30万円以下なら旅具通関、それ以外は業務通関ですが実際には例外だらけです。
商業貨物のハンドキャリーとは、企業等が営利目的で取り扱う物品を旅客機の手荷物として運ぶ輸送形態を指します。有償・無償を問わず、販売目的やサンプル品も商業貨物に含まれます。
ハンドキャリー自体は違法ではありません。ただし、商業貨物の内容に応じた通関手続きを行うことが法的に義務付けられており、この手続きを怠ると関税法違反となります。
参考)ハンドキャリー は合法?それとも違法? - 不妊治療の事なら…
国内や国際輸送における規制、制限、輸出入手続き、検疫手続きなどを行わない場合、ハンドキャリーは違法と見なされます。商業目的であることを隠して免税で持ち込もうとすれば、密輸行為となり厳しい罰則の対象です。
参考)通関 ハンドキャリー
ハンドキャリーは最も身近な輸送方法に見えますが、実際には最も難しい輸出入の一つと言われています。なぜなら、ハンドキャリーする人が全ての手続を行う必要があり、海外における輸出入の手続も行わなければならないからです。
商業貨物をハンドキャリーで輸入する場合、課税価格が30万円程度以下であれば旅具通関という簡易な通関手続きが利用できます。旅具通関では簡易税率が適用され、関税と消費税を合わせて15%が一律課税されます。
参考)https://www.customs.go.jp/tokyo/zei/i_sodan2_1.htm
ただし、この30万円基準には重要な条件があります。輸入貿易管理令の規定による承認を受ける必要がある品目は、金額に関わらず旅具通関の対象外です。つまり、許認可が必要な物品は必ず業務通関が必要になります。
参考)通関手続き:小口輸入の流れ
旅具通関の範囲は原則として1品目につき3個まで、3個を超える場合はその課税価格が30万円程度以下の貨物となります。この範囲には別送品も含まれるため、複数回に分けて持ち込む場合も注意が必要です。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/keitaibetsuso/7204_jr.htm
社用品等、本人の個人的な使用に供する貨物以外の貨物を携帯して輸入する場合(託送品)は、数量にかかわらず課税価格が30万円程度以下であれば旅具通関扱いとなります。ただし、旅行者の免税範囲の適用はありません。
旅具通関では通関業者を介さずに税関で手続きが完了するケースもあります。一方、30万円を超える場合や該当品目の場合は、保税地域に搬入して一般の貨物と同様の輸入通関手続きが必要になります。
参考)ハンドキャリー荷物を海外事業者(非居住者等)が輸入する場合
業務通関とは、商業貨物(企業等が営利目的で取り扱う物品・有無償不問)に対する通関手続きを指します。旅具通関が旅客または乗組員の携帯品に対する簡便な手続きであるのに対し、業務通関は正式な輸出入申告を伴う手続きです。
商業貨物の金額が30万円を超える場合、出国前に貨物を保税地域(保税蔵置場など)に搬入し、通関業者を通じて正式な輸出申告を行う必要があります。この手続きを経てから、ハンドキャリーで運ぶ形になります。
参考)海外展示会に出展予定の方必見!展示品・サンプルの持ち込み方
業務通関では、通常の関税率が適用され、品目ごとの詳細な申告が求められます。インボイスやパッキングリストなどの書類も、より詳細な情報を含む必要があります。
参考)ハンドキャリー必要書類の基本!インボイスとパッキングリストと…
ハンドキャリー混載便であっても、税関に対して通関申告は必ず行わなければなりません。正確な通関書類を準備することが、密輸に加担しないための基本です。
参考)通関
業務通関では通常、事前に申告をしておくことで30分から1時間程度で完了しますが、到着国の通関事情によってはさらに時間を要する場合もあります。旅具通関が基本的に数分程度で完了するのと対照的です。
参考)トップページ - 国際ハンドキャリー オプテックエクスプレス
未申告で物品を国外から持ち帰る、または持ち出す行為は違法です。商業目的であるにもかかわらず「個人用」と偽った申告、または申告を怠ると関税法違反となる可能性があります。
虚偽申告や未申告は罰金や没収の対象になります。一定額以上の物品や商業目的の品を運ぶ場合、適切な税関申告が必要であり、国によっては「貨物輸送業」の資格や登録が必要な場合もあります。
許認可が必要な物品を知らずに運んでしまった場合、「頼まれたからやった」では通用しません。物品の没収だけではなく、現地で拘束されるリスクも存在します。
参考)https://www.toishi.info/boueki/hand_carry.html
危険物や環境規制に違反する物品を持ち運ぶ行為も違法です。例えばドライアイスや液体窒素は危険物に該当するため、安全規制を確認し、取扱いが可能な業者が運ぶ必要があります。
税関申告時に誤った情報を当局に提出することも違法行為です。インボイスの金額を過少申告したり、品名を偽ったりする行為は、後に重大な問題に発展する可能性があります。
ハンドキャリーで商業貨物を運ぶ際、最も基本となる書類がインボイスです。インボイスには輸出者(Shipper)、輸入者(Consignee)、原産国(Country of Origin)、仕向先国名(Country of Destination)などの必須項目を記載します。
パッキングリストも必要な書類の一つです。貨物の内容、数量、重量、梱包形態などを詳細に記載し、税関検査の際に提示できるようにしておきます。
アメリカ向けのハンドキャリーでは、昨年から税関より新たな要求が追加されています。ハンドキャリーする方は荷物がどのような内容でHSコード番号が何かを税関へ伝えられるようにしておく必要があります。
参考)[2025年]アメリカハンドキャリーの輸出入通関規定(旅具通…
出国時には、各航空会社のチェックイン前に税関へ赴き、必要書類を提示して日本からの輸出通関手続きを行います。その後、各航空会社のチェックインと出国の手続きを行う流れです。
参考)https://carnet.jcaa.or.jp/common/pdf/manual-use1.pdf
入国時には、入国審査後にベルトコンベアで荷物を受け取り、税関で申告を行います。旅具通関の場合は赤色申告レーンへ進み、紙媒体のインボイスおよびパッキングリストを提出します。
参考)コラム - 国際ハンドキャリー オプテックエクスプレス
旅客機には重量制限が細かく設けられており、航空会社によって規定が異なります。一般的に1個当たりの荷物の上限が32kgsを超えず、1個の貨物の三辺合計が203cmを超えないことといった規定があります。
ハンドキャリーを5名で行うと仮定した場合、2025kgsの製品を輸送することも可能ですが、実際には各航空会社の規定を事前に確認する必要があります。重量超過は追加料金が発生するだけでなく、搭載自体を拒否される場合もあります。
危険物の扱いには特に注意が必要です。爆発物、可燃性物質などを運ぶ際には、法律に準拠した適切な方法で運ぶ必要があり、適切な資格を持ったスタッフの責任のもと、物質ごとに梱包方法や車両への表示方法、積載可能量などが細かく定められています。
持ち込みの禁止されている物品を持ち込んだ場合、没収や乗車拒否、罰金が科されます。各国の輸出入規制を必ず確認することが、リスク回避の第一歩です。
安全保障貿易管理の観点からも、リスト規制に該当しない貨物や技術であっても、大量破壊兵器等や通常兵器の開発等に用いられるおそれがある場合には、経済産業大臣の許可が必要になります。この規制を知らずに輸出すると、重大な法令違反となります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/guidance/guidance.pdf
税関公式サイト「旅具通関扱いをする輸出貨物」で、携帯品の範囲や手続きの詳細を確認できます
商業貨物のハンドキャリー通関方法について、実務視点での解説が掲載されています