強迫症は、無意味で不合理と分かっていても繰り返し浮かぶ強迫観念と、それを和らげるために繰り返す強迫行為が特徴です。強迫観念は不安や恐怖を引き起こし、強迫行為は一時的に不安を軽減しますが、悪循環となり症状が悪化します。日常生活の制限や社会的機能障害も深刻です[10][9]。
診断は主に問診で行い、強迫観念や行為の種類、生活への影響、抵抗の程度を詳細に把握します。症状の重症度は点数化され、治療効果の判定にも用いられます。症状の多様性により個別の治療計画が必要です[10]。
薬物療法は主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が用いられ、不安や強迫観念を軽減します。三環系抗うつ薬のアナフラニールも使用されることがあります。薬物療法は不安の軽減に効果的ですが、単独では症状の根本的な悪循環を断ち切るのは難しいため、心理療法との併用が推奨されます[10][12][13]。
認知行動療法(CBT)は曝露反応妨害法(ERP)を中心に、不安を引き起こす状況に段階的に曝露しながら強迫行為を抑える訓練を行います。これにより強迫観念と行為の悪循環を断ち切り、症状の改善を図ります。患者の治療意欲と心理教育が成功の鍵となります[9][10][13]。
TMS(経頭蓋磁気刺激)治療は、脳の特定部位を磁気で刺激し脳機能を正常化する最新の治療法です。アメリカFDAに認可され、強迫性障害に対して有効性が示されています。日本でも一部の医療機関で導入されており、重症例や薬物療法・心理療法で効果不十分な患者に対する新たな選択肢として期待されています[11][12]。
強迫症の治療では精神科医だけでなく、心理士、看護師、場合によっては皮膚科医など多職種が連携することが重要です。特に強迫症に伴う心理社会的問題や皮膚疾患(例:Erythema ab igne)などの合併症例では、チーム医療により包括的な診断・治療・生活指導が可能となり、患者のQOL向上に寄与します[4]。
強迫症の症状は多様で、治療も薬物療法、認知行動療法、TMS治療など多角的アプローチが必要です。患者の個別症状に応じた最適な治療計画をどう立てるべきでしょうか?
強迫性障害の基礎知識と治療法(国立精神・神経医療研究センター)
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php
TMS治療の詳細解説(東京横浜TMSクリニック)
https://www.tokyo-yokohama-tms-cl.jp/about-tms/target/ocd/
強迫症の薬物療法と認知行動療法(兵庫医科大学病院)
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/23