬品では、グリチルリチンの1日量上限は200mg(甘草換算で5g相当)と定められています。 一方、医療用医薬品については、1日の甘草摂取量の上限値は明確に設定されていません。adachipas+1
これは意外ですね。


現場での目安として、グリチルリチン酸の1日量が200mgを超えてくる場合は、薬剤師が偽アルドステロン症の発症に注意して経過観察する必要があると考えられています。 ただし、1日量甘草1〜2g程度でも発症事例があるため、一律に「200mg以下なら安全」とは言い切れないのが実情です。pharmacista+1
発症リスクは甘草の1日摂取量と相関します。


参考)漢方の複数内服に注意!偽性アルドステロン症。



  • 甘草 1g/日 → 発症率 約1.0%

  • 甘草 2g/日 → 発症率 約1.7%

  • 甘草 4g/日 → 発症率 約3.3%

  • 甘草 6g/日 → 発症率 約11.1%

6gというのは、はがき1枚(約6g)と同じ重さです。ごくわずかな生薬量でリスクが10倍以上になるイメージを持っておくと、臨床判断に活かしやすくなります。


偽アルドステロン症のリスク情報(日本内分泌学会の解説)。
日本内分泌学会 – 偽アルドステロン症:病態・症状・治療の公式説明

複数の漢方処方を重ねると甘草量が危険域を超えるケース

漢方薬は全処方の約75%に甘草が含まれています。 複数処方を重ねると、知らないうちに甘草の1日量が積み上がります。これが原則です。


参考)漢方薬に含まれる「甘草」の注意点について


たとえば、以下の3剤を同時に処方した場合を見てみましょう。



  • 加味逍遥散:甘草 1.5〜2g/日

  • 葛根湯:甘草 2g/日

  • 小青竜湯:甘草 3g/日

  • 合計:甘草 6.5〜7g/日 → 発症率11%以上の高リスク域

3剤すべてが「単独処方なら問題ない量」であっても、合算すると高リスクになる点が重要です。


さらに注意が必要なのは、グリチルリチン配合の注射剤(グリチルリチン酸一アンモニウム製剤など)を使用している患者に漢方薬が追加されるケースです。 添付文書では「甘草を含有する製剤との併用はグリチルリチン酸が重複し、偽アルドステロン症があらわれやすくなる」と明記されています。


参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00056589.pdf


複数処方の甘草量の合計を毎回計算することが条件です。


偽アルドステロン症の詳細な発症機序と症例報告(全日本民医連)。
全日本民医連 – 甘草配合製剤による偽アルドステロン症の症例報告

芍薬甘草湯など高用量処方での換算と臨床的注意点

芍薬甘草湯は甘草の含有量が1日量で5g以上と特に多い処方です。 グリチルリチン換算では約200mg以上になり、単独処方でもすでにOTC薬の上限値に達します。


参考)http://hospi.sakura.ne.jp/wp/wp-content/themes/generalist/img/medical/jhn-cq-iizuka-191011.pdf


添付文書には「治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」と明記されており、長期漫然投与は避けるべき処方の代表例です。 芍薬甘草湯が「こむら返りに効く」と有名になって以降、患者が自己判断で長期継続するケースが問題視されています。


痩せ型・高齢・降圧薬服用中の患者では、甘草1.5g/日程度でも偽アルドステロン症が発症し得ます。 厳しいところですね。


こうしたリスクが高い患者では、漢方処方を開始する前に血清カリウム値のベースラインを確認し、定期的にモニタリングすることが現実的な対策になります。偽アルドステロン症は被疑薬の中止後、数週間〜最大4カ月で臨床的に改善するとされており、早期発見が重要です。


漢方エキス製剤25種の甘草配合量とグリチルリチン含有量の比較データ(PDF)。
漢方エキス製剤の安全使用について〜甘草配合処方について考える〜(愛知県保健看護)

グリチルリチン換算で見落とされがちな「矯味剤由来」の甘草量

甘草やグリチルリチン酸は漢方薬だけでなく、胃腸薬・鎮咳去痰薬・抗アレルギー剤など西洋薬系OTCにも矯味剤(苦味を和らげる甘味成分)として添加されています。 これは使えそうです。


参考)エラー


矯味剤としての配合量は治療目的の配合量より少ないものの、複数の医薬品を併用している患者ではその分が確実に積み上がります。漢方薬以外の一般薬を確認せずに処方を重ねると、思わぬ高用量になりえます。


厚生省昭和53年通知では、2種以上配合する場合は「それぞれの1日最大配合量で除した数値の和が1を超えないこと」という加算規則が定められています。 つまり、各成分を個別に管理するだけでなく、必ず合算して評価することが求められています。mhlw.go+1
グリチルリチン含有量の合算管理が原則です。


患者が市販薬・サプリメントを自己使用している場合も同様です。葛根湯や小青竜湯などが薬局でOTC薬として購入できる環境では、処方歴に載らない甘草摂取量が発生します。初回問診時に市販薬・漢方薬の自己使用を必ず確認し、換算値を積算する習慣が、偽アルドステロン症の予防に直結します。


厚生省薬発第158号(グリチルリチン酸等を含有する医薬品の取扱いについて)。
厚生労働省 – グリチルリチン酸等を含有する医薬品の取扱い(昭和53年薬発第158号)




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